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2011年12月22日(木)更新

新しい顧客サービスを

●米国メジャーリーグでは、ファンサービスの一環として人気選手の一人がユニホームにピンマイクを付けてプレイする日があります。選手の声はテレビの副音声でそのまま放送されるそうで、通常の放送とはひと味違う楽しみがあるそうです。
 
●かつて、新庄選手がメジャーでプレイしていたある日のこと、ヒットで出塁した新庄選手に、相手チームの一塁手が話しかけてきました。当然、相手選手も、この日は新庄がマイクを付けていることを知っています。
 
「やぁ、新庄。ナイスバッティング」
「おぉ久しぶり。ありがと、我ながら完璧だった」
「ところで、そろそろ日本へ帰るのだろう」
「いいや、帰らないよ」
「野球プレイヤーのあとは何をやるつもり」
「(ちょっと間があってから) ムービースター!」
「マジかよ?」
「ああ、マジだ」
 
こんな会話がライブで聞けるのだからファンにはたまりません。
 
●別の日、あるアメリカ人選手(外野手)は、味方投手が連打を浴びつづけ、なかなか守備時間がおわりません。そんなとき、
「なにやってんだよ、お前。早く終わらせろよ、俺の方まで調子がおかしくなるぜ」
「頼むから今日は俺の方へ打球を飛ばさないでくれ」
などと一人グチりつづけるのです。
試合内容がつまらなくても、こうしたアメリカンジョークが聞けて、最後まで楽しく放送が見られのです。実にファンを大切にする試みだと思いませんか。
 
●日本でもようやく試合中に監督インタビューを受け付けたり、審判の頭にカメラを付けたりと、新しいファンサービスを始めましたが、とても良いことだと思います。
日本球界のファンサービスのあり方に大きな影響を与えた人として、アマチュア野球「茨城ゴールデンゴールズ」の萩本欽一さんがいます。彼のおかげでアマチュア野球がとても熱くなりました。
 
●演歌歌手・山本譲二氏が設立した社会人野球チーム、山口きららマウントGが、萩本監督率いる茨城ゴールデンゴールズと、対戦したことがあります。
結果は、13-12という壮絶な打撃戦を制し、山本監督のチームに軍配があがりました。1回裏には茨城GGの女性先頭打者に対し、山本監督は、同じ女性の投手を起用したり、9回には自分も代打で出場し、長島選手ばりの空振り三振で約1万人のファンを喜ばせたりしました。
 
●欽ちゃんお得意のマイクパフォーマンスはもちろん、この日は、元ジャイアンツの宮本和知投手を助っ人登板させたり、歌手の森山直太朗がゲスト登場し、歌と笑いと真剣勝負を織りまぜた演出に、ファンはみな大満足で帰路についたと報じられました。
 
●「茨城ゴールデンゴールズ」の本拠地は、茨城県稲敷市(旧・桜川村)。大半が農村部です。選手らは稲敷市に住み込み、野球と農業の両立を目指しています。
 
「社会人野球チームが相次いで廃部の傾向にあることや、プロ野球も再編の波に押されるなど、野球界全体が揺れ動いているので、少しでも野球界の活性につながれば」とこのチームを結成することを決心したという欽ちゃん。
 
●専用球場には村民の1割にあたる約700人のファンが集まることもあります。
お正月などは駐車場で餅つきをするなどのお祭り騒ぎで、地元の警察署員も出動するほど。 欽ちゃん自身、朝10時から夕方5時まで、集まったファンすべてにサインします。どんなに時間がかかっても、時間の許す限りサインするのです。「だって、来てくださいって言ったのは僕だもん」と、ファンを大事にする欽ちゃんらしい言葉ではありませんか。
 
●ファンサービスを追究するこうした事例から学びましょう。それによって、あなたの会社の顧客サービスも今までとは違う視点がきっと見つかるはずです。
 
 

2011年12月16日(金)更新

集客成功マニュアル

 

集客という行為を甘くみているのではないかと思うことがあります。

集客は、たくさんあるあなたの仕事の一部分なのではなく、全部だと思ってみてください。それが本業の集客であろうと、交流会の集客であろと、PTAの会合であろうと、引き受けた集客は全うさせるのが仕事というものです。従って、いかなる種の集客であっても、集客力はあなたの実力そのものであるということです。

 

セミナーや講演会、イベントへの集客に失敗した理由を尋ねてみると、毎回いろんな言い訳を聞くことができます。

 

・本業が忙しくて集客に手が回らなかった

・告知用のホームページ作りに手間取り、集客開始が遅れた

・開催日(時間)の設定を誤った

・風邪で一週間寝込んだのが響いた・・・

などなど。

 

しかし、言い訳をいくら並べても今後の集客力向上につながりません。

毎回の体験をもとに、そのつどノウハウを貯めていくべきでしょう。そこで今日は、集客力アップについて、心構えと技術の両面から考えてみることにしましょう。

 

《主催者にとっての集客力向上、心構え編》

 

1.集客は余分な仕事ではない。一番大切な仕事と心得るべし。

 

2.イベントの集客は協力者不在では成功しない。一人で抱え込むのではなく、集客の初期段階で協力者との信頼関係を作るべし。

 

3.集客の状況は、マメに報告・連絡・相談すべし。特に協力者に対しては逐一報告を入れることや、参加申込みしてくれたお客にも協力依頼するなど、集客への情熱を周囲に発信させ続けるべし。

 

4.取らぬ狸の皮算用をしないあのメルマガの告知で何人、あの人の一声で何人、などの数を合計してもその通りにならない場合が多い。むしろそうした計算で妙な安心感をもつと、集客行動が怠慢になることがある。

