武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2007年07月20日(金)更新
仕事の懐石料理化
●先週、北海道の知床に旅行してきました。野生のエゾシカやヒグマ、キタキツネなどが棲息していて、大自然のなかで動物と人間が一緒になって生活している様子が感じられ、とてもリフレッシュできました。実際に、目の前でシカやキツネの写真も撮ることもできました。
●今回の旅で、一番印象に残ったのは料理でした。北海道へ年二回は行っている私ですら感動する魚介料理。道東は、ウニやカニなどの北海道ならではの魚や、野菜に恵まれており、知床の旅館でいただいた夕食は「過去最高」だったかもしれません。
●ちょうどハイシーズンに入りだしたのか、旅館はとても混んでおり、夕食会場は満席の状態。和食の懐石料理だったので、出てきた皿を平らげた頃に新しい皿が来るのですが、混雑のせいか、なかなか食べ終わった料理皿を片付けてくれません。
●幸い大きいテーブルなので気にしませんでしたが、食べ終わる頃には並んだ皿の多さにビックリしました。「こんなにも平らげたのだ~」という満足感と、「大食漢だなぁ」という嘆き。もし、最初からドーンと全部の皿がテーブルに乗っていたら、いくつかは残していたでしょう。小分けに出てくるからこそ、完食できたのです。
●その時私は、次の出来事を思いだしていました。
●N社長(41才)は内装工事を専門に請け負う会社の女社長です。6名の社員も全員女性で、独特の感性を武器にしているために、ゼネコン・サブコンからの信頼が厚く、業績も安定しています。
●その一方で、NさんにはTO-DOリストが増える一方だという悩みがありました。最近は、仕事がちっとも減らず、毎日夜遅くに仕事を終わらせても、「やった~」という達成感が味わえなくなっているというのです。
●「やるべきこと」や「やりたいこと」は、愛用のパームPCに全て入力してあるそうです。そうしてTO-DOを管理し、一日あたり数項目のリストを消化しているのですが、それを上回るリストが毎日追加されていくということでした。先日TO-DOが一体いくつあるのか数えてみたところ、プライベートなものを含めて500以上あったそうです。
●私のTO-DOの何倍もあったので、「それはおめでとう」と冷やかそうとしましたが、Nさんの真剣な表情を見て、ジョークは控えました。その後の二人の会話は、以下のようなものでした。
N氏:「助けて下さいよ、武沢さん。忙しいのは歓迎なのですが、時間管理がメチャクチャです。」
武沢:「秘書でも雇ったらどうですか?」
N氏:「えっ? 秘書ですか?」
武沢:「そうです。あなたが秘書を採用するとしたら、どのような秘書を雇いますか?」
N氏:「以前、秘書検定の勉強をしたことがあるのですが、ビジネスマナーとか接遇とかの一般的な内容でしたので、有能な秘書像が思いつかないのです。私が楽になるようなマネジメントをやってもらえたら助かりますねぇ。」
武沢:「社長が楽になるようなマネジメントって、具体的には?」
N氏:「よくテレビで出てくる有能な秘書みたいに、社長が目の前の仕事に集中できるように関係者との予定調整や諸連絡、雑用などを全てやってくれることですかね。」
武沢:「それは何のために?」
N氏:「社長が常に優先順位の高いことだけをやれるようにするためでしょう。今の私は、本来自分がやるべきじゃないことまでたくさんやっているような気がして・・・。」
武沢:「なるほど。では逆に、最悪な秘書とはどのような秘書だと思いますか?」
N氏:「外部から頼まれた仕事を何でもすべて引き受けて、社長の時間を混乱させるような秘書でしょうか。」
●さすが秘書の勉強をされたというN社長、本質をよく理解しておられます。社長がやるべき事に専念できる時間を、いかに作り出すかが秘書の腕のみせどころです。無能な秘書は、社長のスケジュールを予定で真っ黒にするでしょう。
●社長は、まず自分自身の有能な秘書でなければならないのです。旅館の懐石料理を思いだしてください。出される一皿ずつを食していく方が、満足感を得ながらたくさんの料理が食べられます。
●自身の仕事を懐石料理化しましょう。そのためには、朝昼晩10分ずつだけでも、立ち止まって考える時間を作るべきです。その時間で仕事の目標や予定などを確認し、TO-DOリストをメンテナンスすることで、以後の仕事がコントロールできるようになるのです。
