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社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2007年05月25日(金)更新
リーダーシップを発揮するために
●「武沢さん、社長に就任してわかったことなのですが・・・」
ある日、父親から会社を受け継ぎ、先月社長に就任したばかりのA社長からこんな相談を持ちかけられました。
「社長業って、部門間の利害調整や意見調整がけっこう大変なのですねえ。」
私は「そうなんですか」とは言いながらも、彼の発言に違和感を覚えずにはいられませんでした。
●社長はリーダーです。マネージャーではありません。リーダーとは文字通り、組織を目的に向かってリードしていく人です。ですから、常日頃からリーダーシップを発揮しやすい組織や環境、風土を作る必要があり、そのための人間関係というのが、とても大切なものとなります。ふだんの何気ない人間関係がそのまま、リーダーシップの土壌を作り上げていくのです。
●ドラッカー教授が書いた次の一節が、とても私の印象に残っています。
――私が知っているなかで最もよい人間関係をもっていた者はだれかと問われるならば、次の3人をあげる。第二次大戦中のマーシャル将軍、1920年~1950年代半ばにGMのトップを務めたアルフレッド・スローン、スローンの年上の部下で不況のさなかにキャデラックを豪華車として成功させたニコラス・ドライスタットの3人である。彼ら3人は、これ以上違いようがないほど違っていた。
(中略)
その彼らが3人とも、同じように部下たちから深い献身と愛情をもたれていた。3人とも、それぞれの仕方で、上司・部下・同僚との関係を築いていた。3人とも、仕事の必要上、多くの人たちと密接な関係をもって働き、気を配った。
もちろん3人とも、人事については厳しい意思決定を行わなければならなかった。しかし、彼らのうちの一人として、人間関係に悩むことはなかった。彼らは、人間関係を当たり前のこととしていた。――
(※P.F.ドラッカー著『経営者の条件』(ダイヤモンド社刊)より)
●社長は、社内の人間関係のストレスを当然のこととして、受け止めねばなりません。時には辛い決定や、厳しい決断も必要でしょう。しかし、だからと言って落ち込んだり悩んだりする必要はありません。なぜなら、それこそがリーダーの仕事だからです。
●たとえばプロスポーツの場合、「勝つ」ことが監督と選手の共通目標です。ベテランバッターがスランプに陥っている場合を考えてみましょう。監督は「打席に立つことでスランプを脱出できれば」と思っていても、成績が振るわない選手は試合に出しません。温情をかけたことで負けてしまっては、チーム全体に迷惑がかかるからです。
●会社経営も同じです。特に中小企業経営には、大企業ではマネできないような俊敏な経営という武器があります。それは、まさしく社長の強いリーダーシップがあるからこそできる芸当なのです。
●それには、社長の思い通りに一糸乱れぬ動きをする組織作りが必要です。社長は思いきりワガママになって、好きな部下と仕事をして、自分に望むように働いてもらい、望ましい結果を出させるべき存在なのです。
●決して嫌いな人がいてはいけません。もし、部下の中に「あの社員は嫌いなのだけど、仕事ができるので我慢して使っている」という人がいたら、それは社長のリーダーシップを曇らせ、社長自身のテンションだって最高潮にはなりません。つまり、好きになれない人は雇うべきではないのです。
●もう一度言います。社長はリーダーシップを発揮しましょう。そして自分の望むような経営が可能となる組織を、日頃から作っていくのです。それが社長の仕事、責任なのですから。
ある日、父親から会社を受け継ぎ、先月社長に就任したばかりのA社長からこんな相談を持ちかけられました。
「社長業って、部門間の利害調整や意見調整がけっこう大変なのですねえ。」
私は「そうなんですか」とは言いながらも、彼の発言に違和感を覚えずにはいられませんでした。
●社長はリーダーです。マネージャーではありません。リーダーとは文字通り、組織を目的に向かってリードしていく人です。ですから、常日頃からリーダーシップを発揮しやすい組織や環境、風土を作る必要があり、そのための人間関係というのが、とても大切なものとなります。ふだんの何気ない人間関係がそのまま、リーダーシップの土壌を作り上げていくのです。
