ブログ個人トップ | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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2013年09月27日(金)更新
お金の支払いに姿勢が出る
●そんな中にあって、ちょっとご遠慮願いたいなと思っていることがいくつかある。
ひとつは、打ち合わせ過多である。60分の講演のために二度、三度と打ち合わせされる主催者がいるが、一度で済ませたいものだ。微調整はメールもしくは電話で充分である。
もうひとつは、開演前の談話。講師控え室で名刺交換と立ち話をする程度ならよいが、ここで長話されると気分が落ち着かない。できれば講演やセミナーの前は一人で心を整理したい。
●もうひとつ大切なことを付け加えるなら、講師料の支払いについてである。
時々、講演料や交通費が後日精算という組織があるが、できれば当日払いか先払いにされた方が良いだろう。
一度だけ「月末締めの60日後支払い」という講演の打診を受けたが、そうされる理由を聞いても満足できるお答えがなかったので辞退したことがある。
●外部講師に支払う謝礼は、通常の仕入れや経費の支払いとはまったく別の基準をもたねばならない。現金支払いにすべきだと思うのだ。意外と多くの組織が、他の支払いと同じ基準を外部講師に対してまで当てはめようとしている。講師としては講演料の決済のことでいちいち目くじらを立てたくはないが、内心では気になる。
●『「人たらし」のブラック心理術』(内藤誼人著、大和書房)の中にこんな例がでてくる。ある調査機関が「健康に関する調査の一環」として2147名の医者にアンケートを郵送した。謝礼として20ドル(約2,400円)を同封して郵送する場合と、「協力してくれたらあとで20ドルお渡しします」という条件とで返信率の違いを比較したという。その結果、先に現金を同封した場合には78%の医者がアンケートに協力したのに対し、約束だけした場合には66%しか返信がなかったという。
●人をその気にさせる基本は金払いを良くすることだ。
誤解のないように補足するが、私のワガママをあなたにお伝えするのが今日の主旨ではない。
あなたが次回、どなたかに講師にお願いするときに講師の気持ちをノセるための条件を書いているのだ。
これは講師だけに限った話ではなく、支払うべきものは早めにスパッと支払うことが目にみえないブランディングになっていることを覚えておこう。
2009年12月11日(金)更新
魅惑的なコピー
●なので、「う~ん、詳しく話すと長くなるのですが、メルマガや本の執筆に加えて、セミナーや講演、異業種交流会の主催などをやってます。まあ、社長にがんばってもらうのが仕事なので、『がんばれ社長!』にしました」と答えました。
●「へぇ、すごそうですね」と彼女は言ってくれましたが、おそらく全然わからなかったでしょう。といっても、それは彼女の理解力に問題があったのではありません。こちらの伝え方の問題なのです。
●アメリカの人気コンサルタント、トム・ピーターズは「自分や自社を世間に伝えるときの表現力が大切である」として、次のように述べています。
・・・
陳腐な言葉がならんだ自己紹介ではなく、すこしはあなたの顔が見えるような表現をしよう。
たとえば、
・セクハラ訴訟を避けるエキスパート。私の名前は25の新聞・雑誌に取り上げられた
・金融サービスと小売業に豊富な経験をもつ○○○
など、はっきりと正確に伝えることが大切。(若干、見栄が入っていたとしても)それがブランドになるので、次の設問に答えを出すことで自分の表現力を高めよう。
1. 自分はいったいどういう人間か
2. 自分の商品は何か
3. その商品は何が特別なのか
4. 類似商品とどこがどう違うのか
5. その信頼性をどう表現すればいいのか
6. 自分が進んでいることをどう伝えればいいのか
7. 自分がカッコいいことをどう伝えればいいのか
8. これだけは誰にも負けないという技能はなにか
9. 過去の実績(自慢できるプロジェクト)がいくつあるか
10. 世間の評判はどうか
11. 見た目(身だしなみは大切だ、そして名前も…)
12. 話術(説得力、表現力)
13. 人柄・個性(いちばん大切なのは、あなたらしさ)
・・・
●他人の口を介した言葉やイメージは一人歩きしていくものです。ですから、あなた自身が発するキャッチコピーが実態を正しく反映させたものであり、会う前から期待を高める役割をしてくれるのであれば、それに勝るものはないでしょう。
●少なくとも、飛び込み訪問の営業マンや交流会で名刺交換した相手が、帰社してからあなたのサイトにアクセスし、注意深く読んでくれるような魅惑的なキャッチコピーを作りたいものです。
●ちなみに、もし、冒頭の女性に今度同じ質問をされたら、「『がんばれ社長!』とは、日本の社長にがんばってもらうためにオンラインでサービスを提供する、経営コンサルタント会社です」と答えるつもりです。これでもまだ満足はしていませんが、冒頭の説明より相当すっきりしたと思いませんか?
2007年08月17日(金)更新
名を好む病
●あるとき、師の助言をあおごうと、弟子のひとりが王陽明に向かって自分の考えを述べました。ところが、横から別の弟子・孟源が「その考えは、私が以前考えていた内容と同じだ」と口を挟みました。
●陽明は孟源に向かって、「お前の病気がまた始まった」と言うと、孟源は気色ばんで弁解しようとしました。しかし、陽明は再び「お前の病気がまた始まった」と言いました。今度は黙ってしまった孟源に向かって、「汝一生の大病根は、名を好むの病なり」と言い、次のようなたとえ話を言って聞かせたそうです。
あなたの存在をたとえて言うならば、一丈(3m)四方の狭い土地に植わっている、一本の大きな樹木です。仮に、その土地で良い穀物を栽培しようとしても、樹木の根が邪魔して、穀物の生育を妨げる。それだけではなく、枝や葉で穀物が成長するための日光もさえぎってしまう。あなたがそんな樹木のような存在になってしまっているのは、「名を好む病」が原因なのです。(『伝習録』より)
●この『伝習録』を愛読していた松下村塾の吉田松陰も、晩年自らをふり返った手紙のなかで、「名を好む病」がたびたび発病したことを告白し、反省しています。要するに思想と行動の純粋性に欠け、世間からの評判や喝采の方を先に意識してしまう病気です。
●私たちのまわりにも、ほめられたい、認められたいと強く思うがあまり、他人の目を過剰に意識している人が大勢います。そういう人は、自分がものすごく損をしていることに、気づいていないことが多いようです。
●企業経営において「名を好む病」とは何でしょうか? 会社の知名度をあげようと努力することも「名を好む」ことに入るのでしょうか。
●私は「否」だと思います。
●市場原理のなかで働いている私たちですから、知名度を上げてお客様に認知してもらわないことには、何もはじまりません。しかし、度が過ぎると、自社の実力以上によく見せようと、見栄を張ってしまうことがあります。そこまでくると、完全に「名を好む病」と言えます。
●ウシオ電機の牛尾治朗氏は、「『無名有力』の時代を経ないで有名になるということは、最も危険なことだ」と述べておられますが、その真意は、有名になることがいけないのではなく、実力以上に見せることが危険である、というものです。たとえば、経営者がマスコミにしばしば登場したり、成功のノウハウ本を書いたり、講演をしたりするのは、名を好むがゆえの行為である可能性が高く、危険だということです。
●『伝習録』のたとえ話や、牛尾氏の言葉から学ぶべきは、「『実力はあるのに無名』という時代を経ることを惜しんではならない」ということなのです。