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2010年11月12日(金)更新

いつもニコニコ元気な笑顔

●自宅から会社まで歩くと25分、自転車だと17分で行けます。今朝は自転車にしましたが、17分間のすべてを笑顔で通してみました。ふと気づくと笑顔が消えそうになっているので、かなり大変な挑戦でした。

●たった一日の試みなので何も変化は起きませんでしたが、明らかにふだんよりたくさん人々の視線を集めたような気がします。もし、これを毎日続けたらどうなるでしょう?
こんなふざけた試みを思い立たせるような出来事が最近、連発したのです。

●まず最初は、ある会社から届いた「ゆうパック」でした。

「一度批評してほしい」と経営方針書を送ってきてくれた会社があるのです。匿名希望なので、仮の名前を『国定製鋼所』としておきましょう。

『国定製鋼所 第6期経営方針書』と金文字で印刷された豪華な装丁で、きちんとした経営管理がなされている印象を私に与えました。

●「きっと中味も正統派の経営方針書になっているのだろうなぁ」と思いきや・・・、明けてビックリの内容でした。イラスト、挿し絵満載、写真もあちこちに。すべてカラーコピーです。

1.経営理念:「いつもニコニコ元気な笑顔」
2.経営方針:「笑顔ウィルスで世界を覆い尽くそう。そのためには、
       ・社員の笑顔
       ・家族の笑顔
       ・お客様の笑顔
       ・取引先の笑顔
       ・地域の皆さまの笑顔
       ・会社の笑顔
       ・株主の笑顔
       をいつも忘れず実践します。」
3.各部活動計画
       ・笑顔で達成する長期と短期の業績目標
       ・笑顔で獲得する新規開拓
       ・笑顔で生み出す新サービス
       ・笑顔がきれいな人を集める活動
       ・笑顔でお金を大切にする経費削減計画
       ・笑顔の人を大切にする人育て計画
       
・・・etc. ざっとこのように、すべてが経営理念の「笑顔」にリンクして作られています。「国定製鋼所」という会社名は仮のものですが、方針書の骨子はまさしくこの通りなのです。

●笑顔にこだわることは素晴らしい。なぜなら、誰でも心がけひとつで簡単に出来ることだからです。それでいて、いつも笑顔を忘れずにいるのは並大抵なことではありません。それをやりきる、やらせきるところに価値が生まれます。それに笑顔を見るのは楽しいではないですか。

●そんなことがあった翌日、ジムのマシンで走っていました。いつしか、歯をかみしめて必死な形相で走り続ける私。知らぬ間にコーチが横に来ていました。

「武沢さん、ランニングで一番大切なことは何だと思います?」
「ハッ、ハッ、ハッツ、しらない、ハッ」
「ほら、息があがってますよね、それでは完全に心拍数オーバー。減量目的のランニングは、となりの人と会話ができる程度の呼吸を維持しましょう。そのためには、みけんの縦じわをとって、笑顔で走りましょう。笑顔を保ちながら心拍数オーバーになる、なんてことは絶対にありませんから」

●「ここでも笑顔か」と思いました。でも、たしかに笑顔になると、自然に心も明るい気持ちになっていくのが分かります。笑顔のままで暗い考えをすることはできないからです。

よし、しばらくは通勤時間だけでも "笑顔通勤" をやってみよう!

2010年11月01日(月)更新

無人島での貸借対照表

●臆病なのは短所ですが、慎重なのは長所になります。おせっかいなのは欠点ですが、面倒見が良いのは長所です。
つまり見方次第でいかようにもなる。

でしたら、不運とか不幸というのも、見方を変えれば幸運や幸福になるのでしょうか。

「はい、なります」というお話しをしましょう。

●イギリスの作家デフォーが書いた物語『ロビンソン・クルーソー』(1719年刊)をお読みになった方も多いと思います。

内容は、投機的精神に富む貿易商だったロビンソンが両親の反対を押しきって航海にでる。だがひどい嵐にあい、たったひとり流れ着いた無人島で28年間にも及ぶ孤独なサバイバル生活をおくり、見事生還するという物語です。

●この物語の中でロビンソンは、無人島にたった一人で漂着した我が身の不幸さをなげいて、ひたすら悲しみます。

「私には食物も家も衣類も武器も逃げ場もなく、救われる望みもなく、前途にはただ死があるだけであった。猛獣に喰われて死ぬか、蛮人に殺されるか、喰べるものがなくて餓死するかのいずれかであろう。夜になってから猛獣をおそれて樹にのぼって一夜をあかした」と、ロビンソンは最初の日記に記しました。

