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2006年08月28日(月)更新

VSC(ベリー・シリアス・クレーム)

いつも時間に遅れる社長がいたので、注意しました。すると、「すいません、うちはクレーム産業なものですから急に呼び出されることが多くて・・・」という言い訳が返ってきました。

●<クレーム産業>とは便利なことばで、いろいろな言い訳に使えます。そもそもクレーム産業なんていう産業はありません。特定の会社にクレームが多いだけのことです。

●数年前、大手の電機メーカーや住宅メーカーが消費者からのクレーム処理に失敗し、ホームページ上でクレーム対応のやりとりを公開されるという事件がありました。「これは大変な時代になってしまった」と大企業各社はあわてました。インターネット時代にはこれからも起こりうる出来事として、企業側も抜本的なクレーム対策が求めらているのです。

●クレーム対策は、以下のように分けて考えるべきでしょう。
・クレームを起こさないようにする取り組み
・クレームが起きた場合の取り組み

●ひとことでクレームと言っても、いくつかのランクがあるはずです。たとえば、クレームでも小さなものから大きなものまで五つくらいに分類し、第五段階を「VSC」とよぶことにしましょう。これは「ベリー・シリアス・クレーム」の略で、大変深刻なクレームと訳せます。

●製品の品質にかかわるものや、社会常識的に考えてあるまじき問題が発生したとき、あるいは、そうした問題に発展する危険性があるときは「VSC」に分類します。
このVSCは、クレーム担当役員(場合によっては社長自身)がその処置にあたるとともに、二度とあってはならないという意味で、全社あげて再発防止を徹底することになります。重点思考で、このVSCを撲滅することから着手しましょう。

●名古屋の某ハウスメーカーも、こうした事例を参考に社内で「VSC撲滅委員会」を結成しました。この委員会でVSCに至ったケースを分析したら、例外なく、単一の理由ではなく、複数の要因が重なってVSCに発展していくことがわかりました。たとえば、雨漏りがするからといっていきなりVSCになることはなく、その後の対応の悪さが重なって深刻な事態に発展するのです。

●同社は、一般業務の報告・連絡・相談のしくみの中でクレームも一緒に扱うと、危険であることを発見しました。そして、一定段階以上のクレームは、直接役員に報告するシステムを作ったのです。

●相次ぐ企業不祥事をみていても、クレーム対応のお粗末さがマスコミの餌食になっています。クレームのすべてを撲滅させようとすることは現実的ではありません。むしろ、VSCに絞って撲滅を図りましょう

●あなたの会社のVSCにはどんなものがありますか? 一度、社内でじっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。