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社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2010年07月09日(金)更新
海援隊約規に学ぶ
●「海援隊の約規は実に簡素なものである。事細かな規則など必要ない。我々は天を翔ける鶴、その飛ぶ所にまかす。鳥かごの中に入るものではない」と龍馬が書いているように、海援隊の約規はとても短いものです。その原文と武沢訳の両方をお届けしましょう。
【海援隊約規 原文】
一.凡嘗テ本藩(土佐)ヲ脱スル者及佗(他)藩ヲ脱スル者、海外ノ志アル者此隊ニ入ル。
運輸、射利、開柘(拓)、投機、本藩ノ応援ヲ為スヲ以テ主トス。
今後自他ニ論ナク其志ニ従ッテ撰入之。
二.凡隊中ノ事一切隊長ノ処分ニ任ス。敢テ或ハ違背スル勿レ。若暴乱事ヲ破リ妄謬害ヲ引ニ至テハ隊長其死活ヲ制スルモ亦許ス。
三.凡隊中忠難相救ヒ困厄相護リ、義気相責メ条理相糺シ、若クワ独断果激、儕輩ノ妨ヲ成シ、若クハ儕輩相推シ乗勢テ他人ノ妨を為ス、是尤慎ム可キ所敢テ或犯ス勿レ。
四.凡隊中修業分課ハ政法、火技、航海、汽機、語学等の如キ其志ニ随テ執之。
互ニ相勉励敢テ或ハ懈ルコト勿レ。
五.凡隊中所費ノ銭糧其の自営ノ功に取ル。亦互ニ相分配シ私スル所アル勿レ。
若挙事用度不足、或ハ学科欠乏を致ストキハ隊長建議シ、出崎官ノ給弁ヲ竢ツ。
右五則ノ海援隊約規、交法簡易、何ゾ繁砕ヲ得ン。モト是翔天ノ鶴其ノ飛ブ所ニ任ス。豈樊中ノ物ナランヤ。今後海陸ヲ合セ号シテ翔天隊ト言ハン。亦究意此ノ意ヲ失スル勿レ。
【海援隊約規 武沢訳】
一.およそかつて本藩を脱する者、他藩を脱する者、内外に志ある者、みなこの隊に入る資格あり。運輸、営利活動、開拓、投機、本藩の応援をもって主業務とする。今後、異論なくば方針にかなう業務はこれに加わる。
二.およそ隊中のことのいっさいは隊長の処分にまかせる。隊員は、隊長の指示方針などに違背してはならない。もし暴乱、違反行為、隊に対する迷惑行為などがあれば、隊長がその死活を制することを許す。
三.隊中にあっては、互いの困難を助けあい、守りあい、互いの気分が緩んでいるときには責めあい、道理や筋道の通らぬことは正しあい、独断で過激な行為に走るのを制しあうこと。仲間の邪魔をしたり、集団で他人の行為の邪魔をするなどの行為は、もっとも慎むべき所で決してこれを犯してはならない。
四.隊中の修業分課は、政法、火技、航海、汽機、語学等のごとき、その志に従ってこれを学ぶ。互いに勉励し、怠ってはならない。
五.隊中の活動は独立採算。活動に要する経費などは、隊の活動で得た利益でまかなうこと。収益は互いに分配し、私腹を肥やしてはならない。万が一、資金が足りず、修業に支障がでるような場合には、隊長が建議し、出 崎官役(後藤象二郎)の支給をまつこと。
以上五則の海援隊の約規は実に簡素なものである。事細かな規則など必要ない。我々は天を翔ける鶴、その飛ぶ所にまかす。鳥かごの中に入るものではない。今後、海の海援隊だけでなく、陸をもあわせて「翔天隊」と言わん。この理想と精神を忘れてはならない。
●いかがでしょう、龍馬の真剣味が伝わってくるようですね。
事実、海援隊の活動は本格的なものでした。第四条に出てくる「政法」とは、政治活動に関するもので、後に政治的出版物を発行することにつながっています。
また、「火技」「航海」「汽機」に関してはそれぞれの専門家が隊内にいたほか、龍馬の師である勝海舟から神戸海軍操練所で教えを受けるなど、最先端教育をほどこしていたのが「海援隊」なのです。
●あなたの会社にとって「約規」に相当するものが「就業規則」でしょう。
しかし就業規則は「労働基準法に準拠している会社ですよ」ということを労基署に示すために作られたものが多いはずです。社長の理想や思想が入っているものは少ないでしょう。これを機会に、就業規則とは別に「海援隊約規」に相当するものを作ってみてはいかがでしょうか。
●就業規則を分かりやすく解説した「社員ブック」を作ろうと説く人がいます。経営理念やクレドを作り、それをカードにして毎朝唱和しようという人もいます。
「経営計画書」や「経営マニフェスト」を作ってそれを毎日1ページずつ音読するという人もいます。
