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社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2007年04月06日(金)更新
決断力の本質とは何か
●ソフトバンクの孫さんは、こう語ります。
「インターネットが普及しなかったら、当社はただのは石ころみたいな会社だったでしょうね」
創業時、パソコンソフトの卸売り会社だったソフトバンクは、インターネットの普及で大変身を遂げました。この大変身以降も、孫さんは大胆な決断を何度もしてきたことは、みなさんご存知のとおりです。
●あるとき、経営者が冗談めかして語ってくれました。
「武沢さん、ソフトバンクの孫さんがナスダックジャパンへの出資を決めたときは、たった5分での決断だったそうですよ。やっぱり優れた経営者は決断が早いのですね。それに比べて私は優柔不断でしてねぇ。昼にうどん屋に入ってからも何を注文するか、迷っちゃう時があるのですよ」
私が笑っていると、さらに続けてこう言いました。
「そこで最近、即断即決の訓練をしているんです。座る前に『きつねうどん』と頼んじゃう。結構できるものですね。もちろん昼食に何を食べるかという事くらいなら簡単に即決できるようになるのですが、経営の問題、たとえば人の採用や投資案件などは、なかなか即断できるものではないですね」
●決断は早いに越したことはありませんが、間違った決断ばかりしていては意味がありません。適切なタイミングで正しい決断をすることが必要です。それと同時に、今何を決めるべきかという「問いの正しさ」も必要です。
●そこで、決断力の総合値を公式にしてみました。
決断力=「問いの正しさ」×「決断のタイミング」×「決断の正しさ」
ではないかと思うのです。一つひとつの要素について、チェックしてみましょう。
●「問いの正しさ」
経営会議においてどのような案件が議題にのぼり、討議されるかという段階で、すでに企業間格差がついています。ドラッカーは『現代の経営』の中で、次のように語っています。
「戦略的な意思決定において重要かつ複雑な仕事は、正しい答えを見つけることではない。それは正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とまではいわないまでも、役に立たないものはない」
(以下、中略)
「したがって、意思決定において最初の仕事は、本当の問題を見つけ、それを明らかにすることである。この段階では、いくら時間をかけてもかけすぎるということはない」
つまり、経営における決断力を考えるうえでは、まず決断すべき事柄の選択が正しいことが前提条件なのです。
●「決断のタイミング」
決断すべきタイミングにも賞味期限があります。鮮度がみずみずしいうちに決定しなければ、永久にタイミングを失することすらあります。朝令暮改をおそれず、まず決断し、後から決断のよし悪しを再チェックしても良いのです。まずは、すばやく決断できる癖は身につけておきたいものです。
●3.「決断の正しさ」
決断の正しさは、その結果において証明するしか方法がありません。仮に二者択一の決断の場合、どちらか一方を決めるしかなく、残った一方の結果がどうであったかは知るよしもないのです。自分の決断が正しかったかどうかは客観的にはわからないもの。大切なことは、決断する前の段階で、成功と失敗の定義をしておくことです。
私は、7割の満足度が得られれば大成功だと思います。なぜなら、プロの世界におけるに次の勝率をみれば一目瞭然でしょう。
◇プロ将棋・・・年間約70の対局で勝率7割で一流
◇プロ野球・・・年間135試合で勝率6割で優勝
◇プロ野球の投手・・・バッターに対して勝率7割5分以上で一流
◇大相撲横綱の勝率・・・8割以上の勝率で一流
●賢明な経営者ならば、決断の勝率が5割を切ることはまずありません。それならば、理論的に考えて決断の数が多いほど有利になるという計算が働くでしょう。
プロスポーツでは、年間の試合数が決められていますが、経営では決断すべき数に制限はないのです。よって決断の勝率にこだわるのでなく、決断の勝数を重視しましょう。
●決断力が鈍いと感じているあなた、うどん屋での即断即決訓練も楽しいと思いますが、いかがでしょうか?
