大きくする 標準 小さくする

2007年02月09日(金)更新

社長の存在価値

●ある会合で、次のような問題提起がありました。
社長の仕事と社員の仕事との違いは何だろうか? 社長の存在価値って何だろう?

<最終決定権者というだけの存在なのだろうか? であれば、権限はなるべく委譲しないほうが社長らしくいられるのではないか>

<いや、それじゃ人は育たない。見本を示して人を育てるのが社長の存在価値だ>

 などなど、議論は大いに盛り上がりました。そこでわかったことは、みなさんそれぞれ、社長業に関するイメージが異なるということです。

●創業間もない会社であれば、社長自らが営業に飛び回り、納品から資金の回収、クレーム処理に至るまで、すべて社員とともに汗を流すことでしょう。率先垂範が必要な時ですし、そうしなければ会社は回りません。
「どうしたらもっとたくさん売れるか」
「どうしたらもっとコストダウンできるか」
 を社員とともに考え、陣頭指揮します。こうしたことで利益が出ていれば、毎日が充実していますし、楽しいはずです。

●しかし、この段階をずっと続けると「一代限りの社長」に終わります。組織やシステムや人材が残らないのです。

●逆に言うと、社長の存在価値とは、組織や人を残すことです。そのためにやるべき仕事は、社長にしかできないのです。
●「社長の仕事」jの具体的な例をあげてみましょう。

1.事業の選択とビジネスモデルの決定(事業戦略)
2.雇用政策と要員管理(人事政策)
3.金融機関の選択と関係構築(金融政策や資本政策)
4.取引先や外部協力者などとの関係構築(パートナー政策)

 
つまり、社長固有の仕事とは、「~戦略」とか「~政策」といった語尾がつくもの、と言うことができるでしょう。

●“今日、今週、今月”のことを心配するのは社員に任せ、社長はこうした“来年、3年後、5年後、10年後”のことを心配するようになりましょう。そうした意味では、「いつのことを悩んでいるか」で社長の差がつくのです。

●「武沢さん、うちのような零細企業が社長業に専念するなんてムリですよ」
 という声が聞こえてきそうですが、ムリではありません。社長業に専念する時間を決めておけば良いのです。

●名古屋のある建設会社(社員数10名)の社長は、毎週土曜日を「社長業の日」と決めて、先ほど箇条書きした1~4の「社長ならではの仕事」をしておられます。また、別のある社長は、毎朝8時から9時までの1時間を「戦略タイム」と名づけて、 この時間に集中して「社長の仕事」をしています。

●要するに、社長業として何をすべきか、どのようにすべきかが決まっていれば、それをやる時間などは簡単にに捻出できる ということです。

社長の存在価値とは、社長しかやれない仕事をきっちりやることに尽きるのです