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2007年07月09日(月)更新

脱・ボヤキ

●かつてお笑いで、「責任者 出てこ~い!」などといった"ボヤキ漫才"が人気でしたが、今でもボヤくという行為には、プロ野球の"ボヤキ監督"やサッカーの"ボヤキ解説者"などに見られるように、一定の人気があるようです。

●利害関係のない者にとっては、ボヤキを聞くのも悪くないのですが、ボヤかれた当事者にとっては、たまったものではないでしょう。

●「またあいつか。武沢さん、うちのA社員にはホトホト手を焼いているのですよ。」などと、部下への不満と憤りを、ところ構わずぶちまける社長がいる一方、そうした個人批判をほとんどしない社長もいます。

●統計を取ったわけではありませんが、社長が社員の不満を言わない会社ほど、人材が定着して育っていき、組織的な経営が可能となっているようです。
●もちろん人間ですから、誰だって部下の仕事に対して、多少の不満はあるに違いありません。社長からみれば、下手な仕事をされるより自分がやった方が、早くかつ上手にできるという気持ちになる時だってあることでしょう。

しかし、会社は社長の下請け集団ではありません。ある分野においては社長よりも能力がある社員を仲間に引き入れ、理念と夢の実現にむけて共同で向かっていくのが会社です。

●したがって、創業時にありがちな「俺についてこい」「俺を手伝ってくれ」方式のリーダーシップでは、優秀な社員は定着しません。徐々にではありますが、組織づくりのためのリーダーシップに方向を変えていく必要があるのです。

●「組織づくり」はすなわち「人づくり」です。社長自身の「人材育成力」を開発していかねばなりません。

●会社の規模が小さいうちは、その社員が「好きか嫌いか」というのが、重要な採用ファクターだと思います。もし、生理的に好きになれない社員を採用してしまったら、その社員がミスしたときに、指導より攻撃が先になってしまうでしょう。だから、好きな人を入れるのは大切なことです。

●しかし、「好きか嫌いか」という採用基準は社員数が10名までのこと。それ以上になると、別のファクターが求められます。それは、価値観が共有できるかどうか、仕事ができるかどうか、です。

●社員数が二桁や三桁になる頃には、社員を思いのままに使おうというのはやめ、目標や規律が自分たちの共通の絆となるよう、リーダーシップを切り替える必要があります。

●特に中小規模の会社には、個性あふれる人材がたくさんいます。オール4の優等生タイプを使うのは大企業にまかせ、多くの1や2に混じって一個だけ5があるといった、大企業に入れず在野にあふれている人を、上手に使っていくのです。

そういう人を採用し、定着させ、人材として活用していくためには、社長にも粘り強い指導力が必要です。感情をぶちまけたり、ボヤいたりするのは我慢して、長所を誉めて伸ばすという心構えを大切にしましょう。