「インターネットが普及しなかったら、当社はただのは石ころみたいな会社だったでしょうね」
創業時、パソコンソフトの卸売り会社だったソフトバンクは、インターネットの普及で大変身を遂げました。この大変身以降も、孫さんは大胆な決断を何度もしてきたことは、みなさんご存知のとおりです。
●あるとき、経営者が冗談めかして語ってくれました。
「武沢さん、ソフトバンクの孫さんがナスダックジャパンへの出資を決めたときは、たった5分での決断だったそうですよ。やっぱり優れた経営者は決断が早いのですね。それに比べて私は優柔不断でしてねぇ。昼にうどん屋に入ってからも何を注文するか、迷っちゃう時があるのですよ」
私が笑っていると、さらに続けてこう言いました。
「そこで最近、即断即決の訓練をしているんです。座る前に『きつねうどん』と頼んじゃう。結構できるものですね。もちろん昼食に何を食べるかという事くらいなら簡単に即決できるようになるのですが、経営の問題、たとえば人の採用や投資案件などは、なかなか即断できるものではないですね」
●決断は早いに越したことはありませんが、間違った決断ばかりしていては意味がありません。適切なタイミングで正しい決断をすることが必要です。それと同時に、今何を決めるべきかという「問いの正しさ」も必要です。
●そこで、決断力の総合値を公式にしてみました。
決断力=「問いの正しさ」×「決断のタイミング」×「決断の正しさ」
ではないかと思うのです。一つひとつの要素について、チェックしてみましょう。
●「問いの正しさ」
経営会議においてどのような案件が議題にのぼり、討議されるかという段階で、すでに企業間格差がついています。ドラッカーは『現代の経営』の中で、次のように語っています。
「戦略的な意思決定において重要かつ複雑な仕事は、正しい答えを見つけることではない。それは正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とまではいわないまでも、役に立たないものはない」
(以下、中略)
「したがって、意思決定において最初の仕事は、本当の問題を見つけ、それを明らかにすることである。この段階では、いくら時間をかけてもかけすぎるということはない」
つまり、経営における決断力を考えるうえでは、まず決断すべき事柄の選択が正しいことが前提条件なのです。
●「決断のタイミング」
決断すべきタイミングにも賞味期限があります。鮮度がみずみずしいうちに決定しなければ、永久にタイミングを失することすらあります。朝令暮改をおそれず、まず決断し、後から決断のよし悪しを再チェックしても良いのです。まずは、すばやく決断できる癖は身につけておきたいものです。
●3.「決断の正しさ」
決断の正しさは、その結果において証明するしか方法がありません。仮に二者択一の決断の場合、どちらか一方を決めるしかなく、残った一方の結果がどうであったかは知るよしもないのです。自分の決断が正しかったかどうかは客観的にはわからないもの。大切なことは、決断する前の段階で、成功と失敗の定義をしておくことです。
私は、7割の満足度が得られれば大成功だと思います。なぜなら、プロの世界におけるに次の勝率をみれば一目瞭然でしょう。
◇プロ将棋・・・年間約70の対局で勝率7割で一流
◇プロ野球・・・年間135試合で勝率6割で優勝
◇プロ野球の投手・・・バッターに対して勝率7割5分以上で一流
◇大相撲横綱の勝率・・・8割以上の勝率で一流
●賢明な経営者ならば、決断の勝率が5割を切ることはまずありません。それならば、理論的に考えて決断の数が多いほど有利になるという計算が働くでしょう。
プロスポーツでは、年間の試合数が決められていますが、経営では決断すべき数に制限はないのです。よって決断の勝率にこだわるのでなく、決断の勝数を重視しましょう。
●決断力が鈍いと感じているあなた、うどん屋での即断即決訓練も楽しいと思いますが、いかがでしょうか?
