ブログ個人トップ | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2011年02月18日(金)更新
そうじ力
●世間では「断・捨・離」(だんしゃり)がブームだそうです。
何かとっておきのノウハウかと思いきや、昔から変わらない教えです。不要・不適・不快なモノとの関係を断ち、捨て、離れることから「断・捨・離」。それがブームになるほど多くの人はシンプルに生きるのが難しいようです。
●私は作家の書斎を見るのが大好きです。雑誌の「書斎特集」などをみていると、きれいに片付いた書斎もあれば、所せましと本や資料が散らかっている書斎もあります。もう少しきれいにすればもっと効率よく仕事ができるのに、と他人事ながら心配していまう乱雑な書斎もよくみます。
●何をかくそう、私もかつてはデスク回りがいつも散らかっていました。どうしたらきれいに片付くのか教えてほしいと思っていたのです。そして、数年前にある本と出会い、私に強い印象を与えました。『夢をかなえる「そうじ力」』(舛田光洋著、総合法令出版)という本です。
●著者の舛田さんは北海道出身で、35才の時に本書を刊行しました。
「そうじ力」なる言葉をうみだし「そうじ力」によって磁場の改善、心の改善、運勢の好転を提唱しています。最近では、中小企業の職場環境整備コンサルタントとして「そうじ力」を業績改善などに用いて成果をあげているそうです。
●きっかけは氏自身の失敗と再起だとか。
以前、事業で失敗し借金を抱えて離婚、失望、無気力へのプロセスを一直線に歩んでいったといいます。
その歩みは同時に、汚さへのプロセスでもありました。部屋を掃除しない、身なりを清潔に保てなくなる(入浴や化粧、ひげ剃り、洗面などをしなくなる)、他人がキレイに片づけると怒る、という悪循環です。
●そんな時、プロのそうじ屋をやっている友人が掃除道具持参でやってきて、著者の部屋を換気したあと、掃除をはじめました。
「お前も手伝え」と言われ、著者もしぶしぶ手伝いました。そして、きれいになった部屋で「どうだ、気持ち良いだろ」と友人。
そのとき、著者ははじめて気持ちいいという爽快感を味わったといいます。
それが「そうじ」と著者との出会い。
●ある心理学者の調査によれば、散らかった部屋、そうじの行き届いていないオフィスなどで生活を続けると、生理的な面でも心拍数や血圧の増加、動悸、首や肩の痛み、イライラが募り、怒りっぽくなるといいます。
●地下鉄や市内のカベの落書きを消し去っただけで米国NY市の犯罪は75%も減りました。崩壊寸前の学校が、PTAの親たちによるトイレ掃除で蘇ったケースも大阪にあります。こうした事実にもみられるように、環境が人間の生理や行動に極めて大きな影響を及ぼしていると舛田さん。
●ゴミやカビ、汚れや不要物が散乱しているということは、それ自体がマイナスの磁場を発しているというのです。
せっかく自己啓発本を読み、やる気になるような目標を作っても、マイナスの磁場がある職場や自宅では、自己矛盾を起こしてしまうでしょう。
●作家の多くは近くにたくさんの仕事のための資料や本が必要だから、あんなに机の上が散乱していたんです。作家でもない私が同じことをする必要はありません。
今や何でもデジタルの時代。これからの作家のデスクはパソコン以外は何もなくなる可能性だってあります。ビジネスピープルであればなおさらでしょう。
さあ、そうじです。
何かとっておきのノウハウかと思いきや、昔から変わらない教えです。不要・不適・不快なモノとの関係を断ち、捨て、離れることから「断・捨・離」。それがブームになるほど多くの人はシンプルに生きるのが難しいようです。
●私は作家の書斎を見るのが大好きです。雑誌の「書斎特集」などをみていると、きれいに片付いた書斎もあれば、所せましと本や資料が散らかっている書斎もあります。もう少しきれいにすればもっと効率よく仕事ができるのに、と他人事ながら心配していまう乱雑な書斎もよくみます。