形式ややり方は何でも構いません。大切なことは、全員がそれを読んで魂が鼓舞され、自分達が目指しているものや仕事遂行上の原理原則を確認できる簡潔なものが良いと思います。
【海援隊約規 原文】
一.凡嘗テ本藩(土佐)ヲ脱スル者及佗(他)藩ヲ脱スル者、海外ノ志アル者此隊ニ入ル。
運輸、射利、開柘(拓)、投機、本藩ノ応援ヲ為スヲ以テ主トス。
今後自他ニ論ナク其志ニ従ッテ撰入之。
二.凡隊中ノ事一切隊長ノ処分ニ任ス。敢テ或ハ違背スル勿レ。若暴乱事ヲ破リ妄謬害ヲ引ニ至テハ隊長其死活ヲ制スルモ亦許ス。
三.凡隊中忠難相救ヒ困厄相護リ、義気相責メ条理相糺シ、若クワ独断果激、儕輩ノ妨ヲ成シ、若クハ儕輩相推シ乗勢テ他人ノ妨を為ス、是尤慎ム可キ所敢テ或犯ス勿レ。
四.凡隊中修業分課ハ政法、火技、航海、汽機、語学等の如キ其志ニ随テ執之。
互ニ相勉励敢テ或ハ懈ルコト勿レ。
五.凡隊中所費ノ銭糧其の自営ノ功に取ル。亦互ニ相分配シ私スル所アル勿レ。
若挙事用度不足、或ハ学科欠乏を致ストキハ隊長建議シ、出崎官ノ給弁ヲ竢ツ。
右五則ノ海援隊約規、交法簡易、何ゾ繁砕ヲ得ン。モト是翔天ノ鶴其ノ飛ブ所ニ任ス。豈樊中ノ物ナランヤ。今後海陸ヲ合セ号シテ翔天隊ト言ハン。亦究意此ノ意ヲ失スル勿レ。
【海援隊約規 武沢訳】
一.およそかつて本藩を脱する者、他藩を脱する者、内外に志ある者、みなこの隊に入る資格あり。運輸、営利活動、開拓、投機、本藩の応援をもって主業務とする。今後、異論なくば方針にかなう業務はこれに加わる。
二.およそ隊中のことのいっさいは隊長の処分にまかせる。隊員は、隊長の指示方針などに違背してはならない。もし暴乱、違反行為、隊に対する迷惑行為などがあれば、隊長がその死活を制することを許す。
三.隊中にあっては、互いの困難を助けあい、守りあい、互いの気分が緩んでいるときには責めあい、道理や筋道の通らぬことは正しあい、独断で過激な行為に走るのを制しあうこと。仲間の邪魔をしたり、集団で他人の行為の邪魔をするなどの行為は、もっとも慎むべき所で決してこれを犯してはならない。
四.隊中の修業分課は、政法、火技、航海、汽機、語学等のごとき、その志に従ってこれを学ぶ。互いに勉励し、怠ってはならない。
五.隊中の活動は独立採算。活動に要する経費などは、隊の活動で得た利益でまかなうこと。収益は互いに分配し、私腹を肥やしてはならない。万が一、資金が足りず、修業に支障がでるような場合には、隊長が建議し、出 崎官役(後藤象二郎)の支給をまつこと。
以上五則の海援隊の約規は実に簡素なものである。事細かな規則など必要ない。我々は天を翔ける鶴、その飛ぶ所にまかす。鳥かごの中に入るものではない。今後、海の海援隊だけでなく、陸をもあわせて「翔天隊」と言わん。この理想と精神を忘れてはならない。
●いかがでしょう、龍馬の真剣味が伝わってくるようですね。
事実、海援隊の活動は本格的なものでした。第四条に出てくる「政法」とは、政治活動に関するもので、後に政治的出版物を発行することにつながっています。
また、「火技」「航海」「汽機」に関してはそれぞれの専門家が隊内にいたほか、龍馬の師である勝海舟から神戸海軍操練所で教えを受けるなど、最先端教育をほどこしていたのが「海援隊」なのです。
●あなたの会社にとって「約規」に相当するものが「就業規則」でしょう。
しかし就業規則は「労働基準法に準拠している会社ですよ」ということを労基署に示すために作られたものが多いはずです。社長の理想や思想が入っているものは少ないでしょう。これを機会に、就業規則とは別に「海援隊約規」に相当するものを作ってみてはいかがでしょうか。
●就業規則を分かりやすく解説した「社員ブック」を作ろうと説く人がいます。経営理念やクレドを作り、それをカードにして毎朝唱和しようという人もいます。
「経営計画書」や「経営マニフェスト」を作ってそれを毎日1ページずつ音読するという人もいます。
形式ややり方は何でも構いません。大切なことは、全員がそれを読んで魂が鼓舞され、自分達が目指しているものや仕事遂行上の原理原則を確認できる簡潔なものが良いと思います。
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