2007年03月16日(金)更新
客離れ対策
●ある印刷会社の経営者との会話。
武沢:「客離れが目立つようになったという事ですが、理由は何でしょうか?」
社長:「最近は経営者の世代替わりが進んで、以前からうちと取引実績があるにもかかわらず、簡単に他社に乗り換えられてしまう。薄情なもんですよ。」
武沢:「どのような対策をたてておられますか?」
社長:「相手の世代にあわせて、当社も後継者か若い担当者をつけることで対応しています。信頼関係ができるまでには時間がかかりますからね。」
これだけの発想では、少々的はずれの努力と言わねばなりません。
●過去の取引実績が、未来の取引を保証してくれるものではありません。そのことは、この印刷会社の社長も充分承知しています。事実、この会社でも長年のつきあいがあった近所の原材料納入業者を、ネットで見つけた安い業者に切り替えたばかりです。
●仕事における信頼関係とは、担当者同士の人間関係で決まるものではありません。ましてや、社長同士の交友の有無で決まるものでもないのです。仕事の中身で決まります。中身とは、顧客の側からみた満足度や価値なのです。
●私たちは、新しく買ってもらうための努力は一生懸命しますが、それに比べてこれからも買い続けてもらうための努力は軽くなりがちなもの。
●ある保険代理店は、顧客に対して毎年一回、手紙に沿えてレポートを添付しています。そのレポートには、顧客の契約保険の内容と、その保障内容や特長がわかりやすく箇条書きにされています。こうしたフォローのおかげで、顧客は、なんのためにこの保険に入ったのかを再確認でき、契約の更新率が上がるだけでなく、新規の保険購入という面でも実績につながっているといいます。
●また、ある食品販売会社では顧客を工場に招待し、その衛生管理の徹底ぶりや食材へのこだわり、化学物質無添加などを訴えています。バス旅行も兼ねて無料招待しているので、毎月一回のこの企画は絶えず満席だそうです。
●こうした話を講演で話したところ、住宅建材販売の経営者から、こんな質問を受けました。
「当社では社長の人脈だけに頼った客先開拓をしてきて、これといったウリモノがないのです。どうすれば良いのですか?」
そこで、私はこう答えました。
「あなたの会社のウリモノが何なのか、再検討しましょう。できれば、それをお客様の側からみたゴリヤクで表現しましょう」
●最初は社長の人脈で営業できた相手とはいえ、顧客からみれば何らかのゴリヤクがあったはずです。それがあなたの会社の本質的なウリモノなのです。
●マーケティングを成功させる第一のキーワードは、「総合化」と「専門化」。関連製品やサービスや総合化することで顧客満足を高める作戦です。逆に、製品やサービスを特化し、顧客満足を高める作戦もある。名古屋のある印刷会社では何年も前から、「社内報」制作に特化したサービスを展開し、全国から注目を集めています。
●まずは、総合化の道を歩むのか、専門化の道を歩むのかを決めましょう。
●第二のキーワードは、「市場」と「ウリモノ」。第一と第二のキーワードを組み合わせて考えると、4つの選択肢が生まれます。
1.「市場」と「ウリモノ」をともに「総合化」する作戦
2.「市場」と「ウリモノ」をともに「専門化」する作戦
3.「市場」を「総合化」し、「ウリモノ」を「専門化」する作戦
4.「市場」を「専門化」し、「ウリモノ」を「総合化」する作戦
●経営コンサルタントを例にとれば、こうなる。
1.とは、あらゆる業界を対象にしたあらゆるコンサル活動
2.とは、特定業界に向けた特定メニューのコンサル活動
3.とは、あらゆる業界に向けた特定メニューのコンサル活動
4.とは、特定業界に向けたあらゆるコンサル活動
●こうして見てくると、冒頭の印刷会社の対応が的外れであることがおわかりでしょう。そして今、成長している会社は、ウリモノの矛先がしっかりとんがっているのです。
武沢:「客離れが目立つようになったという事ですが、理由は何でしょうか?」
社長:「最近は経営者の世代替わりが進んで、以前からうちと取引実績があるにもかかわらず、簡単に他社に乗り換えられてしまう。薄情なもんですよ。」
武沢:「どのような対策をたてておられますか?」
社長:「相手の世代にあわせて、当社も後継者か若い担当者をつけることで対応しています。信頼関係ができるまでには時間がかかりますからね。」
これだけの発想では、少々的はずれの努力と言わねばなりません。
●過去の取引実績が、未来の取引を保証してくれるものではありません。そのことは、この印刷会社の社長も充分承知しています。事実、この会社でも長年のつきあいがあった近所の原材料納入業者を、ネットで見つけた安い業者に切り替えたばかりです。
●仕事における信頼関係とは、担当者同士の人間関係で決まるものではありません。ましてや、社長同士の交友の有無で決まるものでもないのです。仕事の中身で決まります。中身とは、顧客の側からみた満足度や価値なのです。
●私たちは、新しく買ってもらうための努力は一生懸命しますが、それに比べてこれからも買い続けてもらうための努力は軽くなりがちなもの。