●何をかくそう、私もかつてはデスク回りがいつも散らかっていました。どうしたらきれいに片付くのか教えてほしいと思っていたのです。そして、数年前にある本と出会い、私に強い印象を与えました。『夢をかなえる「そうじ力」』(舛田光洋著、総合法令出版)という本です。
●著者の舛田さんは北海道出身で、35才の時に本書を刊行しました。
「そうじ力」なる言葉をうみだし「そうじ力」によって磁場の改善、心の改善、運勢の好転を提唱しています。最近では、中小企業の職場環境整備コンサルタントとして「そうじ力」を業績改善などに用いて成果をあげているそうです。
●きっかけは氏自身の失敗と再起だとか。
以前、事業で失敗し借金を抱えて離婚、失望、無気力へのプロセスを一直線に歩んでいったといいます。
その歩みは同時に、汚さへのプロセスでもありました。部屋を掃除しない、身なりを清潔に保てなくなる(入浴や化粧、ひげ剃り、洗面などをしなくなる)、他人がキレイに片づけると怒る、という悪循環です。
●そんな時、プロのそうじ屋をやっている友人が掃除道具持参でやってきて、著者の部屋を換気したあと、掃除をはじめました。
「お前も手伝え」と言われ、著者もしぶしぶ手伝いました。そして、きれいになった部屋で「どうだ、気持ち良いだろ」と友人。
そのとき、著者ははじめて気持ちいいという爽快感を味わったといいます。
それが「そうじ」と著者との出会い。
●ある心理学者の調査によれば、散らかった部屋、そうじの行き届いていないオフィスなどで生活を続けると、生理的な面でも心拍数や血圧の増加、動悸、首や肩の痛み、イライラが募り、怒りっぽくなるといいます。
●地下鉄や市内のカベの落書きを消し去っただけで米国NY市の犯罪は75%も減りました。崩壊寸前の学校が、PTAの親たちによるトイレ掃除で蘇ったケースも大阪にあります。こうした事実にもみられるように、環境が人間の生理や行動に極めて大きな影響を及ぼしていると舛田さん。
●ゴミやカビ、汚れや不要物が散乱しているということは、それ自体がマイナスの磁場を発しているというのです。
せっかく自己啓発本を読み、やる気になるような目標を作っても、マイナスの磁場がある職場や自宅では、自己矛盾を起こしてしまうでしょう。
●作家の多くは近くにたくさんの仕事のための資料や本が必要だから、あんなに机の上が散乱していたんです。作家でもない私が同じことをする必要はありません。
今や何でもデジタルの時代。これからの作家のデスクはパソコン以外は何もなくなる可能性だってあります。ビジネスピープルであればなおさらでしょう。
さあ、そうじです。
2011年01月21日(金)更新
経営の困難
●「おかげさまで幸せです」が口ぐせの社長がいます。社員のおかげ、家族のおかげ、お客様のおかげ、と「おかげ」ばかりを連発するのです。そういう言葉を発するときは、物腰も自然に謙虚になるものです。
その反対に「あいつのせい」「こいつのせい」と「せい」ばかりを連発する社長もいます。
その表情はいつも怒っている人特有の眉間をしています。
●これまでにたくさんの社長とお会いしてきましたが、「うちの会社には、何ひとつ問題がありません」と胸をはって答えられる社長にはお会いしたことがありません。きっとこれからも会うことはできないと思っています。もしそんなことを言う人がいるとしたら、よほど理想や目標が低い人なのでしょう。
●では、「問題はたくさんあるが、困難には直面していない」という経営者はどの程度いるのでしょう?
それにはデータがあるのですが、正解は、おおむね1割です。9割の経営者は困難を抱えながら経営を行っているという調査結果が出ているのです。
●中小企業金融公庫が2004年に「経営環境実態調査」として発表したもの。少々古いデータではありますが、何らかの参考になるでしょう。
問1.あなたは今、経営上の困難に直面していますか?
はい、いいえ
問2.はいの場合、経営に最も影響の大きい問題は何ですか?
