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2006年12月01日(金)更新

責任とは何か

●社内報を毎月発行している会社での話です。

●この会社では編集スタッフ2名が担当ページを分担して仕上げるのですが、毎月締切日近くになると2人とも大わらわになります。このスタッフのAさん、Bさんの仕事ぶりがとても対照的で、面白いのです。

●Aさんは、原稿依頼をした相手に何度も電話確認をし、原稿締切日までに必ず提出するよう促します。それでも送られてこないときもあるので、電話確認をした月日と時刻の記録まで残してあります。しかし、たまには原稿が揃わずに記事に穴をあけてしまい、イラストや写真でごまかすことがあるそうです。

●一方のBさんも、確認の電話を入れるところまではAさんと同じです。違う点は、締切日に原稿が届いていない人には電話取材で原稿を仕上げるか、翌日に出かけてインタビューして記事を完成させるところです。その結果、いままで一度も記事に穴をあけたことはないといいます。

●あなたならどちらの人を高く評価するでしょうか? 二人ともがんばっているのですが、それでもBさんの方を評価するのではないでしょうか
●「自分は、やるべきことをやりました。打つべき手を全て打ちました。それでも相手が協力してくれなかったので、最終的には出来ませんでした」というのは、責任感があるとはいいません。

●仕事には、「経過責任」と「結果責任」があり、Aさんのようなタイプは「経過責任」しか果たしていないのです。自分には「結果責任」はない、と思っている分だけ無責任です。

●「いろいろありましたが、最終的には出来ました。次回以降の課題として、……という問題を解決していきます」という発言をする人が本当に責任がとれる人です。経過責任と同時に結果責任も果たしている人です。

●プロスポーツの選手や監督は結果を出さないと使ってもらえなくなります。不振が続くと、過去に偉大な業績があっても更迭されるのがプロの結果責任というものです。

●給料の高さは、責任の大きさの順でもあります。1人ひとりの仕事には明確な責任が存在するはずです。あなたの会社では、社員ごとに「いつまでにどのような状態をつくることがあなたの結果責任ですよ」という目標の共有ができているでしょうか。

●「責任をとる」という言葉の意味は、「評価を甘んじて受け入れます」ということです。「下された評価には異議をはさみません」というのが責任をとる者のスタンスです。

●人材を育成し、明日の経営者を育てていくには、このような「結果責任」のとれる仕事ぶりを教えていくことでもあるのです。