●今回の旅で、一番印象に残ったのは料理でした。北海道へ年二回は行っている私ですら感動する魚介料理。道東は、ウニやカニなどの北海道ならではの魚や、野菜に恵まれており、知床の旅館でいただいた夕食は「過去最高」だったかもしれません。
●ちょうどハイシーズンに入りだしたのか、旅館はとても混んでおり、夕食会場は満席の状態。和食の懐石料理だったので、出てきた皿を平らげた頃に新しい皿が来るのですが、混雑のせいか、なかなか食べ終わった料理皿を片付けてくれません。
●幸い大きいテーブルなので気にしませんでしたが、食べ終わる頃には並んだ皿の多さにビックリしました。「こんなにも平らげたのだ~」という満足感と、「大食漢だなぁ」という嘆き。もし、最初からドーンと全部の皿がテーブルに乗っていたら、いくつかは残していたでしょう。小分けに出てくるからこそ、完食できたのです。
●その時私は、次の出来事を思いだしていました。
●N社長(41才)は内装工事を専門に請け負う会社の女社長です。6名の社員も全員女性で、独特の感性を武器にしているために、ゼネコン・サブコンからの信頼が厚く、業績も安定しています。
●その一方で、NさんにはTO-DOリストが増える一方だという悩みがありました。最近は、仕事がちっとも減らず、毎日夜遅くに仕事を終わらせても、「やった~」という達成感が味わえなくなっているというのです。
●「やるべきこと」や「やりたいこと」は、愛用のパームPCに全て入力してあるそうです。そうしてTO-DOを管理し、一日あたり数項目のリストを消化しているのですが、それを上回るリストが毎日追加されていくということでした。先日TO-DOが一体いくつあるのか数えてみたところ、プライベートなものを含めて500以上あったそうです。
●私のTO-DOの何倍もあったので、「それはおめでとう」と冷やかそうとしましたが、Nさんの真剣な表情を見て、ジョークは控えました。その後の二人の会話は、以下のようなものでした。
N氏:「助けて下さいよ、武沢さん。忙しいのは歓迎なのですが、時間管理がメチャクチャです。」
武沢:「秘書でも雇ったらどうですか?」
N氏:「えっ? 秘書ですか?」
武沢:「そうです。あなたが秘書を採用するとしたら、どのような秘書を雇いますか?」
N氏:「以前、秘書検定の勉強をしたことがあるのですが、ビジネスマナーとか接遇とかの一般的な内容でしたので、有能な秘書像が思いつかないのです。私が楽になるようなマネジメントをやってもらえたら助かりますねぇ。」
武沢:「社長が楽になるようなマネジメントって、具体的には?」
N氏:「よくテレビで出てくる有能な秘書みたいに、社長が目の前の仕事に集中できるように関係者との予定調整や諸連絡、雑用などを全てやってくれることですかね。」
武沢:「それは何のために?」
N氏:「社長が常に優先順位の高いことだけをやれるようにするためでしょう。今の私は、本来自分がやるべきじゃないことまでたくさんやっているような気がして・・・。」
武沢:「なるほど。では逆に、最悪な秘書とはどのような秘書だと思いますか?」
N氏:「外部から頼まれた仕事を何でもすべて引き受けて、社長の時間を混乱させるような秘書でしょうか。」
●さすが秘書の勉強をされたというN社長、本質をよく理解しておられます。社長がやるべき事に専念できる時間を、いかに作り出すかが秘書の腕のみせどころです。無能な秘書は、社長のスケジュールを予定で真っ黒にするでしょう。
●社長は、まず自分自身の有能な秘書でなければならないのです。旅館の懐石料理を思いだしてください。出される一皿ずつを食していく方が、満足感を得ながらたくさんの料理が食べられます。
●自身の仕事を懐石料理化しましょう。そのためには、朝昼晩10分ずつだけでも、立ち止まって考える時間を作るべきです。その時間で仕事の目標や予定などを確認し、TO-DOリストをメンテナンスすることで、以後の仕事がコントロールできるようになるのです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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