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2011年07月22日(金)更新

寧静致遠

●北京、紫禁城(しきんじょう)。
中国の歴代皇帝がこの広大な敷地と膨大な数の建物群を住処とし政務を執り行い、ラストエンペラー溥儀(ふぎ)の代まで使われてきました。
その後、故宮(こきゅう)と名を改め、天安門をくぐって入る北京屈指の観光名所になっています。
 
●あるときここを訪れた私は、紫禁城内のイベントコーナーで書家の方々のパフォーマンスに出くわしました。希望すれば好きな言葉をその場で書いてくれ、掛け軸などに表装してくれるサービスもあるのです(二万円程度)。
 
●私もさっそくお願いしてみました。どんな言葉を書いてもらおうか、いろいろ迷ったあげく、「寧静致遠」をリクエストしました。"ねいせいちえん"と読みます。
 
これは、かの諸葛亮孔明が息子に書き残したことばです
 
「澹泊明志 寧静致遠」(たんぱくめいし ねいせいちえん)というもので、正確には次のとおり。
 
・・・
誡子書
 
夫君子之行 静以修身 倹以養徳
非澹泊無以明志 非寧静無以致遠
夫学須静也 才須学也
非学無以広才 非志無以成学
滔慢則不能励精 險躁則不能冶性
年與時馳 意與歳去 遂成枯落
多不接世 悲守窮盧 将復何及!
・・・
 
「それ君子の行ひは、静を以て身を修め、倹を以て徳を養ふ。澹泊(たんぱく)にあらざれば、以て志を明らかにすることなく、寧静にあらざれば、以て遠きを致すことなし。それ学は須く静なるべく、才は須く学ぶべし。学ぶにあらざれば、以て才を広むるなく、志あるにあらざれば以て学を成すなし。
滔慢なれば則ち精を励ますこと能はず、険躁なれば則ち性を治むること能はず。年は時と与に馳せ、意は日と与に去り、遂に枯落を成し、多く世に接せず。窮盧を悲しみ守るも、将た復た何ぞ及ばん。」 
 
●「澹泊明志 寧静致遠」
 
「我欲が強くては志を保つことはできない。一心に努力しないと遠大な所には到達できない」という意味になります。
 
この書を額装し、掛け軸にしてもらいました。今、私のオフィスにこれが掲げられ、私を見張ってくれています。