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2011年09月02日(金)更新

“脳”を良くする習慣

●少しずつ脳のメカニズムが明らかにされつつあります。それにつれて、私たちも脳(つまり自分自身)と上手に付き合っていく術がわかってきました。
 
「頭が良いという状態ではなく、脳が良いという状態をめざしたい。脳が良いと、知的能力だけでなく、運動能力や健康維持能力も高まるからだ。そのためのちょっとした習慣や考え方を利用すれば、誰だって何才からだって簡単に脳の良い人になれる」と説くのは、『バカはなおせる』の著者、久保田競教授です。
 
●著者によれば、脳にとって良い習慣と悪い習慣というものがあるそうです。脳幹のなかには腹側被蓋野(ふくそくひがいや)という大変重要な領域があり、ここが働くと「脳内麻薬」とも「やる気の源」とも言われる「ドーパミン」が分泌される。つまり腹側被蓋野が活発に働くようになるそうです。それが脳に良い習慣であり、その逆が悪い習慣となるというのです。
 
●昔からドーパミンは "やる気ホルモン" として注目されてきましたが、その好影響はそれだけでは済まないこともわかってきました。ドーパミンは、運動時のスピード、力、手足の器用さや俊敏さ、考える力や集中力、決断力、記憶力にまで良い影響を及ぼすことがわかってきたというのです。
 
●問題は、どのようにすればその腹側被蓋野がよく働くようになるかです。その答えが実にシンプルでうれしいものだ。
 
「快感を起こす刺激は全部脳に良い」というのです。
 
●サルを使った実験では、おいしいものを食べることが最高に脳に良いという結果がでたそうです。サルにとっての最高の報酬は食べ物ですが、人間にとって最高の報酬はお金ではないかと著者は指摘しています。
 
●また、スポーツの後、シャワーで汗をながしているときの爽快感はたまりませんが、実は、"何か行動をする"だけでも腹側被蓋野は働きだすともいいます。運動すること自体が脳にとても良いというのも新発見ですね。
 
●最新の脳科学原則による結論その1は、
「お金を得ておいしいものを食べて気持ちよいと感じることをやりまくる」ということが、脳が発達し、知力も運動能力も高まるという結論です。
 
●ではその逆の生活をおくるとどうなるか。
たとえば禁欲生活する。断食し座禅瞑想して頭も身体も動かさない、といったライフスタイルをおくると脳に良くないそうです。しかし、禁欲や断食によってかえって腹側被蓋野が働いて気持ちよくなる人もいるので、個人差があるのかも知れません。
 
●ここで、久保田教授は興味深い実験結果を紹介している。
 
サルに対して、キーを叩いたごほうびとして、腹側被蓋野を電気刺激してやる。サルはやる気が出て気持ちよいことだろう。そうしておいて、サルが空腹になる時間にエサや水をやる。その時、サルはどうするか? エサや水をとるか、はたまたキーを叩き続けるか?
 
「サルは、エサや水に見向きもせず、キーを叩き続ける」という結果がでました。
 
●一日に何万回もキーを叩き続け、空腹のはずなのに食べ物には興味も示さないという。サルにとって最高の報酬であるはずだった「食べ物」よりも上位次元にくる歓びがあったとは驚くばかりの結果ではありませんか。
 
●結論その2.
好きなことをやることと、体を動かすことをふだんの生活に取り入れること。
 
●結論その3.
生活習慣病は脳にひどく悪いダメージが及ぶ。脂肪が気になりだしたら低カロリー食をおいしく食べ、軽いジョギングなどの運動習慣を取り入れよう。それが脳をリフレッシュさせるといいます。