●ドラッカー教授が書いた次の一節が、とても私の印象に残っています。
――私が知っているなかで最もよい人間関係をもっていた者はだれかと問われるならば、次の3人をあげる。第二次大戦中のマーシャル将軍、1920年~1950年代半ばにGMのトップを務めたアルフレッド・スローン、スローンの年上の部下で不況のさなかにキャデラックを豪華車として成功させたニコラス・ドライスタットの3人である。彼ら3人は、これ以上違いようがないほど違っていた。
(中略)
その彼らが3人とも、同じように部下たちから深い献身と愛情をもたれていた。3人とも、それぞれの仕方で、上司・部下・同僚との関係を築いていた。3人とも、仕事の必要上、多くの人たちと密接な関係をもって働き、気を配った。
もちろん3人とも、人事については厳しい意思決定を行わなければならなかった。しかし、彼らのうちの一人として、人間関係に悩むことはなかった。彼らは、人間関係を当たり前のこととしていた。――
(※P.F.ドラッカー著『経営者の条件』(ダイヤモンド社刊)より)
●社長は、社内の人間関係のストレスを当然のこととして、受け止めねばなりません。時には辛い決定や、厳しい決断も必要でしょう。しかし、だからと言って落ち込んだり悩んだりする必要はありません。なぜなら、それこそがリーダーの仕事だからです。
●たとえばプロスポーツの場合、「勝つ」ことが監督と選手の共通目標です。ベテランバッターがスランプに陥っている場合を考えてみましょう。監督は「打席に立つことでスランプを脱出できれば」と思っていても、成績が振るわない選手は試合に出しません。温情をかけたことで負けてしまっては、チーム全体に迷惑がかかるからです。
●会社経営も同じです。特に中小企業経営には、大企業ではマネできないような俊敏な経営という武器があります。それは、まさしく社長の強いリーダーシップがあるからこそできる芸当なのです。
●それには、社長の思い通りに一糸乱れぬ動きをする組織作りが必要です。社長は思いきりワガママになって、好きな部下と仕事をして、自分に望むように働いてもらい、望ましい結果を出させるべき存在なのです。
●決して嫌いな人がいてはいけません。もし、部下の中に「あの社員は嫌いなのだけど、仕事ができるので我慢して使っている」という人がいたら、それは社長のリーダーシップを曇らせ、社長自身のテンションだって最高潮にはなりません。つまり、好きになれない人は雇うべきではないのです。
●もう一度言います。社長はリーダーシップを発揮しましょう。そして自分の望むような経営が可能となる組織を、日頃から作っていくのです。それが社長の仕事、責任なのですから。
2007年05月21日(月)更新
責任の行き止まり
●ホワイトハウスにある大統領執務室の壁に、「責任の行き止まり」と書かれた一枚のプラカードがかけられているそうです。これは、「自分にとって、責任を転嫁する相手は存在しない」ということを暗示しているのでしょう。大統領であれ、社長であれ、最終責任者には常にそれくらいの覚悟が要求されます。
●「会社組織における最終責任者は、社長である」ということは、もはや言うまでもないでしょう。
●では、幹部や社員には責任転嫁する相手がいてもいいのでしょうか? 時と場合によっては、幹部や社員の席にも「責任の行き止まり」カードをぶら下げておく必要があると思うのです。
●「おっかしいなぁ。なぜこんな結果になるのか、理由を聞かせてくれ」
靴販売の「シューズマート田仲(仮名)」の田仲社長は、経営会議の席上でそう言って、眉間にシワを寄せました。その理由は粗利益の急激な落ち込みです。3か月前に改装したばかりの本店の粗利益が29%から22%にまで低下したのです。
●「シューズマート田仲」は本店の改装オープンにあわせ、外国製の低価格シューズを目玉商品に据えました。このシューズ自体の粗利益は40%あり、他の定番商品を値下げ販売しても、最終的には全体で30%を超える粗利益が出るはずでした。それなのに、結果が22%というのがどうにも解せないというのです。
●この会社の役員は、社長、専務(奥さん=経理担当)、仕入部長、店舗運営部長、総務部長の5名です。商品価格の決定権は仕入部長にありますが、値下げする権限は店舗運営部長にも与えられています。また、7店舗それぞれの店長にも値引きをする裁量が与えられているのです。田仲社長は「いったい、だれの責任だ?」と続けました。
