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社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2009年12月18日(金)更新
目標とマイルストーン
●計画を立てるときは、あれこれ盛り込みすぎたものにしてはいけません。まして、ただでさえ内容が盛りだくさんの計画を、同時に進行してやろうなどと考えないほうが賢明です。
●ある日、来年経営コンサルタントとして独立する予定の銀行マン(31歳)に、「武沢さん、来年の10大目標を作ったので見て欲しいのですが」と言われました。「えっ! もう来年の目標が決まったのですか?」と言いながら見てみると、次のような項目が並んでいました。
<仕事目標>・・・起業を成功させる
1. メルマガを1月に創刊し、読者数を一年で3,000人にする
2. 地域内で異業種交流会を企画・開催し、年末には100人規模の会にする
3. ホームページを立ちあげて、毎日100アクセスを目指す
4. 年末までに顧問先を10社にする(月商200万円・月収100万円を達成する)
5. 本を一冊出版し、「キャッシュフロー経営の専門家」というブランドを打ちたてる
<個人目標>・・・自己管理の徹底で進化する
1. 筋トレを週2回行ない、体重62キロ、体脂肪率15%にする(今はそれぞれ66キロ、20%)
2. 家族旅行を年2回実施する(春は国内、秋はグアム旅行を予定)
3. 年間に100冊の読書をする(今は年50冊のペースなので、倍増する)
4. 英語力を高め、今は550点のTOEICスコアを650点にする
5. 経営に関する専門知識と営業力を身につける
●一通り目を通し、「ほぉ、なかなかスゴイじゃないですか」と讃えてから、
・この10大目標をどうやって具体化して、行動するのですか?
・この中で一番大切な目標はどれですか?
といった質問をしてみたところ、次のような答えが返ってきました。
●「この10大目標をエクセルでガントチャートにしてあります。横軸に来年の1月から12月までを、縦軸にこれらの目標を設定し、セルを使って詳細な予定を書き込んであります。また、このなかで一番大切なのは、仕事目標の4番目にある「年末までに顧問先を10社にする」です。起業してから1年以内に月収100万を達成できれば、自分に合格点を付けてもいいと思います」
なるほど、良くできた計画です。完ぺきと言ってよいでしょう。
●しかし、私は計画が完ぺきすぎるがための弱点を知っています。「細部にいたるまで完ぺきにしようと欲ばって計画を立てると、枝葉にとらわれて逆に幹が見えなくなる」という弱点です。
●みなさんは、有名な“ブレイクスルー発想”のなかに、次のような逸話があるのをご存知でしょうか?
・・・
ある大手電力会社では、長年のあいだ頭を悩ませている、停電の原因が1つありました。カラスが鉄塔に集まって巣作りをはじめたときに、針金を落としてショートすることがある、というのがその原因です。
そこで、その電力会社はいろいろな専門家にお願いをして、カラスが近寄らない方法を研究しました。カラスが嫌う音、カラスが近寄らない臭い、カラスが恐がる天敵などといろいろ手を打ちましたが、どれもいたちごっこで解決には至りませんでした。
そこでブレイクスルー発想の専門家に相談したところ、瞬時に解決法を考案してくれました。
それは、カラスの巣をあらかじめ鉄塔に作っておき、巣を作る必要をなくすというものでした。それを実行したところ、見事に停電が起こらなくなりました。
・・・
●停電の理由は、カラスが近づくことではなく、カラスが針金を落とすためです。なので、カラスを近づけない工夫をするのではなく、巣作りを不要にしてあげれば良い、という本質を見抜いたことがこの話の要点です。
●話を銀行マンの彼に戻しましょう。
彼が一番重要視している目標は、「来年末に顧問先を10社にし、月商200万円・月収100万円を実現すること」です。つまり、仕事目標にあるそれ以外の項目は、マイルストーン(通過点)にすぎません。あるいは、目的と手段の関係と言い換えてもいいでしょう。
●意欲的に目標を掲げ、詳細な計画を作って行動するのは素晴らしいことです。しかし、「カラスを近づけないのではなく、停電を防ぐのが目的」という発想と同様に、あなたの目標を整理し、手段と分けて考えることの必要性を忘れないでください。
●ある日、来年経営コンサルタントとして独立する予定の銀行マン(31歳)に、「武沢さん、来年の10大目標を作ったので見て欲しいのですが」と言われました。「えっ! もう来年の目標が決まったのですか?」と言いながら見てみると、次のような項目が並んでいました。
<仕事目標>・・・起業を成功させる
1. メルマガを1月に創刊し、読者数を一年で3,000人にする
2. 地域内で異業種交流会を企画・開催し、年末には100人規模の会にする
3. ホームページを立ちあげて、毎日100アクセスを目指す
4. 年末までに顧問先を10社にする(月商200万円・月収100万円を達成する)
5. 本を一冊出版し、「キャッシュフロー経営の専門家」というブランドを打ちたてる
<個人目標>・・・自己管理の徹底で進化する
1. 筋トレを週2回行ない、体重62キロ、体脂肪率15%にする(今はそれぞれ66キロ、20%)
2. 家族旅行を年2回実施する(春は国内、秋はグアム旅行を予定)
3. 年間に100冊の読書をする(今は年50冊のペースなので、倍増する)
4. 英語力を高め、今は550点のTOEICスコアを650点にする
5. 経営に関する専門知識と営業力を身につける
●一通り目を通し、「ほぉ、なかなかスゴイじゃないですか」と讃えてから、
・この10大目標をどうやって具体化して、行動するのですか?
