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2008年06月13日(金)更新

新しいリソース

●あるミーティングでのことです。
「武沢さん、今回のプロジェクトを成功させるために、あなたはどのような新しいリソース(資源)を提供してくれますか?
と質問されました。
「どういう意味ですか?」
と逆質問すると、
「あなたは今回、審判でも観客でもなくプレイヤーです。一人のプレイヤーとしてチームのためにどのような貢献をしていただけますか?」
とのことでした。

●質問を投げかけてきたのは、大橋禅太郎さん。『すごい会議』、『すごいやり方』などのベストセラーを書いた日本でも屈指のビジネスコーチです。愛知県のある会社が、社内改革のために『すごい会議』のやり方を導入することになり、その会社の社長と友人だった私も、「メンバーとして参画してほしい」と要請され、キックオフミーティングに参加したのでした。冒頭の質問はそのときのものです。

●実は、こんな「がちんこバトル」になるとは思っていませんでした。あくまで、私は研修オブザーバーのようなつもりで、大橋さんのコーチぶりやこの会社の変容ぶりを見とどけたかったのです。しかし、大橋さんはそんな生やさしいメンバーの存在を許しませんでした。そればかりか、他のメンバーにも「空砲での射撃練習」ではなく、あくまで、「実弾射撃」でミーティングを進めていきました。そして、この会社の主力製品の「売上げを半年以内に2倍にする」というチャレンジテーマをもって、毎回のミーティングをやることが決まったのです。
●あれよあれよという間にメンバーは目標を鮮明にし、役割分担と個々の目標に対するコミットメント(誓約)をしていきました。ベテランメンバーからは、批判の声も上がりましたし、途中で挫折して退職する人も出ました。しかし、責任者であるY社長が大橋さんを支持していたので、「新しいリソースを使え」という号令のもと、私もY社長も飛び込み営業をやって目標達成に邁進しました。

●そして半年後、売上げは1.5倍以上になりました。惜しくも目標は未達成でしたが、メンバー全員が大きく成長しました。得られた成果は数字だけではありません。新しいことに挑戦するときには、新しいリソースを各人に要求するということがとても大切だ、ということを学習しあったのです。

●ベテランが「昔取ったきねづか」で仕事をするのは悪いこととは言いませんが、その真逆にある「新しいリソース」を使った挑戦も欠かせないということです。