●社員数が増え、組織として仕事をこなすようになると、責任の所在があいまいになることがあります。
●この会社の場合、本来なら粗利益責任は仕入部長にあるはずです。店舗での値下げ権限があるとは言え、それらを常に把握して粗利益をコントロールする責任があります。しかし、仕入部長は仕入れのための出張が多く、社内にいることはめったにありません。外国出張も多いため、この件について責任を追及するのは気の毒だ、ということは社長もわかっています。
●一方、店舗運営部長も7つの店舗の指導で忙しく、粗利益の低下をリアルタイムで把握することは困難な状況にありました。販売促進の企画に加え、チラシや販売マニュアルの制作など、同じく多忙を極めているからです。
●この場合、二つの視点が必要です。一つは、社長が発した質問の通り、「誰の責任か?」という視点。もう一方は、「何が原因で、どうすれば改善できるのか?」という視点です。多くの会議に参加して気づくことは、「何が原因なのか?」という議論は必ずされますが、「誰の責任か?」という議論が足りないことです。どうすれば改善されるかを論じる前に、まずは誰の責任なのかを明確にしておくべきでしょう。
●会議では次のような結論が出ました。
1.これまでは、粗利益をコントロールする責任の所在が曖昧であった。
2.今後は、毎週月曜日に専務が販売集計表を作成し、各役員に配付する。
3.各役員は、その集計表をもとに問題を発見して解決策をレポートにまとめ、火曜日の経営会議に提出する。
4.それに伴い、月曜日に開催していた経営会議を火曜日に変更する。
5.売上高は店舗運営部長、粗利益と在庫は仕入部長、経費は専務を、それぞれ最終責任者とする。
●責任の所在を曖昧にしたままでは、組織全体としての問題を議論しても真剣味に欠けるのです。もちろん、すべての結果に対する最終的な責任は社長にありますが、個々の現象に対しては社長が最終責任者なのではありません。役員や幹部なのです。
●明日の経営者を育てるためにも、幹部に責任を負わせることを避けてはなりません。たとえば、「粗利益責任の行き止まり」「売上高責任の行き止まり」というようなカードを作って、天井からぶら下げてみてはいかがでしょうか。
●「会社組織における最終責任者は、社長である」ということは、もはや言うまでもないでしょう。
●では、幹部や社員には責任転嫁する相手がいてもいいのでしょうか? 時と場合によっては、幹部や社員の席にも「責任の行き止まり」カードをぶら下げておく必要があると思うのです。
●「おっかしいなぁ。なぜこんな結果になるのか、理由を聞かせてくれ」
靴販売の「シューズマート田仲(仮名)」の田仲社長は、経営会議の席上でそう言って、眉間にシワを寄せました。その理由は粗利益の急激な落ち込みです。3か月前に改装したばかりの本店の粗利益が29%から22%にまで低下したのです。
●「シューズマート田仲」は本店の改装オープンにあわせ、外国製の低価格シューズを目玉商品に据えました。このシューズ自体の粗利益は40%あり、他の定番商品を値下げ販売しても、最終的には全体で30%を超える粗利益が出るはずでした。それなのに、結果が22%というのがどうにも解せないというのです。
●この会社の役員は、社長、専務(奥さん=経理担当)、仕入部長、店舗運営部長、総務部長の5名です。商品価格の決定権は仕入部長にありますが、値下げする権限は店舗運営部長にも与えられています。また、7店舗それぞれの店長にも値引きをする裁量が与えられているのです。田仲社長は「いったい、だれの責任だ?」と続けました。
●社員数が増え、組織として仕事をこなすようになると、責任の所在があいまいになることがあります。
●この会社の場合、本来なら粗利益責任は仕入部長にあるはずです。店舗での値下げ権限があるとは言え、それらを常に把握して粗利益をコントロールする責任があります。しかし、仕入部長は仕入れのための出張が多く、社内にいることはめったにありません。外国出張も多いため、この件について責任を追及するのは気の毒だ、ということは社長もわかっています。
●一方、店舗運営部長も7つの店舗の指導で忙しく、粗利益の低下をリアルタイムで把握することは困難な状況にありました。販売促進の企画に加え、チラシや販売マニュアルの制作など、同じく多忙を極めているからです。
