大きくする 標準 小さくする

2010年11月29日(月)更新

会社の98%は社長一人の実力

●同じ業界に属し、同じ地区で同じような年齢の社長がいたとしても、企業内容は全然違ってきます。
「うちの業界にはろくな人材が回ってこない」と嘆く赤字会社のA社がある一方で、「社員のおかげで本当に助かっている」と社員を誇る黒字会社のB社があります。

こうした差はなぜ生まれるのでしょうか?

●「組織とは凡庸な人たちを率いて非凡なことをなすところ」と定義した学者がいますが、A社に入社する人材もB社に入社する人材にも、もともとの素質には大した差などありません。
社員の素質を開花させ、本気で目標に立ち向かう戦闘集団にしたのがB社長であり、それができずに、社員の力不足を嘆いているのがA社長なのです。

●ランチェスター経営戦略の竹田陽一氏は、次のように語っておられます。

・・・
従業員6人迄は100%、10人~30人迄は98%、30人~100人迄は96%が、社長1人の実力で決まります。会社は人で決まると言いますが「その人」とは、まぎれもなく「社長自身」なのです。
・・・

●日本に300万社あるといわれる会社のほとんどが従業員100人未満ですから、極端にいえば日本の経済力の大部分が300万人の社長の経営力にかかっていると考えることができるのです。
私が毎日メールマガジンを書いているのもそのためで、孤軍奮闘する中小企業社長を応援することがささやかな私の役割だと思っているのです。

●さて、会社の問題のすべては「社長ひとりの実力」であると考えましょう。そのように受け入れてしまえば、かえって気持ちが楽になります。要するに、自分を変えれば良いということです。社員のせいでもないし、ライバル会社のせいでもないし、親のせい、業界のせい、政治家のせいでもないのです。

●フランスには 「1頭のライオンに率いられた100匹の羊の群れは、1匹の羊に率いられた100頭のライオンの群れに優る」という諺があります。

また、イタリアには「ゴールを征服したのはシーザーに率いられたローマ人であり、たんなるローマ人ではない」という格言があります。

あたなたライオンですか、シーザーですか?
それとも、羊ですか、単なるローマ人ですか?

あなたがライオンやシーザーになるための目標や計画を明確にしておきましょう。

2010年11月19日(金)更新

謀反すべし

●謀反に成功すれば英雄になりますが、失敗すれば英雄になれないし、悪名が歴史に残ることもあります。謀反とはリスキーな行為です。
しかし、ビジネスや人生はもともとリスキーだと考えれば、謀反そのものをイケナイものだと考えるのは保守的過ぎませんか。謀反を起こすことや起こされることを恐れることは禁物です。

●社員からも取引先からも謀反にあうことがあります。子供に謀反されることだってあるでしょう。
社員なんだから社長の言うことを聞くのが当たり前だ、と思っていたら大間違いです。

"社長が社員を採用してやった"というような驕った気持ちがどこかにあると、社員にそれが伝わります。その結果、社員は社長に反旗をひるがえします。

●「社員が会社を選んだのであり、たまたまその会社の社長があなただった」ということだってあります。

社員が黙って去ってくれるだけなら幸せな謀反ですが、声高らかに宣戦布告し攻撃をしかけてくる謀反だってあるのです。

●そもそも、親友や親戚、夫婦、親子ですら謀反がつきもの。表面的にはうまくいっていても、波風をたてたくないから今は我慢しているだけ、という時があるものです。
いや、まず古い自分に対して自分自身で謀反を起こしましょう。殻をやぶるのです。

●昔、こんな若者がいました。

彼は血液型A型の典型的な几帳面タイプ。机の上に置いた腕時計の向きがまっすぐかどうか気になって夜中に目を覚ますような子でした。
親や友だち、学校の先生に対しては、ずっと「良い子」で高校生まで育ちました。中学生までは学級委員を毎年つとめ、成績も学年ベスト10以内が指定席でした。親から見たら自慢の息子だったに違いありません。

●そんな少年がある日、突如、家出しました。ボストンバッグに着替えだけを詰めこんで、衝動的に夜8時に家を飛び出したのです。親が電話中のスキを盗み、弟には「僕は今から家出する」とだけ告げました。理由は詳しく覚えていませんが、親に対する謀反であると同時に「良い子」を演じる自分への謀反でもありました。

●少年はその日を境にして血液がすべて入れ替わったかのように人が変わりました。あれだけ几帳面だったのがウソのようにおおざっぱになり、「良い子」をやめたのです。
親や先生の期待どおりになるのが良いのではなく、自分の考えをもって自分の責任で動き始めました。