売上が伸びない、資金繰難、人材不足、後継者難、技術力不足、その他
●当然、従業員規模によって回答内容に微妙な違いがあります。「困難に直面していますか?」に対して『いいえ』と回答した企業の割合をみてみますと、従業員数20名未満の企業は10.3%、従業員数301名以上の企業は13.6%となっています。企業規模が大きいほど、その割合も高くなっていますが、おおむね10%強が「困難はない」と認識しています。
●逆から見ると90%近くの会社が「困難がある」と答えているのですが、その内訳は、
一位:売上が伸びない、減少している(40%~47%)
二位:人材不足(21%~32%)
●ちなみに三位の「資金繰難」については
企業規模が小さいほど大きな問題になっています。従業員20人未満の会社の15.7%がこの問題を抱えており、301名以上の企業になるとこれは、3.4%の会社に過ぎません。
●整理してみましょう。
1.困難を抱えている会社はざっと9割(残り1割は困難を抱えていると思っていない)
2.企業規模を問わず「売上が伸びない」が最大の困難
3.企業規模を問わず「人材不足」が二番目の困難
4.企業規模が大きくなるほど、「人材不足」と回答する企業の割合が増える
5.企業規模が小さくなるほど、「資金繰難」と回答する企業の割合が増える
●困難に直面しているのはあなただけではありません。
それを抱えながら前進するのが社長業。逃げずに立ち向かい、困難を乗り越えて強くなっていきましょう。
その反対に「あいつのせい」「こいつのせい」と「せい」ばかりを連発する社長もいます。
その表情はいつも怒っている人特有の眉間をしています。
●これまでにたくさんの社長とお会いしてきましたが、「うちの会社には、何ひとつ問題がありません」と胸をはって答えられる社長にはお会いしたことがありません。きっとこれからも会うことはできないと思っています。もしそんなことを言う人がいるとしたら、よほど理想や目標が低い人なのでしょう。
●では、「問題はたくさんあるが、困難には直面していない」という経営者はどの程度いるのでしょう?
それにはデータがあるのですが、正解は、おおむね1割です。9割の経営者は困難を抱えながら経営を行っているという調査結果が出ているのです。
●中小企業金融公庫が2004年に「経営環境実態調査」として発表したもの。少々古いデータではありますが、何らかの参考になるでしょう。
問1.あなたは今、経営上の困難に直面していますか?
はい、いいえ
問2.はいの場合、経営に最も影響の大きい問題は何ですか?
売上が伸びない、資金繰難、人材不足、後継者難、技術力不足、その他
●当然、従業員規模によって回答内容に微妙な違いがあります。「困難に直面していますか?」に対して『いいえ』と回答した企業の割合をみてみますと、従業員数20名未満の企業は10.3%、従業員数301名以上の企業は13.6%となっています。企業規模が大きいほど、その割合も高くなっていますが、おおむね10%強が「困難はない」と認識しています。
●逆から見ると90%近くの会社が「困難がある」と答えているのですが、その内訳は、
一位:売上が伸びない、減少している(40%~47%)
二位:人材不足(21%~32%)
●ちなみに三位の「資金繰難」については
企業規模が小さいほど大きな問題になっています。従業員20人未満の会社の15.7%がこの問題を抱えており、301名以上の企業になるとこれは、3.4%の会社に過ぎません。
●整理してみましょう。
1.困難を抱えている会社はざっと9割(残り1割は困難を抱えていると思っていない)
2.企業規模を問わず「売上が伸びない」が最大の困難
3.企業規模を問わず「人材不足」が二番目の困難
4.企業規模が大きくなるほど、「人材不足」と回答する企業の割合が増える
5.企業規模が小さくなるほど、「資金繰難」と回答する企業の割合が増える
●困難に直面しているのはあなただけではありません。
それを抱えながら前進するのが社長業。逃げずに立ち向かい、困難を乗り越えて強くなっていきましょう。
2010年12月24日(金)更新
2倍を目指せ!