●この場合、二つの視点が必要です。一つは、社長が発した質問の通り、「誰の責任か?」という視点。もう一方は、「何が原因で、どうすれば改善できるのか?」という視点です。多くの会議に参加して気づくことは、「何が原因なのか?」という議論は必ずされますが、「誰の責任か?」という議論が足りないことです。どうすれば改善されるかを論じる前に、まずは誰の責任なのかを明確にしておくべきでしょう。
●会議では次のような結論が出ました。
1.これまでは、粗利益をコントロールする責任の所在が曖昧であった。
2.今後は、毎週月曜日に専務が販売集計表を作成し、各役員に配付する。
3.各役員は、その集計表をもとに問題を発見して解決策をレポートにまとめ、火曜日の経営会議に提出する。
4.それに伴い、月曜日に開催していた経営会議を火曜日に変更する。
5.売上高は店舗運営部長、粗利益と在庫は仕入部長、経費は専務を、それぞれ最終責任者とする。
●責任の所在を曖昧にしたままでは、組織全体としての問題を議論しても真剣味に欠けるのです。もちろん、すべての結果に対する最終的な責任は社長にありますが、個々の現象に対しては社長が最終責任者なのではありません。役員や幹部なのです。
●明日の経営者を育てるためにも、幹部に責任を負わせることを避けてはなりません。たとえば、「粗利益責任の行き止まり」「売上高責任の行き止まり」というようなカードを作って、天井からぶら下げてみてはいかがでしょうか。
2007年04月27日(金)更新
社長の評価
●いよいよゴールデンウイークです。休日を利用して旅行や買い物に出かける人も多いと思いますが、景気をさらに良くするためにも、みんなでドシドシお金を使いましょう。かく言う私も、この連休は大分県の湯布院の名旅館に泊まって、ゆっくりかみさん孝行をさせてもらうつもりです。
●さて、今回は評価について考えてみたいと思います。評価とは言っても、今回とりあげるのは社長の評価についてです。
●社員の評価については書籍やセミナーなどのテーマとして頻繁に取り上げられるため、そこで得た知見をベースとしてオリジナルの評価表を作成し、運用している会社が多いようです。
●しかし、オーナー企業の社長に限ってみますと、昇進や昇格がないため、評価されるような機会はほとんどありません。金融機関が決算書を判断基準として評価するということはありますが、それはあくまで企業としての評価であって、必ずしも社長自身のマネジメント能力やリーダーシップの評価に結びつくものではありません。
●サラリーマン社長ならば、株主総会で評価され、場合によっては更迭されることもあります。他方、オーナー社長は、たとえ業績が悪いからといって、自ら退任するようなことは滅多にしません。
●そこで、経営力を甘くさせないために、定期的な社長評価が必要になってきます。2005年に日本能率協会が「役員の業績評価と報酬に関するアンケート」を行いました。一部上場企業のトップに対して行った調査で、詳細は下記のURLからご覧いただけます。
http://www.jma.or.jp/release/23.html
●結果から言えることは、役員の評価と報酬との関係は、依然としてブラックボックスの中にあるということです。成果主義で社員を評価する風潮が、すごい勢いで浸透しているのに対し、役員の評価に対してはなかなか浸透していきません。
●そこで、社長自身のために、一年に1~2回は自己評価をしてみましょう。場合によっては、部下に経営能力を評価してもらうのもいいでしょう。
●あくまで一例ですが、社長を評価する項目を考えてみました。
■定量的評価項目
1.利益額(率)
2.売上高
3.目標達成度
4.ROAまたはROE
5.キャッシュフロー
■定性的評価項目
1.経営方針とビジョンの明確化
2.当期重点課題の実行進捗度
3.部下の採用・定着・育成
4.社風の向上とリーダーシップ
5.経営力向上のための個人的な取り組み
●これらを評価表のスタイルに落とし込んで、各10点、合計100点の評価シートにするのです。
上半期と下半期それぞれで評価し、結果を毎回記録しましょう。当然、役員報酬の額を結果に連動させるべきです。
●他の役員も同様の方法で評価します。もし、社長より経営力がありそうな人物がいたら、その人に社長を任せてみるのも一つの手でしょう。自分は最大株主であっても、経営の最前線からは離れ、新社長に会社の舵取りを任せるのです。
