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2010年09月24日(金)更新

夢と情熱で負けない

●知識がないことは恥ではありません。
むしろ知ったかぶりをしないことです。知らないことは堂々と知らないと言いましょう。
しかし、どうしたら知ることができるのか、誰なら知っているのかを知っておくことはとても大切です。

●「己の周りに、己より優れし人物を集めたる者、ここに眠る」という米国・鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーの墓碑銘はあまりに有名です。彼は電話のプッシュボタン一つで世界中の権威に相談できたと言われています。

●日本でも同様の人物がいます。松下幸之助氏です。
氏が大学生の定期採用を始めたころ、専門知識を披瀝する新入社員の話をさえぎって、こう言い放ちました。
「あんたの話は難しくてさっぱりわからん。難しいことを私にもわかるように話しをするのが大学出のあんたの役目やろう」

●これらのエピソードをあえて大胆に要約すれば、「高度な学問や知識はお金で買える」というものです。大切なのは、それらのものを目的に応じて使いこなしていくことができてはじめて知識は有益なのです。

●「力のある者は頭のいい者に使われ、頭のいい者は金持ちに使われ、金持ちは夢のある者に使われる」と言われますが、中小企業の社長ならそれらのすべてを持っているべきだと思います。
特に社長は、会社をよりよくすることに対する夢と情熱では誰にも負けてはなりません。

・・・
『本当にすばらしい仕事をしてきたじゃないか。ここらで一服してもいいはずだ』
父はいつもそう言われてきました。父の答えはいつも同じでした。
『とんでもない。もっともっと前進して、もっといい仕事をしなければ』
         (マリオットホテル会長:J・マリオット・ジュニア)
・・・

2010年09月17日(金)更新

写経ならぬ……

●私は気が向けば自宅だけでなくお寺に行って写経することがあります。最近は金閣寺と高野山の宿坊で写経してきました。そんな話をある場所でしたところ、「私は自社の決算書を毎日のように写経しています」と言う社長がみえました。

●「え、決算書を写経?」と驚く私にむかってその社長はこう言いました。

「もちろん写経も大好きですが、それより熱中していることは、毎月の決算書や今期の計画数字を何度もくりかえし書くことです。手書きで丁寧に書いていると、その数字の向こう側にあるこちらのガンバリや怠慢の具合が手に取るように分かりますし、やるべきことが鮮明に浮かび上がってきます」

●気になったので幾つか質問してみました。

・書式はあるのか
・所要時間はどれくらいか
・それによってどんな変化があったか

書式はないそうで、コピーの反古紙のウラに「売上高 10,545,961」という具合に千円単位で書くそうです。時には、部門別の売上高を書くこともあるとか。

「売上高」の次に「売上原価」、「粗利益」「販売費及び一般管理費」「営業利益」「営業外損益」「経常利益」「特別損益」「税引前利益」という具合に書いていくそうです。

その次に、今期または今月の目標数字を横に書きます。
所要時間は長くて30分。スラスラと書いてしまえば数分で終わるところを、呼吸を整えつつ丁寧に筆ペンで筆写するので30分近くかかるそうです。

●作業中うれしくなったり、悲しくなったりすることもあるそうですが、それ以上に驚くことは、ご自分でもビックリするぐらい会社の数字が頭に刻み込まれること。

たしかにそうかもしれません。何度も繰り返し同じことを書くことには意味があります。

●25年以上前、ライフワークという言葉が流行しました。その火付け役となったベストセラー本が『ライフワークの見つけ方』(井上富雄 著)です。この本は私にとって最初に読んだビジネス書でもあり、今でもものすごく思い入れのある本です。

●20代前半だった私は、当時、何度も何度も繰りかえし読みました。
そして、男子たるもの気宇壮大に人生の青写真を描こう、そのためには人生25ヶ年ビジョンを作って自分のライフワークをもとう、ということを学びました。

●仕事を終えて深夜の独身アパートに戻り、大学ノートを開いて人生25ヶ年計画を何度も何度も作り直しました。ワープロすらない時代です。
毎日、消しゴムのかすでテーブルが真っ黒になるほど書いては消し、消しては書いてビジョンを作りました。

●シナリオAは、サラリーマンとして出世し、頂点である社長を目指すというもの。
シナリオBは、結婚までに独立して自分の会社をもち、事業を発展させるというもの。
それぞれのシナリオを細部にわたって考え、書きました。

●結局私はシナリオBを選び、今もその路線を歩んでいるわけですが、時間だけは人生25ヶ年計画の終点まで来たわけです。
残念ながらその当時のノートは残っていません。
ですが、脳裏にはっきりと書式や中味が刻まれています。それは、大変な手間ひまをかけて手作業で何度も作り直したからです。

●写経ならぬ、写目標、写計画、写決算、・・・面白い作業だと思いませんか。

2010年09月10日(金)更新

社長の内的生活

●朝を制しましょう。朝早く起きて心に良いことをするのです。あなたは朝起きてから何をしていますか?

