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2006年08月03日(木)更新

社長は黙って・・・

●「燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」ということばがあります。出典は、中国の古典『史記』で、秦の時代の英雄・陳渉のことばだそうです。あの坂本竜馬も、この言葉を好んで使っていたといいます。

●燕雀(えんじゃく)とは、スズメやツバメのこと。鴻鵠(こうこく)とは、おおとりと、くぐい、いずれも大きな鳥のこと。その意味するところは、小人物がどうして大人物の志を知ることができようぞ、というものです。

●竜馬には、こうした自らを鼓舞することばが多く残されています。たとえば、「世の人は、我をなんともいわば言え、我がなす事は我のみぞ知る」もそうです。小物にはわからない大物の志というものがあるのですね。

●経営者という職業も、なにかと周囲から理解されないことが多いものです。たとえば、経営者の会合などに顔をだすと、ときどき「家庭をかえりみずに仕事に明け暮れて、家族から愛想をつかされています」と頭をかく経営者がおられます。たしかに、「家庭すら守れずに会社を守れるのか!」というヤジが飛んできそうですが、私はこうしたヤジにくじけてはならないと思います。

●たとえ、家庭における人間関係がうまくいっていなかったとしても、従業員や顧客の幸せに貢献しようと一心不乱にがんばっておられる真摯な経営者だってたくさんいるのです。「より大きな愛」をもった経営者だからこそなせるわざではないでしょうか。自分のためでも家族のためでもなく、ただひたすら良い会社を作るため、良い社会を作るために真摯に働いている経営者って、鴻鵠(こうこく)そのものですね。

●経営者はもうひとつ、押さえておかねばならないことがあります。それは言葉ではなく、結果で評価されるという一面です。しかも一年とか二年という短期スパンでも結果を求められる存在だということです。そのあたりが昔の志士や今の政治家と異なる点です。自分の理念も理想も主義主張もすべては決算書に表れる、という覚悟も、経営者には必要なのです。

●あなたの事業の目的は何か、志は何かということについて百人百様の考え方があると思いますが、あなたがどのような経営者だったかは、「男は黙ってサッポロビール」(古い宣伝文句)ならぬ「社長は黙って決算書」なのです。

●鴻鵠の志と決算書の両方で勝負できる経営者になりましょう!