●このように、社長自身も社員と同じように評価対象になり、自らの競争原理にさらすことが、会社を健全に保つ秘訣なのです。
●勇気をもって「社長の評価」を始めてみませんか。
●さて、今回は評価について考えてみたいと思います。評価とは言っても、今回とりあげるのは社長の評価についてです。
●社員の評価については書籍やセミナーなどのテーマとして頻繁に取り上げられるため、そこで得た知見をベースとしてオリジナルの評価表を作成し、運用している会社が多いようです。
●しかし、オーナー企業の社長に限ってみますと、昇進や昇格がないため、評価されるような機会はほとんどありません。金融機関が決算書を判断基準として評価するということはありますが、それはあくまで企業としての評価であって、必ずしも社長自身のマネジメント能力やリーダーシップの評価に結びつくものではありません。
●サラリーマン社長ならば、株主総会で評価され、場合によっては更迭されることもあります。他方、オーナー社長は、たとえ業績が悪いからといって、自ら退任するようなことは滅多にしません。
●そこで、経営力を甘くさせないために、定期的な社長評価が必要になってきます。2005年に日本能率協会が「役員の業績評価と報酬に関するアンケート」を行いました。一部上場企業のトップに対して行った調査で、詳細は下記のURLからご覧いただけます。
http://www.jma.or.jp/release/23.html
●結果から言えることは、役員の評価と報酬との関係は、依然としてブラックボックスの中にあるということです。成果主義で社員を評価する風潮が、すごい勢いで浸透しているのに対し、役員の評価に対してはなかなか浸透していきません。
●そこで、社長自身のために、一年に1~2回は自己評価をしてみましょう。場合によっては、部下に経営能力を評価してもらうのもいいでしょう。
●あくまで一例ですが、社長を評価する項目を考えてみました。
■定量的評価項目
1.利益額(率)
2.売上高
3.目標達成度
4.ROAまたはROE
5.キャッシュフロー
■定性的評価項目
1.経営方針とビジョンの明確化
2.当期重点課題の実行進捗度
3.部下の採用・定着・育成
4.社風の向上とリーダーシップ
5.経営力向上のための個人的な取り組み
●これらを評価表のスタイルに落とし込んで、各10点、合計100点の評価シートにするのです。
上半期と下半期それぞれで評価し、結果を毎回記録しましょう。当然、役員報酬の額を結果に連動させるべきです。
●他の役員も同様の方法で評価します。もし、社長より経営力がありそうな人物がいたら、その人に社長を任せてみるのも一つの手でしょう。自分は最大株主であっても、経営の最前線からは離れ、新社長に会社の舵取りを任せるのです。
●このように、社長自身も社員と同じように評価対象になり、自らの競争原理にさらすことが、会社を健全に保つ秘訣なのです。
●勇気をもって「社長の評価」を始めてみませんか。
2007年04月13日(金)更新
幸せホルモンを分泌させよう
●仕事をする以上は、それ自体を思いっきり楽しみたいものです。
●大好きなゴルフで腕を磨くために練習場でボールを打ち、コーチにレッスンを受ける時のような熱心さと向上心をもって仕事ができたら、どんなに幸せでしょう。
「仕事と趣味を一緒にするのはおかしい」
という意見もあるでしょう。もちろん、一緒にするつもりはありませんが、やっぱり仕事は楽しくなければならないと思うのです。
●最初は好きで始めた仕事でも、毎日同じことを単調にくり返しているだけだと、やがて仕事は義務と化し、好きだった仕事も好きではなくなってしまうものです。
●つい数年前に、「脳内モルヒネ」という言葉が流行しました。ベストセラー本で紹介された「脳内モルヒネ」とは、「βエンドルフィン」といわれるホルモン。私たちの体内で分泌されるもので、麻薬以上に快感を得ることができる、と紹介されました。
●こうした "幸せホルモン" は、私たちが心の底から喜んでいる時や、楽しいと思っている時に分泌されやすいと言われています。楽しいことを想像しただけでも脳内モルヒネが出るときがありますが、それは一時的な話。大切なのは、持続的に幸せホルモンが出ることです。
●たとえば、次のようなケースでは、ある程度持続して "幸せホルモン" が出ていると考えられます。
