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社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2012年03月02日(金)更新
起承転結というもの
●「武沢さんはいつ文章を学びましたか?」と聞かれることがあります。たしかにメルマガやブログ、著書などでたくさん文章を書いてますから、どこかで教わってきたのかと思われるのかもしれませんが、実際はすべて我流です。
学生のころから文章を書く機会が比較的多かったのは事実で、たくさん駄文を人目にさらしてきたことで面の皮も厚くなったのだと思います。
●ただ中学生のころ、今思い返せば大変貴重な経験をしました。たぶん同じ経験は二度とできないでしょう。それは、「文通」の経験です。たしか雑誌『中1コース』で文通仲間(ペンパル)を募集している読者欄があり、そのなかの何人かと文通した経験があります。どこのどなたとも分からない相手と手紙のやりとりをする。それはドキドキする経験でした。
また、高校生のころになってふとしたことから遠隔地の女性と仲良くなり、文通と恋文の中間のような手紙のやりとりをしたこともあります。
●そのころ、毎日のように手紙を書き、そして読みました。
今のようにパソコンもワープロもありませんからすべてペンの手書き。たった便せん2~3枚の手紙を書くのに夜遅くまでかかり、便せん1冊を使い切ってしまったこともあります。字の下手さに苦労した以上に、文章作りの悩ましさに格闘しました。
こうした、お金では買えない文章経験が書くことを苦にしない基礎になっているのは間違いないことでしょう。
●文章術に関する本もたくさん読みました。その中にこんな文例がありました。
・・・
本所横丁の糸屋の娘
姉は十八 妹は十六
諸国諸大名は弓矢で殺す
糸屋の娘は目で殺す
・・・
●糸屋の娘さんはすごくきれいだよ、というだけの話なのですが、このような文章で表現されたらインパクトは絶大です。話の「起承転結」というものを人に教える際に持ち出される文例でもあるそうです。
最初の行が「起」で、場所と登場人物を述べています。次の行が「承」で、登場人物の情報を詳しく説明しています。次が「転」で、話ががらりと変わって物語が展開し、最後の行「結」で話を締めくくっています。最後まできて、オチ(結論)がわかるという寸法です。
●童謡で「起承転結」を教える場合もあります。
起→どんぐりころころどんぶりこ
承→おいけにはまってさあたいへん
転→どじょうがでてきてこんにちは
結→ぼっちゃんいっしょにあそびましょ
●朝刊や漫画週刊誌でおなじみの四コマ漫画も起承転結のお手本のようなものでしょう。
このように、起承転結は文章やスピーチの基本型であり、ビジネスにおけるコミュニケーションではこの原則をおさえた上で応用編が編み出されます。プロ野球でも奇襲作戦があるように、「起承転結」の順番ではなくいきなり「結」を最初にもってくることもあるのです。
●「起承転結」以外に、こんなテクニックもあります。
昭和28年、話し方にコンプレックスをもつ日本人のために話し方教室を日本で最初に立ちあげた故・江川ひろし先生は、著書の中で次のように書いておられます。
・・・私たちは話をまとめすぎることによって、本来ならとても興味深い話になるものを勝手に自分でつまらなくしてしまっています。
一例をあげますと、
<ある寒い日に、小さな子どもたちがみるからに寒そうなかっこうをして表で遊んでいました>というような話でもそうです。ある寒い日とはどういう日なのでしょうか。<寒い日>の中には、"空がうす暗く曇り、北風がビュービュー吹く" 寒い日もあれば、"つららが軒先から30センチも下がるような" 寒い日もあれば、 霜が真っ白に庭に立った" 寒い日もあれば、 "地面に撒いた水がカチンカチンに凍っている" 寒い日もあるように、いろいろあるはずです。(後略)
・・・
として、話を白黒からカラーへ、ラジオからテレビへ、平面から立体へ持ってゆくための技法を公開しています。
話が下手、文章が下手となげいているヒマがあればメールフレンドを見つけて迫真の文章を送るという手はいかがでしょう。もっとも経営者なら部下や取引先全員が最強のメールフレンドですから上達する機会には充分恵まれているはずです。