その少年が私です。

●親子の関係もその日をさかいに変わりました。

そのあとも、何度か謀反を起こしました。謀反のたびに悟りに近づくように思いますが、あと何回謀反を起こせばよいのか気が遠くなるほどです。

社員にも謀反を起こさせ、大人として対等かつ信頼しあえる関係を作っていきましょう。

2010年11月12日(金)更新

いつもニコニコ元気な笑顔

●自宅から会社まで歩くと25分、自転車だと17分で行けます。今朝は自転車にしましたが、17分間のすべてを笑顔で通してみました。ふと気づくと笑顔が消えそうになっているので、かなり大変な挑戦でした。

●たった一日の試みなので何も変化は起きませんでしたが、明らかにふだんよりたくさん人々の視線を集めたような気がします。もし、これを毎日続けたらどうなるでしょう?
こんなふざけた試みを思い立たせるような出来事が最近、連発したのです。

●まず最初は、ある会社から届いた「ゆうパック」でした。

「一度批評してほしい」と経営方針書を送ってきてくれた会社があるのです。匿名希望なので、仮の名前を『国定製鋼所』としておきましょう。

『国定製鋼所 第6期経営方針書』と金文字で印刷された豪華な装丁で、きちんとした経営管理がなされている印象を私に与えました。

●「きっと中味も正統派の経営方針書になっているのだろうなぁ」と思いきや・・・、明けてビックリの内容でした。イラスト、挿し絵満載、写真もあちこちに。すべてカラーコピーです。

1.経営理念:「いつもニコニコ元気な笑顔」
2.経営方針:「笑顔ウィルスで世界を覆い尽くそう。そのためには、
       ・社員の笑顔
       ・家族の笑顔
       ・お客様の笑顔
       ・取引先の笑顔
       ・地域の皆さまの笑顔
       ・会社の笑顔
       ・株主の笑顔
       をいつも忘れず実践します。」
3.各部活動計画
       ・笑顔で達成する長期と短期の業績目標
       ・笑顔で獲得する新規開拓
       ・笑顔で生み出す新サービス
       ・笑顔がきれいな人を集める活動
       ・笑顔でお金を大切にする経費削減計画
       ・笑顔の人を大切にする人育て計画
       
・・・etc. ざっとこのように、すべてが経営理念の「笑顔」にリンクして作られています。「国定製鋼所」という会社名は仮のものですが、方針書の骨子はまさしくこの通りなのです。

●笑顔にこだわることは素晴らしい。なぜなら、誰でも心がけひとつで簡単に出来ることだからです。それでいて、いつも笑顔を忘れずにいるのは並大抵なことではありません。それをやりきる、やらせきるところに価値が生まれます。それに笑顔を見るのは楽しいではないですか。

●そんなことがあった翌日、ジムのマシンで走っていました。いつしか、歯をかみしめて必死な形相で走り続ける私。知らぬ間にコーチが横に来ていました。

「武沢さん、ランニングで一番大切なことは何だと思います?」
「ハッ、ハッ、ハッツ、しらない、ハッ」
「ほら、息があがってますよね、それでは完全に心拍数オーバー。減量目的のランニングは、となりの人と会話ができる程度の呼吸を維持しましょう。そのためには、みけんの縦じわをとって、笑顔で走りましょう。笑顔を保ちながら心拍数オーバーになる、なんてことは絶対にありませんから」

●「ここでも笑顔か」と思いました。でも、たしかに笑顔になると、自然に心も明るい気持ちになっていくのが分かります。笑顔のままで暗い考えをすることはできないからです。

よし、しばらくは通勤時間だけでも "笑顔通勤" をやってみよう!

2010年11月05日(金)更新

新卒をとる

●「社長、こう言ってはなんだが、もっと三国志や水滸伝を読んで、リーダーの人心掌握のあり方を勉強したほうが良い」と捨てゼリフを残し、第一号社員は会社を辞めました。

●第二号社員は、採用が決まってから一週間、毎朝遅刻するので注意したら、「5分や10分のことで朝からガミガミ言われたくない。僕は、昨日もおとといも残業しているじゃないですか。残業時間から遅刻の分数を差し引けば良いでしょ!」と、手にしていた競馬新聞を机にたたきつけながら逆ギレしました。

その日の昼の休憩から、彼は会社に戻ることはありませんでした。
彼は勤務中にも競馬サイトをチェックしていたのを社長は知っていましたが、気分良く働いてもらうために、注意せずにいたのです。

●この社長は当時、「社員が宝ものだと思える日が本当に来るのだろうか?」と思ったそうです。

あれから8年、この社長の会社は株式公開企業となり隆盛を誇っています。

●そして今、こう語ります。
「社員はまちがいなく会社の宝もの、財産です。寸分も揺るがず、そうやって言い切れます。でも正直いって、そう言えるようになったのは、2年前くらいからです」とも。

●人は人を知る。類は友を呼ぶ。逆も真なり。釈迦やキリストに石を投げる者がいたように、異質な次元にいる人間に対しては、人は評価を見誤ります。

●別のある社長は、「採用が好きなんだ。要員計画に基づいて人を集めているのではなくて、ただ優秀な人を集めるのが僕の趣味みたいなものなんだ」と笑いながら語ります。
プロ野球の新人選手の活躍同様、ビジネス分野でも優秀な人材は初年度から即戦力の働きをします。