◇マラソンランナーが苦しさを乗り越えたときに訪れる「ランナーズ・ハイ」
◇登山家が険しい登山の最中にいっさいの恐怖心がなくなる「クライマーズ・ハイ」
◇ダイエットで空腹の辛さを乗り越えたときに訪れる「ダイエット・ハイ」
◇猛烈に忙しいはずなのに、疲れを全然感じない「ハードワーク・ハイ」
●幸せホルモンが持続的に分泌された結果、ふだんなら出せないような力を発揮できることだってあるのです。これを「潜在能力の発揮」ともいいますが、それは長時間労働や義務的な労働では決して得ることはできません。無上の喜びや、極上の楽しみを感じているときだけ得られるのです。
●ゴルフや趣味に熱中するのも悪くありませんが、しょせんゴルフはゴルフ、趣味は趣味。現実のビジネスや会社経営という仕事は、本来、ゴルフや趣味などとは比べものにならないくらいに面白いはずです。いや、面白くしなければおかしいのです。
●そのために、経営者をはじめとして社員全員の脳にある「βエンドルフィン」が分泌するような仕事のスタイルに変えましょう。
●そこで、定期的に次の四つの視点で仕事をチェックされることをご提案します。
1.仕事そのものが刺激的か?
2.仕事の進め方が刺激的か?
3.仕事仲間や顧客が刺激的か?
4.仕事の報酬が刺激的か?
●この四つに対して「YES」「NO」「どちらでもない」で回答してみましょう。
四つともが「YES」であれば最高。あなたは今、仕事に熱中しているはずです。
●最悪なのは、すべてが「NO」のとき。これでは、仕事がつまらないどころか、「ノルアドレナリン」という不幸せ感とストレスを増幅させるホルモンが分泌し始めます。それを断固として阻止しなければ、うつとか出社拒否といった結果を招きかねません。
●仕事が面白いか、面白くないか。仕事が楽しいか、楽しくないか。そうした素直な感情を大切にキャッチし、幸せホルモンが途切れないよう、早めに手を打っていきましょう。
●大好きなゴルフで腕を磨くために練習場でボールを打ち、コーチにレッスンを受ける時のような熱心さと向上心をもって仕事ができたら、どんなに幸せでしょう。
「仕事と趣味を一緒にするのはおかしい」
という意見もあるでしょう。もちろん、一緒にするつもりはありませんが、やっぱり仕事は楽しくなければならないと思うのです。
●最初は好きで始めた仕事でも、毎日同じことを単調にくり返しているだけだと、やがて仕事は義務と化し、好きだった仕事も好きではなくなってしまうものです。
●つい数年前に、「脳内モルヒネ」という言葉が流行しました。ベストセラー本で紹介された「脳内モルヒネ」とは、「βエンドルフィン」といわれるホルモン。私たちの体内で分泌されるもので、麻薬以上に快感を得ることができる、と紹介されました。
●こうした "幸せホルモン" は、私たちが心の底から喜んでいる時や、楽しいと思っている時に分泌されやすいと言われています。楽しいことを想像しただけでも脳内モルヒネが出るときがありますが、それは一時的な話。大切なのは、持続的に幸せホルモンが出ることです。
●たとえば、次のようなケースでは、ある程度持続して "幸せホルモン" が出ていると考えられます。
◇マラソンランナーが苦しさを乗り越えたときに訪れる「ランナーズ・ハイ」
◇登山家が険しい登山の最中にいっさいの恐怖心がなくなる「クライマーズ・ハイ」
◇ダイエットで空腹の辛さを乗り越えたときに訪れる「ダイエット・ハイ」
◇猛烈に忙しいはずなのに、疲れを全然感じない「ハードワーク・ハイ」
●幸せホルモンが持続的に分泌された結果、ふだんなら出せないような力を発揮できることだってあるのです。これを「潜在能力の発揮」ともいいますが、それは長時間労働や義務的な労働では決して得ることはできません。無上の喜びや、極上の楽しみを感じているときだけ得られるのです。
●ゴルフや趣味に熱中するのも悪くありませんが、しょせんゴルフはゴルフ、趣味は趣味。現実のビジネスや会社経営という仕事は、本来、ゴルフや趣味などとは比べものにならないくらいに面白いはずです。いや、面白くしなければおかしいのです。
●そのために、経営者をはじめとして社員全員の脳にある「βエンドルフィン」が分泌するような仕事のスタイルに変えましょう。
●そこで、定期的に次の四つの視点で仕事をチェックされることをご提案します。
1.仕事そのものが刺激的か?
