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2006年08月07日(月)更新

利益とは何か

●お客様にゴリヤクを提供し、社員の物心両面の幸せを実現しようという経営者にとって、大切なものは「利益」である

●なぜなら、お客様に対してより良いゴリヤクを提供していくためには、社員を教育してサービス水準を高めたり、新たな設備投資をしたりする必要がある。その原資は資金であり、資金調達のための大きな呼び水が「利益」なのだ。

●また、従業員の幸せを心から願う以上、一生の職場たるにふさわしい雇用条件や待遇の実現など、働きがいと誇りがもてる環境を作っていく必要がある。その原資もやっぱり「利益」なのだ。

●では、「利益とはいったい何なのだろう」か。たまには、まじめに考えてみたい。

●まず、私の考えを述べてみたい。

 1.利益とは、会社全体の社会に対するお役立ちの結果であり、お客様や市場がくれた通信簿である
 2.利益とは、単なる儲けではなく、お客様や従業員に対して今以上に喜んでいただくための唯一の資金源である
 3.利益を内部留保していくことによって、会社には安全性と柔軟性が増し、社員には新たな仕事の機会がもたらされることになる

 つまり、利益とは最終的な儲けの金額を指すのではなく、会社の存続と従業員の豊かな人生を実現するための「必要経費」なのである。

●これが模範解答という意味ではない。ご自分なりの回答で構わない。いずれにせよ、こうした利益観をじっくりと従業員に教え、対話をして理解を深めることが重要である。

●ある会社の営業部長某氏が、営業会議でこんな発言をしているのを聞いたことがある。

「先月までの上半期で利益目標は未達成ですし、前年の半分しか利益は出ていません。しかしながら、いまだに半期で1,000万円の儲けがあるわけですから、あわてる必要はないかと思います」

 私は唖然とした。残念だがこの部長氏、利益に対する理解が不十分だ。利益の半分が税金に取られ、その残りから借金返済の元金や株主への配当、役員賞与を払い、その残りだけが会社に蓄積されるという事実を知らないのだろうか。1,000万円の「儲け」では銀行返済さえままならない可能性だってあるのだ。

●もう一度申し上げる。「利益がなぜ、いくら必要なのか」「利益目標の達成がどれだけ大切なことなのか」、社員に対して真剣に教え込んであげてほしい。あなた自身の言葉で

2006年08月03日(木)更新

社長は黙って・・・

●「燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」ということばがあります。出典は、中国の古典『史記』で、秦の時代の英雄・陳渉のことばだそうです。あの坂本竜馬も、この言葉を好んで使っていたといいます。

●燕雀(えんじゃく)とは、スズメやツバメのこと。鴻鵠(こうこく)とは、おおとりと、くぐい、いずれも大きな鳥のこと。その意味するところは、小人物がどうして大人物の志を知ることができようぞ、というものです。

●竜馬には、こうした自らを鼓舞することばが多く残されています。たとえば、「世の人は、我をなんともいわば言え、我がなす事は我のみぞ知る」もそうです。小物にはわからない大物の志というものがあるのですね。

●経営者という職業も、なにかと周囲から理解されないことが多いものです。たとえば、経営者の会合などに顔をだすと、ときどき「家庭をかえりみずに仕事に明け暮れて、家族から愛想をつかされています」と頭をかく経営者がおられます。たしかに、「家庭すら守れずに会社を守れるのか!」というヤジが飛んできそうですが、私はこうしたヤジにくじけてはならないと思います。

●たとえ、家庭における人間関係がうまくいっていなかったとしても、従業員や顧客の幸せに貢献しようと一心不乱にがんばっておられる真摯な経営者だってたくさんいるのです。「より大きな愛」をもった経営者だからこそなせるわざではないでしょうか。自分のためでも家族のためでもなく、ただひたすら良い会社を作るため、良い社会を作るために真摯に働いている経営者って、鴻鵠(こうこく)そのものですね。

●経営者はもうひとつ、押さえておかねばならないことがあります。それは言葉ではなく、結果で評価されるという一面です。しかも一年とか二年という短期スパンでも結果を求められる存在だということです。そのあたりが昔の志士や今の政治家と異なる点です。自分の理念も理想も主義主張もすべては決算書に表れる、という覚悟も、経営者には必要なのです。

●あなたの事業の目的は何か、志は何かということについて百人百様の考え方があると思いますが、あなたがどのような経営者だったかは、「男は黙ってサッポロビール」(古い宣伝文句)ならぬ「社長は黙って決算書」なのです。

●鴻鵠の志と決算書の両方で勝負できる経営者になりましょう!
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