・この中で一番大切な目標はどれですか?
といった質問をしてみたところ、次のような答えが返ってきました。
●「この10大目標をエクセルでガントチャートにしてあります。横軸に来年の1月から12月までを、縦軸にこれらの目標を設定し、セルを使って詳細な予定を書き込んであります。また、このなかで一番大切なのは、仕事目標の4番目にある「年末までに顧問先を10社にする」です。起業してから1年以内に月収100万を達成できれば、自分に合格点を付けてもいいと思います」
なるほど、良くできた計画です。完ぺきと言ってよいでしょう。
●しかし、私は計画が完ぺきすぎるがための弱点を知っています。「細部にいたるまで完ぺきにしようと欲ばって計画を立てると、枝葉にとらわれて逆に幹が見えなくなる」という弱点です。
●みなさんは、有名な“ブレイクスルー発想”のなかに、次のような逸話があるのをご存知でしょうか?
・・・
ある大手電力会社では、長年のあいだ頭を悩ませている、停電の原因が1つありました。カラスが鉄塔に集まって巣作りをはじめたときに、針金を落としてショートすることがある、というのがその原因です。
そこで、その電力会社はいろいろな専門家にお願いをして、カラスが近寄らない方法を研究しました。カラスが嫌う音、カラスが近寄らない臭い、カラスが恐がる天敵などといろいろ手を打ちましたが、どれもいたちごっこで解決には至りませんでした。
そこでブレイクスルー発想の専門家に相談したところ、瞬時に解決法を考案してくれました。
それは、カラスの巣をあらかじめ鉄塔に作っておき、巣を作る必要をなくすというものでした。それを実行したところ、見事に停電が起こらなくなりました。
・・・
●停電の理由は、カラスが近づくことではなく、カラスが針金を落とすためです。なので、カラスを近づけない工夫をするのではなく、巣作りを不要にしてあげれば良い、という本質を見抜いたことがこの話の要点です。
●話を銀行マンの彼に戻しましょう。
彼が一番重要視している目標は、「来年末に顧問先を10社にし、月商200万円・月収100万円を実現すること」です。つまり、仕事目標にあるそれ以外の項目は、マイルストーン(通過点)にすぎません。あるいは、目的と手段の関係と言い換えてもいいでしょう。
●意欲的に目標を掲げ、詳細な計画を作って行動するのは素晴らしいことです。しかし、「カラスを近づけないのではなく、停電を防ぐのが目的」という発想と同様に、あなたの目標を整理し、手段と分けて考えることの必要性を忘れないでください。
2009年12月11日(金)更新
魅惑的なコピー
●ある日、弊社に若い女性が営業目的で飛び込み訪問してきました。少し話をしたあと、「あのぉ、『がんばれ社長!』って素敵な社名なのですが、どのような活動をされているのですか?」と聞かれました。
●なので、「う~ん、詳しく話すと長くなるのですが、メルマガや本の執筆に加えて、セミナーや講演、異業種交流会の主催などをやってます。まあ、社長にがんばってもらうのが仕事なので、『がんばれ社長!』にしました」と答えました。
●「へぇ、すごそうですね」と彼女は言ってくれましたが、おそらく全然わからなかったでしょう。といっても、それは彼女の理解力に問題があったのではありません。こちらの伝え方の問題なのです。
●アメリカの人気コンサルタント、トム・ピーターズは「自分や自社を世間に伝えるときの表現力が大切である」として、次のように述べています。
・・・
陳腐な言葉がならんだ自己紹介ではなく、すこしはあなたの顔が見えるような表現をしよう。
たとえば、
・セクハラ訴訟を避けるエキスパート。私の名前は25の新聞・雑誌に取り上げられた
・金融サービスと小売業に豊富な経験をもつ○○○
など、はっきりと正確に伝えることが大切。(若干、見栄が入っていたとしても)それがブランドになるので、次の設問に答えを出すことで自分の表現力を高めよう。
1. 自分はいったいどういう人間か