2.仕事の進め方が刺激的か?
3.仕事仲間や顧客が刺激的か?
4.仕事の報酬が刺激的か?
●この四つに対して「YES」「NO」「どちらでもない」で回答してみましょう。
四つともが「YES」であれば最高。あなたは今、仕事に熱中しているはずです。
●最悪なのは、すべてが「NO」のとき。これでは、仕事がつまらないどころか、「ノルアドレナリン」という不幸せ感とストレスを増幅させるホルモンが分泌し始めます。それを断固として阻止しなければ、うつとか出社拒否といった結果を招きかねません。
●仕事が面白いか、面白くないか。仕事が楽しいか、楽しくないか。そうした素直な感情を大切にキャッチし、幸せホルモンが途切れないよう、早めに手を打っていきましょう。
2007年03月30日(金)更新
五省(ごせい)
●前号では日報の五つの目的について、実例を交えてご紹介しました。会社におけるホウレンソウ(報告・連絡・相談)のツールとして、日報は大切な役割を担っているのです。
●さて、今回は他人のためのホウレンソウではなく、“自分自身のなかにいる最良の自分”に対するホウレンソウというものを考えてみたいと思います。
●ある日のこと、私は広島県西部にある江田島市を訪問しました。明治時代中頃から第二次世界大戦が終わるまでの間、この地には海軍兵学校が置かれていました。「イギリスのダートマス」「アメリカのアナポリス」と並らんで「日本の江田島」が三大海軍学校として世界に知れわたっていた時期もありました。
●わが国における海軍の歴史は、1869年(明治2年)に海軍操練所が開設されのがはじまりです。その後、海軍兵学校と改称。兵学校が江田島に移転されたのは、1888年(明治21年)のことでした。現在この場所は、海上自衛隊幹部候補生学校、第一術科学校になっています。
●さてこの江田島の学校を見学した際、「五省」と書かれた文章を発見しました。その内容は、次のようになっています。
一.至誠に悖る(もとる)なかりしか
一.言行に恥ずるなかりしか
一.気力に欠くるなかりしか
一.努力に憾み(うらみ)なかりしか
一.不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか
●この「五省」を定めたのは明治15年当時の海軍学校校長・松下元少将です。松下校長は、当時の世相を鑑みて、将来海軍将校となるべき兵学校生徒に対し、日々の行為を反省させ、明日の修養に備えさせるためにこの五箇条を制定したといいます。
●「五省」の意味はこうです。
一、至誠に悖(もと)るなかりしか・・・真心に反するようなところはなかったか
一、言行に恥ずるなかりしか・・・自分の発言や行動に恥じるべきところはなかったか
一、気力に欠くるなかりしか・・・惰性ではなく、気力に満ちていたか
一、努力に憾みなかりしか・・・最善の努力をしたか
一、不精に亘るなかりしか・・・妥協や手抜き、自己満足に陥ることはなかったか
●毎晩、自習終了五分前になると「G一声」のラッパが鳴り響きます。すると、生徒はみなすばやく書物を机の中におさめ、粛然と姿勢を正します。当番の生徒が「五省」の五項目を読み上げる。生徒は瞑目して心の中でその問いに答えながら、その日一日を自省自戒するそうです。「自習やめ、解散」のラッパが鳴り響くまでの五分間が「五省」の時間です。
●終戦後に来日した米国海軍のウィリアム・マック海軍少将がこの「五省」に感銘を受け、自国に持ち帰り翻訳しました。それは現在でも、アナポリスの海軍兵学校で利用されているといいます。もちろん、現在の海上自衛隊幹部候補生学校、第一術科学校でもこの伝統が受けつがれてるそうです。
●ちなみに英語で「五省」は、こうなります。
Five Reflections Japanese Imperial Neval Academy
1.Hast thou not gone against sincerity?