●ある保険代理店は、顧客に対して毎年一回、手紙に沿えてレポートを添付しています。そのレポートには、顧客の契約保険の内容と、その保障内容や特長がわかりやすく箇条書きにされています。こうしたフォローのおかげで、顧客は、なんのためにこの保険に入ったのかを再確認でき、契約の更新率が上がるだけでなく、新規の保険購入という面でも実績につながっているといいます。
●また、ある食品販売会社では顧客を工場に招待し、その衛生管理の徹底ぶりや食材へのこだわり、化学物質無添加などを訴えています。バス旅行も兼ねて無料招待しているので、毎月一回のこの企画は絶えず満席だそうです。
●こうした話を講演で話したところ、住宅建材販売の経営者から、こんな質問を受けました。
「当社では社長の人脈だけに頼った客先開拓をしてきて、これといったウリモノがないのです。どうすれば良いのですか?」
そこで、私はこう答えました。
「あなたの会社のウリモノが何なのか、再検討しましょう。できれば、それをお客様の側からみたゴリヤクで表現しましょう」
●最初は社長の人脈で営業できた相手とはいえ、顧客からみれば何らかのゴリヤクがあったはずです。それがあなたの会社の本質的なウリモノなのです。
●マーケティングを成功させる第一のキーワードは、「総合化」と「専門化」。関連製品やサービスや総合化することで顧客満足を高める作戦です。逆に、製品やサービスを特化し、顧客満足を高める作戦もある。名古屋のある印刷会社では何年も前から、「社内報」制作に特化したサービスを展開し、全国から注目を集めています。
●まずは、総合化の道を歩むのか、専門化の道を歩むのかを決めましょう。
●第二のキーワードは、「市場」と「ウリモノ」。第一と第二のキーワードを組み合わせて考えると、4つの選択肢が生まれます。
1.「市場」と「ウリモノ」をともに「総合化」する作戦
2.「市場」と「ウリモノ」をともに「専門化」する作戦
3.「市場」を「総合化」し、「ウリモノ」を「専門化」する作戦
4.「市場」を「専門化」し、「ウリモノ」を「総合化」する作戦
●経営コンサルタントを例にとれば、こうなる。
1.とは、あらゆる業界を対象にしたあらゆるコンサル活動
2.とは、特定業界に向けた特定メニューのコンサル活動
3.とは、あらゆる業界に向けた特定メニューのコンサル活動
4.とは、特定業界に向けたあらゆるコンサル活動
●こうして見てくると、冒頭の印刷会社の対応が的外れであることがおわかりでしょう。そして今、成長している会社は、ウリモノの矛先がしっかりとんがっているのです。
2007年03月09日(金)更新
コントロール係数<その2>
●前号の続き「コントロール係数」について取り上げます。改めて、「コントロール」可能な出来事と、「コントロール」不可能な出来事とを整理してみましょう。
●まず、「コントロール」という言葉の意味は、"自分の意思で結果を左右できる能力"のことでした。思った通りの場所へボールを投げることができるピッチャーのことを「コントロールがいい」と言いますが、それと同じ意味です。
●一方、起きてしまった出来事を受け入れ、そこから最善の対応を素早くとれる能力のことを「マネジメント」と言う、とも説明しました。
●つまり、経営の仕事とは、「コントロール」と「マネジメント」という2つの力の“和”を高めることでもあるわけです。
◇コントロール可能・・・自分自身とその未来
◇コントロール不可能・・・天候やアクシデント、社会現象、それに、過去
◇中間・・・他人(顧客、上司、部下、家族)や世の中
といったところでしょうか。
●自分が決めた目標をきっちりと達成しようとしたら、未来に対するコントロール係数を高めていかねばなりません。そのためには、粘り強さが必要になります。
●たとえば、営業という仕事を例にして考えてみましょう。目標が未達に終わった営業マンは、達成した営業マンと違ってサボっていたのでしょうか? サボっていた人もいるかも知れませんが、それがすべての理由とは思えません。
●『成功哲学』の著者ナポレオン・ヒルは、「大多数の人間が失敗するのは、失敗した計画に勝る新しい計画をたてるだけの粘り強さに欠けるからである」と語っています。この理論をそのまま当てはめるなら、未達成の営業マンは、よりよい計画作りをする粘り強さに欠けているということになります。
●部下の販売実績が計画を下回ったときには、その原因を尋ねてみましょう。いろいろな返答が返ってくるでしょうが、“自分の中に原因がある”ときちんと受け止めているなら、見込みがあります。もし、そうでなければ、実績が上向く可能性はありません。これこそが、結果をコントロール可能とみているのか、そうでないのかの違いなのです。
●計画未達の営業マンから返ってくる典型的な回答を分析してみましょう。
1.「どの客先も要求が厳しく見積もり負けします」
これは、売れない理由を景気や他社のせいにしており、自分ではコントロールできない、と表明しているようなものです。そこから脱却して、具体的に自分はどうしたいのかを考えることによって、コントロール係数は上がるでしょう。