●新卒の採用はいつ始めるか。正解はありません。必要だなと思ったらすぐに取りかかるのが良いでしょう。なぜなら、最初の年からトップ水準がとれるとは限りません。むしろ、こちら側の経験不足のために、「並」「並以下」を「上」と勘違いしてしまうことだってあるのです。だからこそ、早めにたくさんの経験をしておいた方がよいのです。

●新卒学生を定期採用するということを特別なことのように思ってはなりません。ごく普通のことですし、事実、学生は集まります。もし学生が集まってこないような会社だとしたら、お客も集まってきていないはずです。

●新卒の定期採用を決断するまえに、"世間並み企業"の条件を整備してからにしようと思っても、うまくいきません。

たとえば、
・就業規則や賃金規定をつくってから
・社会保険完備してから
・先輩社員をある程度教育してから
・パソコンや机など、仕事環境を整備してから
・人件費予算を組んでから
・もっと儲かるようになってから
・・・etc.

むしろ逆です。"世間並み企業"をつくるために、新卒をとるのです。

今すぐコストの値打ちな新卒採用応援会社をみつけ、担当者を呼んで相談しましょう。すぐに申し込みして、それから逆算でこうした諸条件を整えていけばよいのです。

2010年11月01日(月)更新

無人島での貸借対照表

●臆病なのは短所ですが、慎重なのは長所になります。おせっかいなのは欠点ですが、面倒見が良いのは長所です。
つまり見方次第でいかようにもなる。

でしたら、不運とか不幸というのも、見方を変えれば幸運や幸福になるのでしょうか。

「はい、なります」というお話しをしましょう。

●イギリスの作家デフォーが書いた物語『ロビンソン・クルーソー』(1719年刊)をお読みになった方も多いと思います。

内容は、投機的精神に富む貿易商だったロビンソンが両親の反対を押しきって航海にでる。だがひどい嵐にあい、たったひとり流れ着いた無人島で28年間にも及ぶ孤独なサバイバル生活をおくり、見事生還するという物語です。

●この物語の中でロビンソンは、無人島にたった一人で漂着した我が身の不幸さをなげいて、ひたすら悲しみます。

「私には食物も家も衣類も武器も逃げ場もなく、救われる望みもなく、前途にはただ死があるだけであった。猛獣に喰われて死ぬか、蛮人に殺されるか、喰べるものがなくて餓死するかのいずれかであろう。夜になってから猛獣をおそれて樹にのぼって一夜をあかした」と、ロビンソンは最初の日記に記しました。

●ですが翌日、太陽の光を浴びながら周囲を見渡すと、相当な財産というか資産があることにも気づくきます。

まず、近くには水場がありました。浜辺にはボートが打ちあげられていましたし、沖合には、座礁した船が結構使える状態で残っていました。ボートと船を調べてみたら、食糧や衣類、ピストルや剣などの物資が出てきました。
おまけに、なにかの袋を振ってみたら、穀物が飛び散った。それが、数ヶ月後に大麦の穂を実らせたのです。

●たしかに、無人島単独漂着ということは不幸なことではありますが、身のまわりの境遇は決して悲観材料ばかりでないことに気づくロビンソン。
やがて、彼は貿易商としての知識を活かして、今の境遇の「良い点と悪い点」を貸借対照表にしようと考えます。

●左側に悪い点、右側に良い点を対比させ、次のように表を完成させていきました。

・悪い点その1.
 私はおそろしい孤島に漂着し、救われる望みはまったくない。
・良い点その1.
 他の乗組員全員が溺れたのに、私はそれを免れてげんにこうやって生きている

・悪い点その2.
 私は全人類から絶縁されている孤独者であり、人間社会から追放された者だ
・良い点その2.
 私は「食うものも無い不毛の地で餓死する」という運命を免れている

●この作業をやりながらロビンソンは悟りました。

「痛ましい境涯にあっても、そこには多かれ少なかれ感謝に値するなにものかがあるということを、私の対照表は明らかに示していた。世界じゅうで最悪の悲境に苦しんだ者として、私が人々にいいたいことは、どんな悲境にあってもそこにはわれわれの心を励ましてくれるなにかがあるということ、良いことと悪いこととの貸借勘定では、結局貸し方(良い方)のほうに歩があるということ、これである」と。

●その日から、ロビンソンは助け船を求めるために沖合ばかりを見るのをやめました。そして、自らの力で強く生きる力を回復するため、規則的な生活習慣、労働習慣、学習習慣(聖書と祈り)を守り始めるのでした。

無人島に漂着するのを待たずともよい。壁を感じるときがあれば、いつでも一人で作ってみてはどうでしょう。

ボードメンバープロフィール

board_member

武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

バックナンバー

<<  2010年11月  >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30