●この15年間、名古屋で経営計画講座を毎年二回開催してきています。
Wish List、理念作りから始まって決算書の読み方、数字目標作り、顧客創造計画、人と組織作り計画、そして経営計画の進捗チェック体制までを成文化し、互いに発表しあって終わる合計7回の講座です。
●あるとき、講座のなかで5年後の数字目標を作っていたら、一人の社長が手をあげこんな質問をしました。
「武沢さん、当社はまだ設立3年目の会社です。5年先にうちがどうなっているかなんて、とても分かりません。せいぜい来年の目標を作るのが精一杯です」
●私は逆に質問しました。
「じゃあ、あと何年したら5年先までの数字が作れるようになりますか?」
彼は言葉につまったようですが、「せめてあと5年はいろいろやってみないと分からない」というのです。
●彼が言わんとすることは「数字予測」のようなもので、なるべく誤差の少ない予測をしようという発想です。
そうではなく、数字目標というのは社長の意思です。せめてここまで到達したいという思いや、
ここまではやりたいという希望が先に必要なのです。予測値なのではありません。
●ドラッカーは、「1年でできることはことのほか少ないが、5年でできることはことのほか多い」と言っています。5年あれば、思っていることのすべてが叶う可能性があります。
そして、ドラッカーはこうも言っています。
「10年以内に規模を倍にできないのであれば、資金、人、資源の生産性を倍にする目標を掲げなければならない。生産性の向上はつねに現実的な目標であり、つねに実現可能な目標である」
●10年で倍増を目標にしましょう。いや、5年で倍増でも構いません。10年なら年率7.2%の成長、5年なら年率15%の成長が必要になります。
大企業にとっては大変な数字ですが、中小ベンチャーにとっては難しくなんかありません。もしその程度の成長が見込めない事業なのであれば、そうなるような事業構造を作る必要がある
と考えましょう。
組織には挑戦が必要であり、それは大胆なものであるべきです。
Wish List、理念作りから始まって決算書の読み方、数字目標作り、顧客創造計画、人と組織作り計画、そして経営計画の進捗チェック体制までを成文化し、互いに発表しあって終わる合計7回の講座です。
●あるとき、講座のなかで5年後の数字目標を作っていたら、一人の社長が手をあげこんな質問をしました。
「武沢さん、当社はまだ設立3年目の会社です。5年先にうちがどうなっているかなんて、とても分かりません。せいぜい来年の目標を作るのが精一杯です」
●私は逆に質問しました。
「じゃあ、あと何年したら5年先までの数字が作れるようになりますか?」
彼は言葉につまったようですが、「せめてあと5年はいろいろやってみないと分からない」というのです。
●彼が言わんとすることは「数字予測」のようなもので、なるべく誤差の少ない予測をしようという発想です。
そうではなく、数字目標というのは社長の意思です。せめてここまで到達したいという思いや、
ここまではやりたいという希望が先に必要なのです。予測値なのではありません。
●ドラッカーは、「1年でできることはことのほか少ないが、5年でできることはことのほか多い」と言っています。5年あれば、思っていることのすべてが叶う可能性があります。
そして、ドラッカーはこうも言っています。
「10年以内に規模を倍にできないのであれば、資金、人、資源の生産性を倍にする目標を掲げなければならない。生産性の向上はつねに現実的な目標であり、つねに実現可能な目標である」
●10年で倍増を目標にしましょう。いや、5年で倍増でも構いません。10年なら年率7.2%の成長、5年なら年率15%の成長が必要になります。
大企業にとっては大変な数字ですが、中小ベンチャーにとっては難しくなんかありません。もしその程度の成長が見込めない事業なのであれば、そうなるような事業構造を作る必要がある
と考えましょう。
組織には挑戦が必要であり、それは大胆なものであるべきです。
2010年12月10日(金)更新
念ずることの磁力
●壇上の講師が聴衆にむかって質問しました。
「このじゃがいもにストローが貫通すると思う人、手をあげて下さい」
「そんなのムリだ」と思った私は手をあげませんでした。周囲をみてみたら、なんと半数以上の人が手をあげています。「そんなバカな」と私。