2. 自分の商品は何か
3. その商品は何が特別なのか
4. 類似商品とどこがどう違うのか
5. その信頼性をどう表現すればいいのか
6. 自分が進んでいることをどう伝えればいいのか
7. 自分がカッコいいことをどう伝えればいいのか
8. これだけは誰にも負けないという技能はなにか
9. 過去の実績(自慢できるプロジェクト)がいくつあるか
10. 世間の評判はどうか
11. 見た目(身だしなみは大切だ、そして名前も…)
12. 話術(説得力、表現力)
13. 人柄・個性(いちばん大切なのは、あなたらしさ)
・・・
●他人の口を介した言葉やイメージは一人歩きしていくものです。ですから、あなた自身が発するキャッチコピーが実態を正しく反映させたものであり、会う前から期待を高める役割をしてくれるのであれば、それに勝るものはないでしょう。
●少なくとも、飛び込み訪問の営業マンや交流会で名刺交換した相手が、帰社してからあなたのサイトにアクセスし、注意深く読んでくれるような魅惑的なキャッチコピーを作りたいものです。
●ちなみに、もし、冒頭の女性に今度同じ質問をされたら、「『がんばれ社長!』とは、日本の社長にがんばってもらうためにオンラインでサービスを提供する、経営コンサルタント会社です」と答えるつもりです。これでもまだ満足はしていませんが、冒頭の説明より相当すっきりしたと思いませんか?
●なので、「う~ん、詳しく話すと長くなるのですが、メルマガや本の執筆に加えて、セミナーや講演、異業種交流会の主催などをやってます。まあ、社長にがんばってもらうのが仕事なので、『がんばれ社長!』にしました」と答えました。
●「へぇ、すごそうですね」と彼女は言ってくれましたが、おそらく全然わからなかったでしょう。といっても、それは彼女の理解力に問題があったのではありません。こちらの伝え方の問題なのです。
●アメリカの人気コンサルタント、トム・ピーターズは「自分や自社を世間に伝えるときの表現力が大切である」として、次のように述べています。
・・・
陳腐な言葉がならんだ自己紹介ではなく、すこしはあなたの顔が見えるような表現をしよう。
たとえば、
・セクハラ訴訟を避けるエキスパート。私の名前は25の新聞・雑誌に取り上げられた
・金融サービスと小売業に豊富な経験をもつ○○○
など、はっきりと正確に伝えることが大切。(若干、見栄が入っていたとしても)それがブランドになるので、次の設問に答えを出すことで自分の表現力を高めよう。
1. 自分はいったいどういう人間か
2. 自分の商品は何か
3. その商品は何が特別なのか
4. 類似商品とどこがどう違うのか
5. その信頼性をどう表現すればいいのか
6. 自分が進んでいることをどう伝えればいいのか
7. 自分がカッコいいことをどう伝えればいいのか
8. これだけは誰にも負けないという技能はなにか
9. 過去の実績(自慢できるプロジェクト)がいくつあるか
10. 世間の評判はどうか
11. 見た目(身だしなみは大切だ、そして名前も…)
12. 話術(説得力、表現力)
13. 人柄・個性(いちばん大切なのは、あなたらしさ)
・・・
●他人の口を介した言葉やイメージは一人歩きしていくものです。ですから、あなた自身が発するキャッチコピーが実態を正しく反映させたものであり、会う前から期待を高める役割をしてくれるのであれば、それに勝るものはないでしょう。
●少なくとも、飛び込み訪問の営業マンや交流会で名刺交換した相手が、帰社してからあなたのサイトにアクセスし、注意深く読んでくれるような魅惑的なキャッチコピーを作りたいものです。
●ちなみに、もし、冒頭の女性に今度同じ質問をされたら、「『がんばれ社長!』とは、日本の社長にがんばってもらうためにオンラインでサービスを提供する、経営コンサルタント会社です」と答えるつもりです。これでもまだ満足はしていませんが、冒頭の説明より相当すっきりしたと思いませんか?
