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2007年10月19日(金)更新

我流の会議

●「会して議せず、議して決せず、決して行わず、これ“怪議”という」との名言がありますが、それでも「会議力」は経営者にとって大切な要素の一つです。会議を運営する力、会議で決めたことを実行する力は、経営力の根幹と言ってもよいでしょう

●私も、ときどき経営会議を傍聴することがありますが、実に個性的というか、ユニークなやりとりに出くわすことがあります。「やっぱり会議って我流で行われることが多いのだな」と改めて思います。

●A社では、進行役の専務が「会議に参加していながら意見を言わないのなら、出てくる必要などない」とゲキを飛ばします。出席者ががんばって意見を言うのですが、別の役員が、「ご意見だけは立派だね」とか「まるですごい実績をあげてる人の発言だね」など、皮肉交じりに水を差したりしています。

●これでは、はしごを外されるようなものです。実績をあげている人間しか意見が言えないような雰囲気を作ってしまっては、社内が「勝ち組」と「負け組」に分断されてしまいます。こんな会社は、ドラッカーの「誰が正しいかではなく、何が正しいかを考えよう」という言葉を大きく書いて、会議室に掲げておくべきです。
●一方、B社では最近「議題がないから」という理由で経営会議の定期開催を中止してしまいました。零細規模の会社ならそれも悪くありませんが、B社は100人近くの社員を抱えています。それなのに経営会議の議題がないというのは、実におかしな話。実情を聞いてみると「ワンマン社長がなんでも一人で決めているので、会議を開いても意味がない」ということでした。

●こんなことをしていると、後継者はいつまで経っても育ちません。そのしっぺ返しはいずれ、社長に直接返ってきます。というのも後継者が育たないということは、管理職や若手も育ちにくいので、遅かれ早かれ目先の業績にも良くない影響が出るからです

●数多くの会議に参加して痛感するのは、「正しい会議運営は経営改革を推進させるものであり、経営者を成長させる」ということです。つまり、決算書の数字や現場の事実に基づいて

・今なにがうまくいっているか
・今なにが問題か
・優先順位は何か
・各部門・各自の目標や課題は何か

といったテーマを確認する場が会議であり、経営会議であればなおさら、ある程度の緊張感と十分な事前準備をもって臨むべきなのです

●自社の会議が機能していないとお悩みの方は、改めて会議のやり方を勉強しましょう。そのためには、本を読むのもいいですし、尊敬している社長に頼んで経営会議を傍聴することもいいでしょう。