2.「うちの商品では他社に太刀打ちできません」
売れない理由は自社製品の競争力のせいとしています。これも、計画未達は自分のコントロール圏外の問題、と言わんばかりです。
3.「今までの売り方が通用しなくなってきました。新しい作戦を考案する必要があります」
計画未達を自分自身もしくは、自部門の問題ととらえています。ここからは、結果をコントロールしようという姿勢が感じられます。
●もちろん、うまくいかない原因を頭の中でじっくり考えることも大切ですが、膨大に試してうまくいったものを残すという、エジソンの発明手法も参考になります。
●いずれにしろ、未来に対するあなたのコントロール係数を高めることが目標達成への精度を上げることにつながるわけです。ぜひ、主体的にこのテーマと格闘していきましょう。
●まず、「コントロール」という言葉の意味は、"自分の意思で結果を左右できる能力"のことでした。思った通りの場所へボールを投げることができるピッチャーのことを「コントロールがいい」と言いますが、それと同じ意味です。
●一方、起きてしまった出来事を受け入れ、そこから最善の対応を素早くとれる能力のことを「マネジメント」と言う、とも説明しました。
●つまり、経営の仕事とは、「コントロール」と「マネジメント」という2つの力の“和”を高めることでもあるわけです。
◇コントロール可能・・・自分自身とその未来
◇コントロール不可能・・・天候やアクシデント、社会現象、それに、過去
◇中間・・・他人(顧客、上司、部下、家族)や世の中
といったところでしょうか。
●自分が決めた目標をきっちりと達成しようとしたら、未来に対するコントロール係数を高めていかねばなりません。そのためには、粘り強さが必要になります。
●たとえば、営業という仕事を例にして考えてみましょう。目標が未達に終わった営業マンは、達成した営業マンと違ってサボっていたのでしょうか? サボっていた人もいるかも知れませんが、それがすべての理由とは思えません。
●『成功哲学』の著者ナポレオン・ヒルは、「大多数の人間が失敗するのは、失敗した計画に勝る新しい計画をたてるだけの粘り強さに欠けるからである」と語っています。この理論をそのまま当てはめるなら、未達成の営業マンは、よりよい計画作りをする粘り強さに欠けているということになります。
●部下の販売実績が計画を下回ったときには、その原因を尋ねてみましょう。いろいろな返答が返ってくるでしょうが、“自分の中に原因がある”ときちんと受け止めているなら、見込みがあります。もし、そうでなければ、実績が上向く可能性はありません。これこそが、結果をコントロール可能とみているのか、そうでないのかの違いなのです。
●計画未達の営業マンから返ってくる典型的な回答を分析してみましょう。
1.「どの客先も要求が厳しく見積もり負けします」
これは、売れない理由を景気や他社のせいにしており、自分ではコントロールできない、と表明しているようなものです。そこから脱却して、具体的に自分はどうしたいのかを考えることによって、コントロール係数は上がるでしょう。
2.「うちの商品では他社に太刀打ちできません」
売れない理由は自社製品の競争力のせいとしています。これも、計画未達は自分のコントロール圏外の問題、と言わんばかりです。
3.「今までの売り方が通用しなくなってきました。新しい作戦を考案する必要があります」
計画未達を自分自身もしくは、自部門の問題ととらえています。ここからは、結果をコントロールしようという姿勢が感じられます。
●もちろん、うまくいかない原因を頭の中でじっくり考えることも大切ですが、膨大に試してうまくいったものを残すという、エジソンの発明手法も参考になります。
●いずれにしろ、未来に対するあなたのコントロール係数を高めることが目標達成への精度を上げることにつながるわけです。ぜひ、主体的にこのテーマと格闘していきましょう。
2007年03月02日(金)更新
コントロール係数<その1>
●世の中には、自分一人の力で結果が出せることと、一人の力ではどうにもならないことがあります。この二つの分かれ目となるキーワードを、仮に「コントロール係数」と呼ぶことにしましょう。
●「コントロール係数」が100%とはどのようなことかと言うと、自分一人の力によって思い通りに事態を変えられるということです。たとえば、あなたの行動はあなた一人の意志で動かすことができるでしょう。お昼に何を食べるか、夜は何時に就寝するか、明日の朝は何時に起きるか、などはあなたの自由意志で決められますから、「コントロール係数」は100%といえます。
●逆に、あなた一人ではどうにも変えられない状態を「コントロール係数」0%と言います。たとえば、今日の電車が時刻表通り動いているか、お天気はどうか、ドルの為替相場は今後どうなるか、といったことは、あなたの意志や努力ではどうにもなりませんから、「コントロール係数」は0%です。
●100%と0%は比較的わかりやすいのですが、問題はその中間です。
たとえば、以下の文章の~に「コントロール係数」を当てはめてみてください。
・あなたの部下の~は?