●ですが翌日、太陽の光を浴びながら周囲を見渡すと、相当な財産というか資産があることにも気づくきます。

まず、近くには水場がありました。浜辺にはボートが打ちあげられていましたし、沖合には、座礁した船が結構使える状態で残っていました。ボートと船を調べてみたら、食糧や衣類、ピストルや剣などの物資が出てきました。
おまけに、なにかの袋を振ってみたら、穀物が飛び散った。それが、数ヶ月後に大麦の穂を実らせたのです。

●たしかに、無人島単独漂着ということは不幸なことではありますが、身のまわりの境遇は決して悲観材料ばかりでないことに気づくロビンソン。
やがて、彼は貿易商としての知識を活かして、今の境遇の「良い点と悪い点」を貸借対照表にしようと考えます。

●左側に悪い点、右側に良い点を対比させ、次のように表を完成させていきました。

・悪い点その1.
 私はおそろしい孤島に漂着し、救われる望みはまったくない。
・良い点その1.
 他の乗組員全員が溺れたのに、私はそれを免れてげんにこうやって生きている

・悪い点その2.
 私は全人類から絶縁されている孤独者であり、人間社会から追放された者だ
・良い点その2.
 私は「食うものも無い不毛の地で餓死する」という運命を免れている

●この作業をやりながらロビンソンは悟りました。

「痛ましい境涯にあっても、そこには多かれ少なかれ感謝に値するなにものかがあるということを、私の対照表は明らかに示していた。世界じゅうで最悪の悲境に苦しんだ者として、私が人々にいいたいことは、どんな悲境にあってもそこにはわれわれの心を励ましてくれるなにかがあるということ、良いことと悪いこととの貸借勘定では、結局貸し方(良い方)のほうに歩があるということ、これである」と。

●その日から、ロビンソンは助け船を求めるために沖合ばかりを見るのをやめました。そして、自らの力で強く生きる力を回復するため、規則的な生活習慣、労働習慣、学習習慣(聖書と祈り)を守り始めるのでした。

無人島に漂着するのを待たずともよい。壁を感じるときがあれば、いつでも一人で作ってみてはどうでしょう。

2010年10月12日(火)更新

コッテージ・チーズを洗う

●友人が「 Education is power 」と書かれたリストバンドをはめていました。彼は、いつも左手にあるその白いリストバンドを見るたびに、学習の大切さを思い出すそうです。

このように、大切なことを思い出せるようにしておくことはとても重要なことです。なぜなら大切な目標に至るにはずいぶん時間がかかるからです。

●石油の鉱脈にたどりつくためには、杭打ち機によって何度も何度もくり返しくり返し、杭を打ち込む必要があります。強烈な一発で杭が鉱脈にたどりつくことはあり得ません。

限界の突破にはエネルギーが必要なのです。

『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』の著者コリンズは、「飛躍にいたる条件は、規律ある考えと規律ある行動が大切」としてコッテージ・チーズを洗うたとえ話を紹介しています。

●これは、ハワイの鉄人レースで六回優勝したトライアスロンの世界的スター、デーブ・スコットの話です。彼の練習がすさまじい。

毎日の練習で平均して自転車で120キロ、水泳で2万メートル、長距離走で27キロというトレーニングを一日も欠かさずこなしているというのです。
毎日の練習だけで5,000キロカロリーも消費しているのです。
私の場合、最高にがんばった日にはマシンで1時間ほど走ったことがあります。それでも消費カロリーはわずか500キロカロリーでしたから、その10倍を毎日やっているのです。

●それでもスコットは、さらに能力を高めるために栄養にも万全の気配りをしているそうです。
少しでも脂肪分が少なく、炭水化物が多い食事をとっているのです。さらにさらに、コッテージ・チーズを食べる前には入念に洗って、少しでも脂肪分を落としてから食べるようにしているといいます。

●この行為を『ビジョナリー~』のコリンズはこう表現します。

・・・
鉄人レースに勝つにはコッテージ・チーズを洗わなければならないことを示す証拠があるわけではない。核心はそこにはない。チーズを洗うのは小さなことではあるが、この小さな方法によって自分の力がさらに少しでも強まると本人が確信している点にこそ核心がある。この小さな方法を他の多数の方法に付け加えることによって、強烈なほど規律のある一貫した計画を作り上げているのだ。
・・・

●あなたにとって、コッテージ・チーズを洗う行為とは何でしょうか?