2009年12月04日(金)更新
会社の動体視力
●スポーツでは、「動体視力」が大切だと言われます。「動体視力」とは、移動するひとつの目標物を連続して追い続ける眼の能力のこと。野球のバッティングでいうと、ボールに眼を追従させる能力がこれにあたります。
●ですが、動体視力だけが優れていても能力的に十分とはいえず、「眼球運動能力」も大切だといわれています。こちらは、サッカーのゴールキーパーが瞬時に移動するボールや相手選手にすばやく視線を動かすための、眼球自体の運動能力のことです。
●さらに眼の能力には、視野の広さと的確さをあらわす「周辺視力」、移動または静止する目標物に対して、瞬時にフォーカスを当てる「瞬間視力」などもあります。「ボールが止まって見える」と豪語した野球の川上哲治選手は、たぶん「瞬間視力」が異常に高かったのでしょう。
以上の能力が渾然一体となって、競技能力をサポートしているのです。
●ここで整理すると、スポーツ選手に求められるものは身体そのものの運動技能に加え、
・動体視力
・眼球運動能力
・周辺視力
・瞬間視力
などの、眼の能力も大切だということです。
●では会社経営はどうでしょうか?
変化に対応できる会社のことを次のようにたとえることがあります。
・作業しながらでも、そのやり方を変えることができる
・車の運転をしながらタイヤ交換ができる
・実行しながら計画を変えることができる・・・etc.
いずれもおかしな話に聞こえますが、そうしたことを行なうのが経営というもの。変化に対して迅速かつ柔軟に対応できる経営組織を作りたいものです。
●そのためには、計画→実行→評価→対策→計画→・・・と続くマネジメントサイクルが、一流アスリートたちの視力のようにきちんと機能しているかどうかがポイントです。
●ですので、計画値と実績値の誤差を、可能なかぎり短いスパンで把握できなければなりません。「翌月に送られてくる月次試算表を見るまで、今月の業績がわからない」という状態をいち早く卒業し、週ごと、日ごとであっても実績値が把握できる状態を作りましょう。
●また、アイデアが浮かんでから実行に移すまでのリードタイム(準備時間)をどれだけ短くできるかも重要です。なぜなら、今日思いついたグッドアイデアが、明日も素晴らしいままであるとは限りません。鮮度が落ちないうちに実行してこそ、いいアイデアなのです。
●「変化にもっともよく適応したものが生き残る」、とダーウィンが『種の起源』で結論づけたように、私たちの会社も変化に適応できる俊敏さと柔軟さが欠かせません。会社全体の変化対応力を高めるのに必要なことを、着実に実行していこうではありませんか。
●ですが、動体視力だけが優れていても能力的に十分とはいえず、「眼球運動能力」も大切だといわれています。こちらは、サッカーのゴールキーパーが瞬時に移動するボールや相手選手にすばやく視線を動かすための、眼球自体の運動能力のことです。
●さらに眼の能力には、視野の広さと的確さをあらわす「周辺視力」、移動または静止する目標物に対して、瞬時にフォーカスを当てる「瞬間視力」などもあります。「ボールが止まって見える」と豪語した野球の川上哲治選手は、たぶん「瞬間視力」が異常に高かったのでしょう。
以上の能力が渾然一体となって、競技能力をサポートしているのです。
●ここで整理すると、スポーツ選手に求められるものは身体そのものの運動技能に加え、
・動体視力
・眼球運動能力
・周辺視力
・瞬間視力
などの、眼の能力も大切だということです。
●では会社経営はどうでしょうか?
変化に対応できる会社のことを次のようにたとえることがあります。
・作業しながらでも、そのやり方を変えることができる
・車の運転をしながらタイヤ交換ができる
・実行しながら計画を変えることができる・・・etc.