・あなたの伴侶の~は?
・あなたの子どもの~は?
・あなたの会社の今期業績の~は?
・10年後のあなたの会社の~は?
●ところで、経営に関することの大半は、これら「コントロール係数」が1%以上100%未満の間にあると言ってもよいでしょう。
●「一寸先は闇」という言葉がありますが、この言葉の本当の意味は「未来は闇のように暗い」という意味ではなく、「未来は闇の中にあるようにわからない」という意味です。
●未来の会社も未来の私も、「闇」の中にあるのは誰にとっても同じなのですが、濃淡のアミがかかっているようなもので、アミ100%の人は文字どおり真っ暗なのです。ですから先のことは皆目見当がつかないはずです。
●濃淡のアミ50%の人は半分くらいは見えるが半分はまったくわからない人。アミ10%の人はかなりよく見える人ということです。
●「コントロール係数」が高い人とはアミが薄い人なのですが、誰もがアミがかかっているという事実には変わりありません。そして、経営という仕事はこのコントロール係数をいかに高めていくかという勝負ではないかと思うのです。さらに言えば、コントロール不可能な出来事への対処能力をいかに高めるか、ということも経営上の大きな課題です。
●「コントロール」とは反対の意味で使われる言葉に、「マネジメント」があります。マネジメントとは、起きてしまった出来事にどれだけ上手に対応できるか、つまり「状況対応力」のことを指すのです。
●言葉の意味を整理すると、以下のようになります。
・コントロール・・・自分の意思で結果を左右できる能力のこと
・マネジメント・・・起きてしまった出来事を受け入れて、そこから最善策を素早くとる 能力のこと
●そこで提案です。経営者としてまず成すべき事は、「コントロール係数」100%の分野に関心を集中させることです。間違っても、「コントロール係数」0%のことに時間やエネルギーを浪費してはなりません。
●もちろん、部下に対しても、同じように指導しましょう。部下も自分でできることに専念しなければならないのです。
●次号では、私たち自身の生産性を高めることに的を絞って、「コントロール係数」の応用方法について考えていきしょう。
●「コントロール係数」が100%とはどのようなことかと言うと、自分一人の力によって思い通りに事態を変えられるということです。たとえば、あなたの行動はあなた一人の意志で動かすことができるでしょう。お昼に何を食べるか、夜は何時に就寝するか、明日の朝は何時に起きるか、などはあなたの自由意志で決められますから、「コントロール係数」は100%といえます。
●逆に、あなた一人ではどうにも変えられない状態を「コントロール係数」0%と言います。たとえば、今日の電車が時刻表通り動いているか、お天気はどうか、ドルの為替相場は今後どうなるか、といったことは、あなたの意志や努力ではどうにもなりませんから、「コントロール係数」は0%です。
●100%と0%は比較的わかりやすいのですが、問題はその中間です。
たとえば、以下の文章の~に「コントロール係数」を当てはめてみてください。
・あなたの部下の~は?
・あなたの伴侶の~は?
・あなたの子どもの~は?
・あなたの会社の今期業績の~は?
・10年後のあなたの会社の~は?