★『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822242633/

2010年10月01日(金)更新

変わる経営理念

●その日、私はA社長にむかって少し強い口調でこう申し上げました。

「もう逃げるのはやめましょう。今作ってください。今です。今、この場で作ることができますから、やってみましょう!」と。

A社長は「経営理念を作りたい。そして、中長期の経営ビジョンもまとめ上げたい」ということで、私が主催するセミナーに参加されました。

●複数回にわたって経営理念の作り方をご説明し、そのための書式も差し上げました。でも二ヶ月たった、そのときになっても理念が一行も出来ていないというのです。

その理由は「あと延ばし」の誘惑に負けているからではないでしょうか。
経営理念を教科書的に理解すると金縛りにあってしまい、結局「あと延ばし」してしまいます。

●教科書いわく、「経営理念は未来永劫変わらないもので、それこそ社長が何世代も代替わりしようとも変わらない我社の根本的価値観と理想を文章にしたもの」

今までそれに近いものが何もなかったのに、そんな理想的な理念がすぐに作れるわけがないのです。もし作れるとしたら、他社事例を参考にして作った模範解答的な理念に過ぎなく、社長の魂が入っていない借りものの理念でしょう。

●私はセミナーで幾度となく「経営理念は変えても良い」と申し上げてきましたが、今後はもっと大胆にこう申し上げることにしました。

「経営理念はどんどん変わっていくべきだ」
「経営理念は毎年、いや、当面は毎月変わっても構わない」
と。

●ドラッカーはこう述べています。

「私は父とシュンペーターとの会話に同席し、三つのことを学んだ。一つは、人は何によって人に知られたいかを自問しなければならない。二つは、その問いに対する答えは、歳をとるにつれて変わっていかなければならないということである。成長に伴って、変わっていかなければならない。三つめは、本当に知られるに値することは人を素晴らしい人に変えることであるということである」
( ドラッカー『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)より )

●成長と自己変革に応じて理念はもちろん、理想も変わっていくものです。

ドラッカーも語っているように人も会社も「何によって人に知られたいか」を自問しなければならないし、それは、歳をとるにつれ、成長するにつれ、変わっていかなければならない性質のものだと思います。

●経営理念も長期ビジョンもどんどん変わるべし。

ただし、どうせ変わるから作らない、というのでなく、変わるために今作るのです。

明日でも今晩でもなく、5分の時間があれば今すぐにでも作り始められるもの、それが「経営理念」です。

●まずは、「今月の経営理念」を毎月作りましょう。だんだん変える必要がない理念に仕上がっていくことでしょう。そうしたら今度は、「年度経営理念」に格上げし、やがて年度も取ってしまえば良いのです。

それが理念を成文化するときの正しい姿勢だと思います。

2010年09月24日(金)更新

夢と情熱で負けない

●知識がないことは恥ではありません。
むしろ知ったかぶりをしないことです。知らないことは堂々と知らないと言いましょう。
しかし、どうしたら知ることができるのか、誰なら知っているのかを知っておくことはとても大切です。

●「己の周りに、己より優れし人物を集めたる者、ここに眠る」という米国・鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーの墓碑銘はあまりに有名です。彼は電話のプッシュボタン一つで世界中の権威に相談できたと言われています。

●日本でも同様の人物がいます。松下幸之助氏です。
氏が大学生の定期採用を始めたころ、専門知識を披瀝する新入社員の話をさえぎって、こう言い放ちました。
「あんたの話は難しくてさっぱりわからん。難しいことを私にもわかるように話しをするのが大学出のあんたの役目やろう」

●これらのエピソードをあえて大胆に要約すれば、「高度な学問や知識はお金で買える」というものです。大切なのは、それらのものを目的に応じて使いこなしていくことができてはじめて知識は有益なのです。

●「力のある者は頭のいい者に使われ、頭のいい者は金持ちに使われ、金持ちは夢のある者に使われる」と言われますが、中小企業の社長ならそれらのすべてを持っているべきだと思います。
特に社長は、会社をよりよくすることに対する夢と情熱では誰にも負けてはなりません。

・・・
『本当にすばらしい仕事をしてきたじゃないか。ここらで一服してもいいはずだ』
父はいつもそう言われてきました。父の答えはいつも同じでした。
『とんでもない。もっともっと前進して、もっといい仕事をしなければ』
         (マリオットホテル会長:J・マリオット・ジュニア)
・・・
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