 

5.あなたのブランド保持のためにも、少なくとも一週間前には、「完売!」、「満席御礼!」、「キャンセル待ち」、「次回優先案内受付」など、実際に満席にして集客を打ち切るべし。いつまでも「受付中!」にしない。

 

以上が心構えで、次はテクニカルな面をみてみよう。

 

《主催者にとっての集客力向上、テクニカル編》

 

1.集客計画を作るべし

 ・日割りの集客目標を決め、誤差を毎日チェックする

 ・イベント開催日の一週間前には集客目標を達成する計画を作る。イベント前日とか当日に告知して
 いるようでは、ジタバタしているように周囲に思わせるだけだ。

 

 

2.ゴリヤクを明確にすべし

 このイベントに参加すると、

 ・誰にとって

 ・どのようなゴリヤクがあるか

 ・またなぜそう言えるのかを紙に書くべし。

 これを具体的に書くことができれば、おのずと対象者や協力者にそれを伝えやすくなる。これが、漠

 然としていたら相手も理解してくれない。当然、ホームページやチラシでもそれを明確にする。講演

 会やセミナーであれば、講師がどのような内容の話をするのか(レジメ)も可能な限り具体的に書
 く。

 

3.始動を早めるべし

 ・始動が早すぎて失敗することなどない。始動が早ければそれだけ告知期間が長くなる訳だから集客

 に有利となる。

 特に先々まで予定が入りやすい経営者やビジネスマンがメインターゲットの場合、最低でも二ヶ月前

 には集客を始めないと先約が入ってしまう。

 ・告知が早いだけでなく、実際上の参加申込み受付も早めるべし。告知だけして、「集客受付はまた

 後日」では意味がない。告知したその場でクロージングすべし。

 

4.露出計画・・・告知手段を多様化する

 ・幹事のメルマガやブログでの告知

 ・協力者のメルマガやブログでの告知

 ・チラシ配布

 ・有料の広告宣伝(雑誌や新聞掲載)

 ・無料のパブリシティ(マスコミ、ミニコミ、官公庁)など、デジタルとアナログを使い分けること

 と、露出媒体の多様化で一人でも多くのユニークユーザーに告知する。

 

5.熱意ある告知

 ・例としてメルマガ「がんばれ社長!」のセミナー集客効果について考える。

 私自身がそのイベントをどれだけすごいかと思えるかによって、紹介文章の熱に差が出る。自分も参

 加したいほどすごいイベントの場合は、それが読者にも伝わるので、配信部数の0.3%(100人)近い

 集客が一回の配信で可能になる場合もある。また、義理で告知協力するだけならば、0.01%(3人)

 程度だろう。告知に同じスペースを使っても何十倍もの差がでるということだ。以上のパーセンテー

 ジ×告知回数なのだが、二度目三度目の告知になると、それも徐々に下がっていくと考えよう。した
 がって、自分以外のメルマガ作者やブロガーに告知協力をお願いするときには、真剣にその協力者に
 売り込まねばならない。

 

 

以上は、私が考える「集客力向上マニュアル」だが、あとは、あなたの叡智をかたむけてこれを肉付けし、完成させてほしい。あとはその都度、これを実践補強していくだけである。

 

2011年12月09日(金)更新

おやじさんとO社長

●私の名古屋オフィスから徒歩30秒にある行きつけのそば屋が閉店しました。おやじさんが最近痩せてきて、体調を心配していたところだったのですが、後継者対策もままならないままシャッターが降ろされて一ヶ月、貼り紙もありません。
 
●うまいものを客に食わせて納得させるのが職人。このそば屋の近所に同業のチェーン店が出来たときも、隣にラーメン屋が出来たときも、このお店の主人は微動だにしませんでした。実に堂々たるもので、それが職人の意地とワザだとでもいいたそうでした。完璧なおやじさんだったのですが、経営者としてはどうだったのでしょうか。
 
●できるものならば、せっかく店を手伝ってくれていた二人の息子に継がせたかったのではないでしょうか。
店内で親子が言い争いをする場面をよく見ました。決して仲は良くないようでしたが、腹を割ってお店の今後について話し合ったことがあったかどうか。
 
●コンサルタントとして、お客として、いや、おやじさんが作るたぬきそば、おかめとじうどん、カレーうどんのファンとして、もう食べられなくなるのがあまりに悔しい。大げさかもしれないが、人生の損失と思えるのです。
 
●「機械設計の職人から経営のプロへ」
今から3年前、機械設計事務所のO設計のO社長が高らかにそう宣言しました。愛知県の大メーカーの機械設計室から独立し20年になります。当時、10名程度の社員を抱える設計事務所として高級車に乗ってゴルフ場に通えるほどにO社長はある程度成功していました。
 
●しかし、O社長はある日、悟ります。
「このままじゃ、街のそば屋と同じで一代限りの成功じゃないか」
O社長は、武沢が主催する「経営講座」の門をたたきました。
 
●やがて O社長はビジョンを定め、それを経営計画書として完成させました。今まで中途採用一本だった求人を新卒学生採用にも切り替えていきました。O社長の会社は変わり始めました。社長が社内にいなくても、組織として会社が回りだしました。人が育ち、業績も急激に伸びました。
 
●ついに36名の社員数までになったO社長は、3年前より今の方が若々しくみえます。
 
閉店してしまったそば屋のおやじさんとO社長とは、さほど年齢が変わらないはず。
そば屋のおやじさんの元気が回復し、志さえ立てれば、彼もまだまだ現役の経営者としてやるべきことがたくさん残っているはずです。
 
がんばれ! そば屋の親父
 
 

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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