指名された数人がステージにあがり、講師の号令にあわせて「突き通す」と言いながらストローを振り下ろすと、全員が貫通しました。
●私は目を疑いました。
「では、もう一グループあがってもらいましょう」と私も指名され、ステージにあがることになりました。さっきは全員貫通したわけですから、私もできると思いました。「突き通す」と言いながら迷わず振り下ろすと、見事貫通しました。
しかし、隣の人は結局数回やってもできず、「ほら、やっぱりできない」と言いながら席に戻っていきました。
●それは今も忘れられない神戸でのできごとでした。
席にもどって、改めて「念ずる」ということがどういうことなのかと考えさせられました。そのときの講師が「加賀屋感動ストアーマネージメント」の加賀屋克美さんでした。彼は「念ずる人」でした。
●加賀屋さんが東京ディズニーランドに初めて行ったのは小学校6年生のときだったそうです。それは、ディズニーランド開園の年でした。
子供ながらに「僕を子供扱いせず、ひとりのお客さんとして接してくれることに感動した」という加賀屋さんは、以来、ディズニーのことなら何でも知りたい、見たい、欲しいというディズニー・フリークの人生が始まりました。
●「ディズニーランドで働きたい」と思うようになるまでに時間はかからなかったそうです。
学生になったとき、近くでアルバイトさがしするときも、将来に備えたバイトを選びました。それはマクドナルドでした。当時、女性の深夜労働が禁止されていたので、午後10時以降になると加賀屋さんはカウンターで接客できました。「0円スマイル」を毎日実践したそうです。
●「念ずれば花ひらく」
やがて加賀屋さんはディズニーランドを運営するオリエンタルランドに入社しました。悲願達成でしたが、それで満足しませんでした。
今度は、アメリカ・フロリダにあるウォルト・ディズニーワールドで働きたいと思いました。まず英語を覚えよう! と、自宅にあった中学校の教科書を引っ張り出してきて英語の特訓をはじめました。そして、ついに1年後、渡米勤務が実現したのです(今では、加賀屋さんはイギリス人も賞賛する美しい英語を話すまでになりました。私はその場面を目撃したことがあります)。
●日本勤務にもどったとき、「スプラッシュ・マウンテン」が日本にも出来ると聞きました。加賀屋さんはその乗務員になろうと決意します。どんなアトラクションになるのか誰よりも早く知りたいと思った加賀屋さんは、毎日工事現場に通って、作業員たちと仲良くなりました。作業の様子を聞きながら情報収集にはげみ、自らは「ビッグサンダーマウンテン」に乗って一瞬だけみえる「スプラッシュ」の工事現場をカメラにおさめました。それを紙で模型にして、自宅に完成予想の模型を作り上げてしまいました。加賀屋さんの自宅でそれをみた友人は、絶句するとともに、念じている男の執念を感じたといいます。
●「念ずれば花ひらく」
加賀屋さんの感動追求はまだ始まったばかりです。今はディズニーを退職し、「加賀屋感動ストアマネージメント」という会社を設立しました。こんどは自分自身がテーマパークになるのです。自らの人生体験を通して、感動作りを求める企業や店舗を支援するサービスを始めたのです。感動の輪を全国、全世界に広げていきたいという加賀屋さんの思いが形になったのです。
●「念ずれば花ひらく」
幕末の思想家・吉田松陰は、「思想を維持する精神は狂気でなければならない」と語っています。周囲の人からみれば、狂気変人のようにみえるぐらいにひとつのことに打ち込むことを恐れてはなりません。
思いの力があれば、じゃがいもだって貫通します。同じじゃがいもでも、「できない」と思っている人にとっては、できないのです。できるかできないかは、自分で前もって決めていることが多いのです。最初は単なる思いつきに過ぎなかった夢やアイデアも、徹底的に念ずることによってそれを可能にするエネルギーが生まれてくるようです。
「このじゃがいもにストローが貫通すると思う人、手をあげて下さい」
「そんなのムリだ」と思った私は手をあげませんでした。周囲をみてみたら、なんと半数以上の人が手をあげています。「そんなバカな」と私。
指名された数人がステージにあがり、講師の号令にあわせて「突き通す」と言いながらストローを振り下ろすと、全員が貫通しました。
●私は目を疑いました。
「では、もう一グループあがってもらいましょう」と私も指名され、ステージにあがることになりました。さっきは全員貫通したわけですから、私もできると思いました。「突き通す」と言いながら迷わず振り下ろすと、見事貫通しました。