1.Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds?
1.Hast thou not lacked vigor?
1.Hast thou exerted all possible efforts?
1.Hast thou not become slothful?
●私たちも、内なる自分と対話するために、この「五省」を活用しようではありませんか。
●さて、今回は他人のためのホウレンソウではなく、“自分自身のなかにいる最良の自分”に対するホウレンソウというものを考えてみたいと思います。
●ある日のこと、私は広島県西部にある江田島市を訪問しました。明治時代中頃から第二次世界大戦が終わるまでの間、この地には海軍兵学校が置かれていました。「イギリスのダートマス」「アメリカのアナポリス」と並らんで「日本の江田島」が三大海軍学校として世界に知れわたっていた時期もありました。
●わが国における海軍の歴史は、1869年(明治2年)に海軍操練所が開設されのがはじまりです。その後、海軍兵学校と改称。兵学校が江田島に移転されたのは、1888年(明治21年)のことでした。現在この場所は、海上自衛隊幹部候補生学校、第一術科学校になっています。
●さてこの江田島の学校を見学した際、「五省」と書かれた文章を発見しました。その内容は、次のようになっています。
一.至誠に悖る(もとる)なかりしか
一.言行に恥ずるなかりしか
一.気力に欠くるなかりしか
一.努力に憾み(うらみ)なかりしか
一.不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか
●この「五省」を定めたのは明治15年当時の海軍学校校長・松下元少将です。松下校長は、当時の世相を鑑みて、将来海軍将校となるべき兵学校生徒に対し、日々の行為を反省させ、明日の修養に備えさせるためにこの五箇条を制定したといいます。
●「五省」の意味はこうです。
一、至誠に悖(もと)るなかりしか・・・真心に反するようなところはなかったか
一、言行に恥ずるなかりしか・・・自分の発言や行動に恥じるべきところはなかったか
一、気力に欠くるなかりしか・・・惰性ではなく、気力に満ちていたか
一、努力に憾みなかりしか・・・最善の努力をしたか
一、不精に亘るなかりしか・・・妥協や手抜き、自己満足に陥ることはなかったか
●毎晩、自習終了五分前になると「G一声」のラッパが鳴り響きます。すると、生徒はみなすばやく書物を机の中におさめ、粛然と姿勢を正します。当番の生徒が「五省」の五項目を読み上げる。生徒は瞑目して心の中でその問いに答えながら、その日一日を自省自戒するそうです。「自習やめ、解散」のラッパが鳴り響くまでの五分間が「五省」の時間です。
●終戦後に来日した米国海軍のウィリアム・マック海軍少将がこの「五省」に感銘を受け、自国に持ち帰り翻訳しました。それは現在でも、アナポリスの海軍兵学校で利用されているといいます。もちろん、現在の海上自衛隊幹部候補生学校、第一術科学校でもこの伝統が受けつがれてるそうです。
●ちなみに英語で「五省」は、こうなります。
Five Reflections Japanese Imperial Neval Academy
1.Hast thou not gone against sincerity?
1.Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds?
1.Hast thou not lacked vigor?
1.Hast thou exerted all possible efforts?
1.Hast thou not become slothful?
●私たちも、内なる自分と対話するために、この「五省」を活用しようではありませんか。
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