あわただしく身支度を調え、朝食をすませて出社しているようでは朝を制しているとは言えません。できれば、朝は自宅かカフェで一人作戦タイムを持ちたいもの。
ゆっくりした朝を過ごす人でも、テレビを見たり新聞を読んでいては何にもなりません。大切なことは、「今日も一日充実した時間を過ごそう」と決意を新たにできるような時間を持つことなのです。

●次に紹介する名言は、考える時間を確保しようと訴えているものばかりです。

・「ほとんどの人は時間をとって考えようとしない。私が国際的な名声を手にしたのは、
 週に二回考えたからだ」(劇作家:ジョージ・バーナード・ショー)
・「内的な生活をもたない人は、環境の奴隷である」(スイスの作家:アミエル)
・「朝寝すべからず、はなしの長座すべからず」(徳川光圀)
・「人間の再建は朝起きにある」(丸山敏雄)

●私はまず、心を耕してくれるような名著を読み、そのあと自社や個人の目標に目を通したり、新たな目標やアイデアを書き加える作業が大好きです。出張などでしばらくそうした時間が確保できなくなると、自分の調子が落ちていくのが分かるほどです。

●一人で何をすべきか分からないという人には、【Wish List】を書きだそうと提案しています。【Wish List】に書き出す項目は公私にわたって何でもOK。思いついた順にどんどん書き出すのです。ただし、可能な限り積極的かつ明るく具体的に書いてほしいとお願いしています。

・毎月の売上高を3,000万円にしたい
・キャッシュフローを毎月プラスにしたい
・優秀な人材を採用して組織的な経営をしたい
・早起きしたい
・毎月5冊以上、読書したい
・やせたい(体重70キロ、体脂肪25%の達成)
・休肝日を毎週2回以上つくりたい
・本を書きたい
・社員勉強会を定期開催したい
・朝礼または終礼をやりたい
・・・etc.
 等々、なんでも構いません。

●セミナーなどで、5分間で【Wish List】を何項目書き出すことができるか挑戦してもらうことがあります。過去最高記録は、5分間で55個書き出した居酒屋の経営者です。
5分間、つまり300秒で55項目を書こうとしたら5.5秒につき一項目書いた計算になります。つまりほとんど手が動きっぱなしだったということです。
あなたもやってみていただきたい。5分で50項目以上書ければ、間違いなく全国トップレベルの水準です。いや、30項目を超えたら立派なものだと思います。

●Wish Listをすらすらと沢山書ける人にはひとつの共通点があります。それは、過去に何度もそうした作業をしたことがあるという共通点です。

毎朝カフェでWish Listをゼロから書いているという人もいました。それを何週間も続けていると、一言一句同じ内容で、同じ順番で書けるようになるというのです。そこまで行けば、もうしめたもの。頭の中は大切な目標で占められていることでしょう。

●【Wish List】を早く書けるようになることよりも大切なことがあります。
それは、書き尽くした【Wish List】を持つことです。何個書けばよいのかは個人差があって一概に言えませんが、私の知るかぎり千個以上のWish Listを作っている人はほとんどいません。できればあなたには「Wish千個荒行」に挑んでほしいものです。

2010年09月03日(金)更新

上機嫌

●・・・最近一番ビックリしたのは、弟のセージが何も見ずに『約款』という漢字を書いているのを目撃したこと。で、その次にビックリしたのは、文脈から考えて奴がその『約款』を「どれい」という意味で使っていたこと。
・・・

という書き出しで始まるゲッツ板谷の『板谷バカ三代』(角川文庫)は、とにかく楽しいです。

●家が焼けようが、じいさんが死のうが、自宅の風呂桶で鯉を飼おうが、とにかくこの家庭はなにがあっても異様に明るいのです。
普通の人なら嘆きかなしみ、落ち込み、失意の底に沈むようなことですら、突き抜けて明るい。
ご本人たちいわく、「バカだから」となるが、ここまでバカに徹しきれるのはスゴイです。

●この『板谷~』を知ったのは、齋藤孝著『上機嫌の作法』のなかでです。
「上機嫌でいることが道徳の第一位」とアランが言うように、いつも上機嫌で居続けることは相当むずかしいことです。むしろ私たちは、不機嫌でいることで自分を主張したり武装したりしがちなのです。

●だが不機嫌になる人は二流だと思って間違いありません。

私の友人で不機嫌そうな人は一人もいません。もちろん人間だから喜怒哀楽の感情は表にだしますが、ブスッとした感じで不機嫌にふるまう人はいません。
また、経営者としても、そういう社員の存在を認めてはならないと思うのです。

●齋藤孝氏の本を読むまでもなく上機嫌でいることの必要性はあなたも理解しているはずです。
しかし、本当にそれができているでしょうか? 不機嫌ではない、というだけではダメです。
まずは、今日一日だけでもかまわないので、上機嫌でいることを貫き通してみて、何が起きるかをみてみましょう。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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