しかし、隣の人は結局数回やってもできず、「ほら、やっぱりできない」と言いながら席に戻っていきました。
●それは今も忘れられない神戸でのできごとでした。
席にもどって、改めて「念ずる」ということがどういうことなのかと考えさせられました。そのときの講師が「加賀屋感動ストアーマネージメント」の加賀屋克美さんでした。彼は「念ずる人」でした。
●加賀屋さんが東京ディズニーランドに初めて行ったのは小学校6年生のときだったそうです。それは、ディズニーランド開園の年でした。
子供ながらに「僕を子供扱いせず、ひとりのお客さんとして接してくれることに感動した」という加賀屋さんは、以来、ディズニーのことなら何でも知りたい、見たい、欲しいというディズニー・フリークの人生が始まりました。
●「ディズニーランドで働きたい」と思うようになるまでに時間はかからなかったそうです。
学生になったとき、近くでアルバイトさがしするときも、将来に備えたバイトを選びました。それはマクドナルドでした。当時、女性の深夜労働が禁止されていたので、午後10時以降になると加賀屋さんはカウンターで接客できました。「0円スマイル」を毎日実践したそうです。
●「念ずれば花ひらく」
やがて加賀屋さんはディズニーランドを運営するオリエンタルランドに入社しました。悲願達成でしたが、それで満足しませんでした。
今度は、アメリカ・フロリダにあるウォルト・ディズニーワールドで働きたいと思いました。まず英語を覚えよう! と、自宅にあった中学校の教科書を引っ張り出してきて英語の特訓をはじめました。そして、ついに1年後、渡米勤務が実現したのです(今では、加賀屋さんはイギリス人も賞賛する美しい英語を話すまでになりました。私はその場面を目撃したことがあります)。
●日本勤務にもどったとき、「スプラッシュ・マウンテン」が日本にも出来ると聞きました。加賀屋さんはその乗務員になろうと決意します。どんなアトラクションになるのか誰よりも早く知りたいと思った加賀屋さんは、毎日工事現場に通って、作業員たちと仲良くなりました。作業の様子を聞きながら情報収集にはげみ、自らは「ビッグサンダーマウンテン」に乗って一瞬だけみえる「スプラッシュ」の工事現場をカメラにおさめました。それを紙で模型にして、自宅に完成予想の模型を作り上げてしまいました。加賀屋さんの自宅でそれをみた友人は、絶句するとともに、念じている男の執念を感じたといいます。
●「念ずれば花ひらく」
加賀屋さんの感動追求はまだ始まったばかりです。今はディズニーを退職し、「加賀屋感動ストアマネージメント」という会社を設立しました。こんどは自分自身がテーマパークになるのです。自らの人生体験を通して、感動作りを求める企業や店舗を支援するサービスを始めたのです。感動の輪を全国、全世界に広げていきたいという加賀屋さんの思いが形になったのです。
●「念ずれば花ひらく」
幕末の思想家・吉田松陰は、「思想を維持する精神は狂気でなければならない」と語っています。周囲の人からみれば、狂気変人のようにみえるぐらいにひとつのことに打ち込むことを恐れてはなりません。
思いの力があれば、じゃがいもだって貫通します。同じじゃがいもでも、「できない」と思っている人にとっては、できないのです。できるかできないかは、自分で前もって決めていることが多いのです。最初は単なる思いつきに過ぎなかった夢やアイデアも、徹底的に念ずることによってそれを可能にするエネルギーが生まれてくるようです。
2010年11月19日(金)更新
謀反すべし
●謀反に成功すれば英雄になりますが、失敗すれば英雄になれないし、悪名が歴史に残ることもあります。謀反とはリスキーな行為です。
しかし、ビジネスや人生はもともとリスキーだと考えれば、謀反そのものをイケナイものだと考えるのは保守的過ぎませんか。謀反を起こすことや起こされることを恐れることは禁物です。
●社員からも取引先からも謀反にあうことがあります。子供に謀反されることだってあるでしょう。
社員なんだから社長の言うことを聞くのが当たり前だ、と思っていたら大間違いです。
"社長が社員を採用してやった"というような驕った気持ちがどこかにあると、社員にそれが伝わります。その結果、社員は社長に反旗をひるがえします。
●「社員が会社を選んだのであり、たまたまその会社の社長があなただった」ということだってあります。