●ところで、経営に関することの大半は、これら「コントロール係数」が1%以上100%未満の間にあると言ってもよいでしょう。
●「一寸先は闇」という言葉がありますが、この言葉の本当の意味は「未来は闇のように暗い」という意味ではなく、「未来は闇の中にあるようにわからない」という意味です。
●未来の会社も未来の私も、「闇」の中にあるのは誰にとっても同じなのですが、濃淡のアミがかかっているようなもので、アミ100%の人は文字どおり真っ暗なのです。ですから先のことは皆目見当がつかないはずです。
●濃淡のアミ50%の人は半分くらいは見えるが半分はまったくわからない人。アミ10%の人はかなりよく見える人ということです。
●「コントロール係数」が高い人とはアミが薄い人なのですが、誰もがアミがかかっているという事実には変わりありません。そして、経営という仕事はこのコントロール係数をいかに高めていくかという勝負ではないかと思うのです。さらに言えば、コントロール不可能な出来事への対処能力をいかに高めるか、ということも経営上の大きな課題です。
●「コントロール」とは反対の意味で使われる言葉に、「マネジメント」があります。マネジメントとは、起きてしまった出来事にどれだけ上手に対応できるか、つまり「状況対応力」のことを指すのです。
●言葉の意味を整理すると、以下のようになります。
・コントロール・・・自分の意思で結果を左右できる能力のこと
・マネジメント・・・起きてしまった出来事を受け入れて、そこから最善策を素早くとる 能力のこと
●そこで提案です。経営者としてまず成すべき事は、「コントロール係数」100%の分野に関心を集中させることです。間違っても、「コントロール係数」0%のことに時間やエネルギーを浪費してはなりません。
●もちろん、部下に対しても、同じように指導しましょう。部下も自分でできることに専念しなければならないのです。
●次号では、私たち自身の生産性を高めることに的を絞って、「コントロール係数」の応用方法について考えていきしょう。
<次号につづく>
2007年01月26日(金)更新
中小企業にとっての「自立化」とは何か
●日本の各都道府県それぞれに中小企業家同友会という組織があります。私も愛知県のメンバーとして活動していますが、活動目的のひとつに「経営の自立化」を掲げています。
●しかし、実際には製造業や建設業に属する中小企業のなかには、まだまだ自立できていない企業が数多く見受けられます。
●まず、「自立」とは何かを辞書で調べてみると、こうありました。
「他の助けや支配なしに自分一人の力で物事を行うこと。ひとりだち。独立」
●さっそく、中小企業家同友会の中で「経営の自立化とは何か」を議論しました。このグループは、たまたま製造業の経営者が多く、そのほとんどが下請け依存度の高い会社でした。
●参加者に、「自立型企業の条件」として考えるものをアトランダムに書き出してもらい、それを発表しあうところから議論をスタートしました。100項目近くがリストアップされたので、とてもすべてはご紹介できませんが、ピックアップしてご紹介しましょう。
1.下請け仕事の比率が少ないこと
2.価格決定権があること(ある程度でも)
3.納期決定権があること(ある程度でも)
4.新規の客先開拓が断続的にできていること
5.相見積もりの仕事が少なく、指名で仕事がくること
6.オリジナル商品・オリジナル技術があること
7.客先がきちんと支払い条件を守ってくれる力関係であること
8.仕事を確保するごとに金策に走らなくて済むこと
9.値段を決めずに仕事が先行するような状態ではないこと
10.社員に突然の残業を頼まなくてもよい状態であること
11.年間労働時間数が世間並みにおさまる状態であること
12.求人広告に対してそれなりの反応がある状態であること
・・・.etc
●次に、自立型企業になるために何が必要かについて、話し合いました。こちらの議論は活発とはいかず、散発的な意見しか出ませんでした。
1.その日暮らしでなく、計画的な経営がなされていること
2.自ら発信できる情報をもっていること
3.社員教育をして経営者が孤軍奮闘しなくても済むようにしておくこと
4.弱者同士が結束して大企業に立ち向かうこと
5.研究開発のための費用と時間を予算化すること
・・・.etc
●議論の過程では、「下請け仕事でも良いじゃないか、どこにも負けないものを持っていれば」という意見も出ました。これは、私も同感です。下請けがいけない、という議論ではありません。自立化していないことが問題なのです。