いずれもおかしな話に聞こえますが、そうしたことを行なうのが経営というもの。変化に対して迅速かつ柔軟に対応できる経営組織を作りたいものです。
●そのためには、計画→実行→評価→対策→計画→・・・と続くマネジメントサイクルが、一流アスリートたちの視力のようにきちんと機能しているかどうかがポイントです。
●ですので、計画値と実績値の誤差を、可能なかぎり短いスパンで把握できなければなりません。「翌月に送られてくる月次試算表を見るまで、今月の業績がわからない」という状態をいち早く卒業し、週ごと、日ごとであっても実績値が把握できる状態を作りましょう。
●また、アイデアが浮かんでから実行に移すまでのリードタイム(準備時間)をどれだけ短くできるかも重要です。なぜなら、今日思いついたグッドアイデアが、明日も素晴らしいままであるとは限りません。鮮度が落ちないうちに実行してこそ、いいアイデアなのです。
●「変化にもっともよく適応したものが生き残る」、とダーウィンが『種の起源』で結論づけたように、私たちの会社も変化に適応できる俊敏さと柔軟さが欠かせません。会社全体の変化対応力を高めるのに必要なことを、着実に実行していこうではありませんか。
2009年11月27日(金)更新
喜怒哀楽の共有
●名古屋で冠婚葬祭センターを営んでいるA社長と会ったときのことです。
A:「武沢さん、ちょっと相談があるのですが・・」
武:「何でしょう」
A:「会社の方針や目標を社員に浸透させる方法がわからない。
いろいろ手を尽くしているのですが、浸透していかない」
武:「もう少し詳しくお聞かせください」
●A社長の悩みは次のようなものでした。
・・・
毎年、決算期にあわせて方針書を作っているのだが、ときには2~3日社長室に閉じこもることもある。
そうして作った方針を発表し、その後も社内報や社内ネットを用いて繰り返し伝えているのだが、新しく決めたことが実行されることはめったになく、毎年変わりばえがしないまま終わってしまう。
「目標の浸透」というのか「目標の共有」というのか、表現はともあれ、会社全体が一体感をもって動いていくような経営をしたい。
・・・
●こうした経営上の課題をもっている会社は多いようですが、上意下達の意識だけでは、「目標を共有する」企業文化は生まれません。「共有すべきものは目標だけではない。まずその前に共有すべきものがある」というのが私の考えで、それには4つの段階があります。
●最初に試みるべきは、「事実の共有」です。
「事実の共有」なんて、決算書や報告書を公表さえすればそれで終わり、などと思わないでください。日々の出来事やそれに伴う感想、そして、ありのままの現実を共有し、そこから一歩進んで問題を共有するということが、「事実の共有」なのです。
●そのためには、ネットやメールに頼るまえに、まず顔をつきあわせましょう。報告だけの会議なんて無用、と会議を廃止する前に、フランクに事実を交換しあう場を作るのです。雑談でも朝礼でもいいので、こうしたことを普段から行なうのが第一歩ではないでしょうか。
●次に必要なのは「価値の共有」です。
すでに価値観や使命、ミッションなどが決まっている会社は、それをトコトン社員の意識に刷り込んでいきましょう。ジョンソン&ジョンソン社の「我が信条」のように、大切なものを順位づけしていくのも効果的です。
★我が信条:http://www.jnj.co.jp/group/community/credo/index.html
一方、まだ価値観などが決まっていない会社では、社員との対話の中でそれを成文化していけばいいでしょう。
●3番目にくるのが「目的や目標の共有」です。
努力と奮闘の結果、どのようなゴールが期待できるのか。また、どのような面白いストーリーで自分たちの道を歩もうとしているのかを語り合いましょう。
●そして最後が「結果の共有」です。
結果を厳粛に受け止め、良い結果の場合は勝利の美酒を、悪い結果の場合は苦い冷や水を飲み明かし、改めて、最初の「事実の共有」というスタートラインに戻っていくのです。
1.事実の共有
2.価値の共有
3.目的・目標の共有
4.結果の共有
↓
1.事実の共有
・
・
このサイクルをくり返すことで、企業文化が発展していくのです。
A:「武沢さん、ちょっと相談があるのですが・・」
武:「何でしょう」
A:「会社の方針や目標を社員に浸透させる方法がわからない。
いろいろ手を尽くしているのですが、浸透していかない」
武:「もう少し詳しくお聞かせください」
●A社長の悩みは次のようなものでした。
・・・
毎年、決算期にあわせて方針書を作っているのだが、ときには2~3日社長室に閉じこもることもある。