社員が黙って去ってくれるだけなら幸せな謀反ですが、声高らかに宣戦布告し攻撃をしかけてくる謀反だってあるのです。
●そもそも、親友や親戚、夫婦、親子ですら謀反がつきもの。表面的にはうまくいっていても、波風をたてたくないから今は我慢しているだけ、という時があるものです。
いや、まず古い自分に対して自分自身で謀反を起こしましょう。殻をやぶるのです。
●昔、こんな若者がいました。
彼は血液型A型の典型的な几帳面タイプ。机の上に置いた腕時計の向きがまっすぐかどうか気になって夜中に目を覚ますような子でした。
親や友だち、学校の先生に対しては、ずっと「良い子」で高校生まで育ちました。中学生までは学級委員を毎年つとめ、成績も学年ベスト10以内が指定席でした。親から見たら自慢の息子だったに違いありません。
●そんな少年がある日、突如、家出しました。ボストンバッグに着替えだけを詰めこんで、衝動的に夜8時に家を飛び出したのです。親が電話中のスキを盗み、弟には「僕は今から家出する」とだけ告げました。理由は詳しく覚えていませんが、親に対する謀反であると同時に「良い子」を演じる自分への謀反でもありました。
●少年はその日を境にして血液がすべて入れ替わったかのように人が変わりました。あれだけ几帳面だったのがウソのようにおおざっぱになり、「良い子」をやめたのです。
親や先生の期待どおりになるのが良いのではなく、自分の考えをもって自分の責任で動き始めました。
その少年が私です。
●親子の関係もその日をさかいに変わりました。
そのあとも、何度か謀反を起こしました。謀反のたびに悟りに近づくように思いますが、あと何回謀反を起こせばよいのか気が遠くなるほどです。
社員にも謀反を起こさせ、大人として対等かつ信頼しあえる関係を作っていきましょう。
しかし、ビジネスや人生はもともとリスキーだと考えれば、謀反そのものをイケナイものだと考えるのは保守的過ぎませんか。謀反を起こすことや起こされることを恐れることは禁物です。
●社員からも取引先からも謀反にあうことがあります。子供に謀反されることだってあるでしょう。
社員なんだから社長の言うことを聞くのが当たり前だ、と思っていたら大間違いです。
"社長が社員を採用してやった"というような驕った気持ちがどこかにあると、社員にそれが伝わります。その結果、社員は社長に反旗をひるがえします。
●「社員が会社を選んだのであり、たまたまその会社の社長があなただった」ということだってあります。
社員が黙って去ってくれるだけなら幸せな謀反ですが、声高らかに宣戦布告し攻撃をしかけてくる謀反だってあるのです。
●そもそも、親友や親戚、夫婦、親子ですら謀反がつきもの。表面的にはうまくいっていても、波風をたてたくないから今は我慢しているだけ、という時があるものです。
いや、まず古い自分に対して自分自身で謀反を起こしましょう。殻をやぶるのです。
●昔、こんな若者がいました。
彼は血液型A型の典型的な几帳面タイプ。机の上に置いた腕時計の向きがまっすぐかどうか気になって夜中に目を覚ますような子でした。
親や友だち、学校の先生に対しては、ずっと「良い子」で高校生まで育ちました。中学生までは学級委員を毎年つとめ、成績も学年ベスト10以内が指定席でした。親から見たら自慢の息子だったに違いありません。
●そんな少年がある日、突如、家出しました。ボストンバッグに着替えだけを詰めこんで、衝動的に夜8時に家を飛び出したのです。親が電話中のスキを盗み、弟には「僕は今から家出する」とだけ告げました。理由は詳しく覚えていませんが、親に対する謀反であると同時に「良い子」を演じる自分への謀反でもありました。
●少年はその日を境にして血液がすべて入れ替わったかのように人が変わりました。あれだけ几帳面だったのがウソのようにおおざっぱになり、「良い子」をやめたのです。
親や先生の期待どおりになるのが良いのではなく、自分の考えをもって自分の責任で動き始めました。
その少年が私です。
●親子の関係もその日をさかいに変わりました。
そのあとも、何度か謀反を起こしました。謀反のたびに悟りに近づくように思いますが、あと何回謀反を起こせばよいのか気が遠くなるほどです。
社員にも謀反を起こさせ、大人として対等かつ信頼しあえる関係を作っていきましょう。
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