●さて、同友会のミーティングでこの日たどり着いた最終結論は、次のようになりました。
<経営の自立化の手順>
1.競争の武器をもつ
同業他社との違いをしっかり作り、画期的な技術や製品がなくても競合に勝てる魅力を開発する。特に中小零細企業の場合、コスト競争力と小回りの効いた対応、柔軟性とやる気などが武器になるはずである。
2.自由研究
勤務時間の10%を自由研究時間にあて、製品開発や技術開発を社内で奨励する。または、勤務時間を午後7時までとして、それまでの時間は下請け仕事をやり、それ以後は自由研究時間にあてるのも良い。
3.自由研究から生まれたナイスアイデアに対し、開発資源を確保する
製品開発・事業開発に時間と予算を付けて計画する
4.独自の製品・サービスを世に問う
ただし、一発で成功させようと思わないこと(肩の力を抜いて)
このサイクルをくり返し、ナンバーワンからオンリーワンづくりをめざそうということです。
●要するに、自立化するのだという決意を鮮明にすること。そして、それを実行に移すための方策をもっていることが大切なのです。
●しかし、実際には製造業や建設業に属する中小企業のなかには、まだまだ自立できていない企業が数多く見受けられます。
●まず、「自立」とは何かを辞書で調べてみると、こうありました。
「他の助けや支配なしに自分一人の力で物事を行うこと。ひとりだち。独立」
●さっそく、中小企業家同友会の中で「経営の自立化とは何か」を議論しました。このグループは、たまたま製造業の経営者が多く、そのほとんどが下請け依存度の高い会社でした。
●参加者に、「自立型企業の条件」として考えるものをアトランダムに書き出してもらい、それを発表しあうところから議論をスタートしました。100項目近くがリストアップされたので、とてもすべてはご紹介できませんが、ピックアップしてご紹介しましょう。
1.下請け仕事の比率が少ないこと
2.価格決定権があること(ある程度でも)
3.納期決定権があること(ある程度でも)
4.新規の客先開拓が断続的にできていること
5.相見積もりの仕事が少なく、指名で仕事がくること
6.オリジナル商品・オリジナル技術があること
7.客先がきちんと支払い条件を守ってくれる力関係であること
8.仕事を確保するごとに金策に走らなくて済むこと
9.値段を決めずに仕事が先行するような状態ではないこと
10.社員に突然の残業を頼まなくてもよい状態であること
11.年間労働時間数が世間並みにおさまる状態であること
12.求人広告に対してそれなりの反応がある状態であること
・・・.etc
●次に、自立型企業になるために何が必要かについて、話し合いました。こちらの議論は活発とはいかず、散発的な意見しか出ませんでした。
1.その日暮らしでなく、計画的な経営がなされていること
2.自ら発信できる情報をもっていること
3.社員教育をして経営者が孤軍奮闘しなくても済むようにしておくこと
4.弱者同士が結束して大企業に立ち向かうこと
5.研究開発のための費用と時間を予算化すること
・・・.etc
●議論の過程では、「下請け仕事でも良いじゃないか、どこにも負けないものを持っていれば」という意見も出ました。これは、私も同感です。下請けがいけない、という議論ではありません。自立化していないことが問題なのです。
●さて、同友会のミーティングでこの日たどり着いた最終結論は、次のようになりました。
<経営の自立化の手順>
1.競争の武器をもつ
同業他社との違いをしっかり作り、画期的な技術や製品がなくても競合に勝てる魅力を開発する。特に中小零細企業の場合、コスト競争力と小回りの効いた対応、柔軟性とやる気などが武器になるはずである。
2.自由研究
勤務時間の10%を自由研究時間にあて、製品開発や技術開発を社内で奨励する。または、勤務時間を午後7時までとして、それまでの時間は下請け仕事をやり、それ以後は自由研究時間にあてるのも良い。
3.自由研究から生まれたナイスアイデアに対し、開発資源を確保する
製品開発・事業開発に時間と予算を付けて計画する
4.独自の製品・サービスを世に問う
ただし、一発で成功させようと思わないこと(肩の力を抜いて)
このサイクルをくり返し、ナンバーワンからオンリーワンづくりをめざそうということです。
●要するに、自立化するのだという決意を鮮明にすること。そして、それを実行に移すための方策をもっていることが大切なのです。
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