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2009年03月06日(金)更新

赤と青の情熱

●「革命を成就させるには三つのタイプの人材が揃う必要がある」と司馬遼太郎が言っています。彼のいう三つのタイプの人材とは
・思想家
・戦略家
・実務家や技術者
だそうです。

●たしかに司馬の指摘には一理あると思います。たとえば、明治維新をみても、吉田松陰を始めさまざまな「思想家」たちが徳川幕府の脆弱性や矛盾を指摘し、若者を鼓舞しました。
“徳川体制はおかしいんだ、天皇を担いで幕府を倒そう”
という機運を作ったのはそうした「思想家」たちです。

●次に「戦略家」が現れました。
高杉晋作や坂本龍馬、西郷隆盛など行動力に富んだ若者が思想を実現するための具体策を考案し、戦略的に動きました。その結果、山が動くのです。

●最後に、革命の総仕上げをしたのが「実務家」や「技術者」たちです。例えば、大久保利通や大村益次郎、伊藤博文、井上馨などいわゆる明治の元勲とよばれる人たちがそれです。

●企業にもこの三つのタイプの人材が揃っているのが理想でしょう。しかし、中小零細規模の場合には、そんなに揃っていることがまれなので、社長が一人で三役こなす必要があるのかもしれません
●先日、メルマガ読者から達筆なお手紙を頂戴しました。その最後にこんな一文がありました。

「武沢さんのメルマガを拝読していると、武沢さんという人が大変熱くて赤々とした、まるで溶岩のように思える」と書かれていました。
私が書いた文章からそのような印象を感じ取られたそうですが、実は私はまったくその正反対のタイプだと思います。

●どちらかというと控えめなタイプで、自分の考えを話すよりだまって聞いている方が好きです。人前で話すことは苦手だと言った方がよいでしょう。
経営者会報ブログのオフ会にも二度参加していますが、そのたびに「話すことだけはご勘弁を」と幹事さんに念を押して参加しているほどです。

したがって私は、“赤々”としているのではなく、むしろ“青々”としていると言ったほうが近いでしょう。

私は情熱には赤色と青色があると思っています

人の心に火を付け、いるだけで周囲が熱くなる赤色タイプが先に申し上げた「思想家」や「戦略家」の特徴でしょう。革命の総仕上げをするのに必要な「実務家」や「技術者」は青色タイプが多いように思いますが、その分け方が適切かどうかはわかりません。

●要するに、情熱には「赤」と「青」があるということをお伝えするのが今日のコラムの主旨です。熱さが言葉や態度に出る人と出ない人がいるということと、その両方が組織の中に必要だということです

赤と青の情熱、ともに大切にしていきましょう。