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2011年02月18日(金)更新

そうじ力

●世間では「断・捨・離」(だんしゃり)がブームだそうです。
何かとっておきのノウハウかと思いきや、昔から変わらない教えです。不要・不適・不快なモノとの関係を断ち、捨て、離れることから「断・捨・離」。それがブームになるほど多くの人はシンプルに生きるのが難しいようです。

●私は作家の書斎を見るのが大好きです。雑誌の「書斎特集」などをみていると、きれいに片付いた書斎もあれば、所せましと本や資料が散らかっている書斎もあります。もう少しきれいにすればもっと効率よく仕事ができるのに、と他人事ながら心配していまう乱雑な書斎もよくみます。

●何をかくそう、私もかつてはデスク回りがいつも散らかっていました。どうしたらきれいに片付くのか教えてほしいと思っていたのです。そして、数年前にある本と出会い、私に強い印象を与えました。『夢をかなえる「そうじ力」』(舛田光洋著、総合法令出版)という本です。

●著者の舛田さんは北海道出身で、35才の時に本書を刊行しました。
「そうじ力」なる言葉をうみだし「そうじ力」によって磁場の改善、心の改善、運勢の好転を提唱しています。最近では、中小企業の職場環境整備コンサルタントとして「そうじ力」を業績改善などに用いて成果をあげているそうです。

●きっかけは氏自身の失敗と再起だとか。
以前、事業で失敗し借金を抱えて離婚、失望、無気力へのプロセスを一直線に歩んでいったといいます。
その歩みは同時に、汚さへのプロセスでもありました。部屋を掃除しない、身なりを清潔に保てなくなる(入浴や化粧、ひげ剃り、洗面などをしなくなる)、他人がキレイに片づけると怒る、という悪循環です。

●そんな時、プロのそうじ屋をやっている友人が掃除道具持参でやってきて、著者の部屋を換気したあと、掃除をはじめました。
「お前も手伝え」と言われ、著者もしぶしぶ手伝いました。そして、きれいになった部屋で「どうだ、気持ち良いだろ」と友人。
そのとき、著者ははじめて気持ちいいという爽快感を味わったといいます。
それが「そうじ」と著者との出会い。

●ある心理学者の調査によれば、散らかった部屋、そうじの行き届いていないオフィスなどで生活を続けると、生理的な面でも心拍数や血圧の増加、動悸、首や肩の痛み、イライラが募り、怒りっぽくなるといいます。

●地下鉄や市内のカベの落書きを消し去っただけで米国NY市の犯罪は75%も減りました。崩壊寸前の学校が、PTAの親たちによるトイレ掃除で蘇ったケースも大阪にあります。こうした事実にもみられるように、環境が人間の生理や行動に極めて大きな影響を及ぼしていると舛田さん。

●ゴミやカビ、汚れや不要物が散乱しているということは、それ自体がマイナスの磁場を発しているというのです。
せっかく自己啓発本を読み、やる気になるような目標を作っても、マイナスの磁場がある職場や自宅では、自己矛盾を起こしてしまうでしょう。

●作家の多くは近くにたくさんの仕事のための資料や本が必要だから、あんなに机の上が散乱していたんです。作家でもない私が同じことをする必要はありません。
今や何でもデジタルの時代。これからの作家のデスクはパソコン以外は何もなくなる可能性だってあります。ビジネスピープルであればなおさらでしょう。

さあ、そうじです。