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2012年07月23日(月)更新

終始一貫の秘訣

●「体重がなかなか減らないのですが・・・」とジムのコーチに相談しました。このジムに通い始めて一ヶ月、週に3回のペースでトレーニングに励んでいるのに体重が1キロしか減らないのです。
 
私のトレーニング履歴カードを見ながらコーチはこう言いました。
「大丈夫です!あなたは今日も来られましたから」
「え?」
「明日もお越しになれば更に大丈夫です」
なんとも哲学的な回答です。おそらく、コーチのメッセージは「結果に一喜一憂せずにやり続けなさい」というものでしょう。釈然としないながらもなかなか本質を突いた助言だと感心したことを覚えています。
 
●「体重が減らない」の他にも私たちには思い通りにならないことがたくさんあります。
たとえば「早起きができない」「読書の時間が確保できない」「良い習慣が守れない」などなど。
 
●あるご婦人が、「どうしたら終始一貫、サッと起きられるようになるでしょうか」と尋ねられた丸山敏雄師は、次のように答えたそうです。
 
「明日の朝ひと朝だけサッと起きてみることです。終始一貫早起きしようなどと思わないことです。終始一貫とは明日の朝のことですから。あなたは終始一貫を何十年と思っている。人間、明日もわからないのですからよけいな取り越し苦労をしないで、"明日の朝ひと朝”だけに集中しなさい。それが終始一貫なのですから」
 
★丸山敏雄 http://maruyamatoshio.com/ 
 
●それを聞いた彼女は、「ああ、それなら出来るかも・・・。ひと朝くらいなら私でも出来そうです」と答えたそうです。
「いつもそういう気持ちでいれば、ちゃんとできます」と丸山師。
結局その女性は一貫して朝起きができる人になったといいます。
 
●丸山自身、学生時代は書道が落第寸前の成績でした。そこで、書道の先生を訪ね、上達の方法を質問したところ、「一日に10枚清書せよ」と助言されたそうです。
 
そこで、"先生が10枚と言われたのだから、私は12枚清書して先生の教えにこたえよう"と心に決め、その日から、毎日12枚以上の清書をすることが日課となったそうです。やがて書道は丸山師の趣味になり、やがて日本を代表する書家にもなりました。終始一貫の力は絶大なのです。
 
●習慣は第二の天性といいますが、人として基本的なことがきちんとできるようになることはとても大切なことです。それには終始一貫が必要であり、それは今日一日決めたことを実行することのようです。
 
大切なことは“今日だけ“実行するようにしましょう。

 

2012年07月13日(金)更新

3,000円ではなく12,000円

●かつて、北陸のある都市の異業種交流会に招かれて講演させてもらったことがあります。会場には数十人の経営者が集まり、先が読めない時代にいかに会社を伸ばしていくか、というテーマで2時間ほどお話ししたわけです。パンフレットには「受講費3,000円」とありました。2時間の講演で3,000円というのはその都市でもかなりお値打ちな方だとか。
 
●しかし、その日、私のテンションはなかなか上がりません。受講費が安いからではありません。最前列右端に座っている人がずっと寝ているのです。かすかに寝息まで聞こえてきます。
こういう人が最前列にいるとやりにくい。
途中、願望やお困りごとを箇条書きにする「Wish-List」の5分間作成コンテストを行いましたが、彼一人だけ参加せず、腕組みしたまま眠りつづけています。時々うつろな目を開けるのですが、また姿勢を変えて眠ります。
 
●結局2時間ずっと眠っていました。今でもその情景と彼の寝顔を覚えているということは、我ながら相当悔しい思い出なのでしょう。
講演後、主催者に苦言を申し上げました。「どうしてああいう人がこの会場にいるの?お金払って話を聞きに来ているのでしょう?」
「はい、申し訳ありません」と平身低頭されましたが、主催者の責任ではないのでそれ以上は追及しませんでした。居眠り経営者にとって3,000円という受講費はお付き合い費用みたいで安すぎたのでしょうか。
 
●こちらにも反省点がありました。理由の如何にかかわらず、聞く姿勢のない聴衆は追いだすべきでした。それが講師の権限、もしくは義務だと思うのです。他の聴衆の方に迷惑になるし、何より講師に与える心理的ダメージは大きなものがあります。
 
●そんな中、熱気に包まれた状態で迎えられてゆく講演は講師冥利に尽きます。
北陸講演から戻って間もないころ、東京のセミナー会社が私を講師に呼んで経営セミナーを開いてくれました。この会社が主催するセミナーはいつも満席で、ビジネスとしてもきちんと成立させているのが強みです。
 
●まず講演会の価格設定にポリシーがあります。
私の90分講演が12,000円。その前の北陸では120分で3,000円でしたから、時間単価にして5倍以上の開きがあります。
主催者の社長いわく、「3,000円で100名集めるよりは、12,000円で25名集めたほうがお客満足度がはるかに高い」
 
●今回の集客にあたっては、社長みずから一人一人にビデオメッセージを送ったそうです。
過去、同社のイベントに参加して親しくなり、今回のイベントにも是非来てほしいと思う一人一人に対してです。
「あ、山田社長こんにちは。ちょっとご無沙汰してしまって申し訳ありません。日頃、うちの N がお世話なっています。実は、今回、かねがねお招きしたかったメルマガ作者の・・・・」という具合に一本ずつ収録していったそうだ。
 
●そうしたメッセージを受け取った人の半数が参加してくれたそうです。欠席の知らせを受けた人でも、詫びと同時に次回以降は極力参加するというようなメッセージも送ってくれたというから大したものです。
集客は単なる告知やお願いなのではなく、フェイスtoフェイスでのメッセージングであり、企業におけるマーケティング活動そのものです。
 
北陸と東京、同じようなお話しをしたのですが、方や3,000円の受講費で苦い思い。方や12,000円の受講費で大満足してもらいました。
 
価格設定と顧客満足との関係、いまのままで良いのかあらためて見直してみましょう。
 
 

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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