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2010年12月03日(金)更新

傷ついた枝

●かつて、ホームセンターで薄板を買ってきて手書きの年賀状を作ろうとしたことがあります。
さっそく板を切って葉書サイズにし、墨汁で「謹賀新年」と書いてみたのですが、かすれてうまく書けません。どうしたものかと試行錯誤するうちにある方法を思いつき、成功したことがあります。
それが現場の智慧とでもいうもので、技術の粋を凝らした自動車製造現場でも、ボディの仕上げ部分には人の職人芸が必要だそうです。理論よりもコンピュータよりも人間の方が優れていることがまだまだたくさんあるようです。

●先日、柿の栽培に情熱を注ぐ農家の方からたいへん興味深いお話しをうかがいました。
それは、「美味しい柿の実は傷ついた枝になる」という話です。
ベテラン農家ではそれを知っていて、故意に枝に傷をつけるなどして活用しているというのですが、それがどんな理由によるものかは農家の方もよくわかっていないそうです。

●たぶん、枝が傷ついて弱っているのをみて、根っこや幹が必死になってその枝を救おうと養分を送るからだろう、というのが憶測ですがそれが証明された訳ではありません。
私はその話を聞いて、野菜ビジネスで失敗したユニクロの柳井会長の談話を思い出しました。

「当社の野菜ビジネスは、カネがあり人材もいたから、うまくいかなかった」

さらに、こう続きます。

「カネがない、ヒトがいない、モノがない、チャンスがないことは、事業を成功させる4大条件だと僕は思っています」と。

●柿の実のように、厳しい環境にあることそのものが成功の条件だと考えるようにしましょう。

・「美味しい柿の実は傷ついた枝になる」

    ↓   応用    ↓

・「優秀な人材は困難な部門で育つ」
・「すぐれた事業は過酷な条件下で育つ」
・「逆境がないということが大問題だ」

なにもない過酷な環境だからこそ智慧が出せるのです。