そうして作った方針を発表し、その後も社内報や社内ネットを用いて繰り返し伝えているのだが、新しく決めたことが実行されることはめったになく、毎年変わりばえがしないまま終わってしまう。
「目標の浸透」というのか「目標の共有」というのか、表現はともあれ、会社全体が一体感をもって動いていくような経営をしたい。
・・・
●こうした経営上の課題をもっている会社は多いようですが、上意下達の意識だけでは、「目標を共有する」企業文化は生まれません。「共有すべきものは目標だけではない。まずその前に共有すべきものがある」というのが私の考えで、それには4つの段階があります。
●最初に試みるべきは、「事実の共有」です。
「事実の共有」なんて、決算書や報告書を公表さえすればそれで終わり、などと思わないでください。日々の出来事やそれに伴う感想、そして、ありのままの現実を共有し、そこから一歩進んで問題を共有するということが、「事実の共有」なのです。
●そのためには、ネットやメールに頼るまえに、まず顔をつきあわせましょう。報告だけの会議なんて無用、と会議を廃止する前に、フランクに事実を交換しあう場を作るのです。雑談でも朝礼でもいいので、こうしたことを普段から行なうのが第一歩ではないでしょうか。
●次に必要なのは「価値の共有」です。
すでに価値観や使命、ミッションなどが決まっている会社は、それをトコトン社員の意識に刷り込んでいきましょう。ジョンソン&ジョンソン社の「我が信条」のように、大切なものを順位づけしていくのも効果的です。
★我が信条:http://www.jnj.co.jp/group/community/credo/index.html
一方、まだ価値観などが決まっていない会社では、社員との対話の中でそれを成文化していけばいいでしょう。
●3番目にくるのが「目的や目標の共有」です。
努力と奮闘の結果、どのようなゴールが期待できるのか。また、どのような面白いストーリーで自分たちの道を歩もうとしているのかを語り合いましょう。
●そして最後が「結果の共有」です。
結果を厳粛に受け止め、良い結果の場合は勝利の美酒を、悪い結果の場合は苦い冷や水を飲み明かし、改めて、最初の「事実の共有」というスタートラインに戻っていくのです。
1.事実の共有
2.価値の共有
3.目的・目標の共有
4.結果の共有
↓
1.事実の共有
・
・
このサイクルをくり返すことで、企業文化が発展していくのです。
2009年11月20日(金)更新
常識は自分で塗りかえろ
●「武沢君は内向的で、一見すると茫洋とした性格の持ち主で・・・」
これが小学一年生のとき、私が最初にもらった通知表に書いてあったコメントです。小学校一年生の私にはその漢字が読めず、理解もできませんでしたが、母親に「要するにおとなしくてボーッとしてるってことだよ」と教えられて、納得しました。
●小学生ながら、自分が同級生に比べて口数が少なく、恥ずかしがり屋であることはわかっていました。
しかし、尊敬する先生から「おとなしくてボーッとしている」とハッキリ言われ、親もそれを認めるということは、相当に内気だったのでしょう。
●55歳になった今でも自分のことを内向的だとは思います。若いころは社交的な方がかっこいいとのでは、と思うこともありましたが、今では自分の性格のことをあまり気にしなくなりました。むしろ、内向的だからこそ、こうしてメルマガやブログで自己表現するようになったのかもしれません。もし私が活動的な人間だったら、こうした執筆作業が10年間も続いたかどうか疑問です。
●「あがり症で人前でまったく話せなかった少年が、コンプレックス克服のため弁論部に入り、自己改造した」というような話をよく聞きます。セブンイレブン躍進の立役者として知られ、現在はイトーヨーカ堂のCEOを務める鈴木敏文氏もその一人です。
●氏は、小学生のときは教科書の朗読をさせられたりするとあがってしまって読めず、中学でも口頭試問で頭がまっ白になってしまい、何も発言できずに叱られたといいます。しかし、鈴木少年は積極的に自己改造に取り組み、高校生のときには生徒会長をつとめたり、卒業式で送辞や答辞を読むほどになったそうです。
●また、自己改造の分野は性格だけではありませんでした。足が遅くてからかわれたことから陸上部に入り、県大会に出場するほどの選手にもなりました。肉体面・性格面の両方で、自分のイメージを塗り替える経験をしたのです。
●その後、鈴木氏はトーハン(東京出版販売)に入社し、友人の斡旋で1963年にイトーヨーカ堂に転職しました。当時はまだ4~5店舗の中堅企業だったイトーヨーカ堂ですが、そこで出店説明の仕事や広報の仕事をするうちに、世間の常識に疑問を感じるような場面に遭遇したといいます。
●出店候補地に出向き、地元商店街の人たちを相手に説明会を開いた際に、「規模の小さい店が大きい店に勝てるはずがない」と激しい反対を受けしました。しかし、鈴木さんは、「規模が問題なのではなく、生産性が問題なんだ」といった確信のもとに商店主と接しました。このときの経験が、のちにセブンイレブンの立ち上げにつながったのです。
●セブンイレブンは当時のアメリカで成功をおさめていましたが、その独特な業態を日本に持ち込むことに対し、FC契約を検討していたヨーカ堂社内ですら賛否両論がありました。むしろ、「日本では無理」という意見が主流派で、鈴木氏も絶対的な自信があったわけではなかったそうです。
●ですが、商品の調達を多品種少量方式とし、店舗運営の情報システムをすべてアウトソーシングするなど、当時の業界の常識をすべて塗りかえ、日本独自の精緻なシステムを作ってきました。そこまでできたのはもしかすると、氏の内向的でコツコツ努力するタイプのおかげだったのかもしれません。
●この記事をお読みのみなさんも、自分自身と社員の個性や強みをより活かせるビジネス展開を考えようではありませんか。
これが小学一年生のとき、私が最初にもらった通知表に書いてあったコメントです。小学校一年生の私にはその漢字が読めず、理解もできませんでしたが、母親に「要するにおとなしくてボーッとしてるってことだよ」と教えられて、納得しました。
●小学生ながら、自分が同級生に比べて口数が少なく、恥ずかしがり屋であることはわかっていました。
しかし、尊敬する先生から「おとなしくてボーッとしている」とハッキリ言われ、親もそれを認めるということは、相当に内気だったのでしょう。
●55歳になった今でも自分のことを内向的だとは思います。若いころは社交的な方がかっこいいとのでは、と思うこともありましたが、今では自分の性格のことをあまり気にしなくなりました。むしろ、内向的だからこそ、こうしてメルマガやブログで自己表現するようになったのかもしれません。もし私が活動的な人間だったら、こうした執筆作業が10年間も続いたかどうか疑問です。
●「あがり症で人前でまったく話せなかった少年が、コンプレックス克服のため弁論部に入り、自己改造した」というような話をよく聞きます。セブンイレブン躍進の立役者として知られ、現在はイトーヨーカ堂のCEOを務める鈴木敏文氏もその一人です。
●氏は、小学生のときは教科書の朗読をさせられたりするとあがってしまって読めず、中学でも口頭試問で頭がまっ白になってしまい、何も発言できずに叱られたといいます。しかし、鈴木少年は積極的に自己改造に取り組み、高校生のときには生徒会長をつとめたり、卒業式で送辞や答辞を読むほどになったそうです。
●また、自己改造の分野は性格だけではありませんでした。足が遅くてからかわれたことから陸上部に入り、県大会に出場するほどの選手にもなりました。肉体面・性格面の両方で、自分のイメージを塗り替える経験をしたのです。
●その後、鈴木氏はトーハン(東京出版販売)に入社し、友人の斡旋で1963年にイトーヨーカ堂に転職しました。当時はまだ4~5店舗の中堅企業だったイトーヨーカ堂ですが、そこで出店説明の仕事や広報の仕事をするうちに、世間の常識に疑問を感じるような場面に遭遇したといいます。
●出店候補地に出向き、地元商店街の人たちを相手に説明会を開いた際に、「規模の小さい店が大きい店に勝てるはずがない」と激しい反対を受けしました。しかし、鈴木さんは、「規模が問題なのではなく、生産性が問題なんだ」といった確信のもとに商店主と接しました。このときの経験が、のちにセブンイレブンの立ち上げにつながったのです。
●セブンイレブンは当時のアメリカで成功をおさめていましたが、その独特な業態を日本に持ち込むことに対し、FC契約を検討していたヨーカ堂社内ですら賛否両論がありました。むしろ、「日本では無理」という意見が主流派で、鈴木氏も絶対的な自信があったわけではなかったそうです。
●ですが、商品の調達を多品種少量方式とし、店舗運営の情報システムをすべてアウトソーシングするなど、当時の業界の常識をすべて塗りかえ、日本独自の精緻なシステムを作ってきました。そこまでできたのはもしかすると、氏の内向的でコツコツ努力するタイプのおかげだったのかもしれません。
●この記事をお読みのみなさんも、自分自身と社員の個性や強みをより活かせるビジネス展開を考えようではありませんか。
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