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戦略タイム

投稿日時:2006/09/22(金) 21:42rss

●マイクロソフトのビルゲイツ氏が、年に一回別荘に籠もる、というのは有名な話です。一週間ほど一人になって山荘で生活し、経営戦略を練り上げる。経営の現場に埋没していては、できない仕事があるようです。

●ある経営者は、「ボスデー」と称して毎月の最終土曜日を戦略タイムにあてています。この日は、いっさいの仕事を入れず、必要な資料とノートパソコンを持ち込んでホテルに籠もる。また、別の社長は毎日、始業前の30分間をそれにあてているそうです。

●中小企業経営者は、大半がプレイイングマネージャーですから、何らかの実務を受けもつケースが多いはず。おのずと就業時間中では、戦略や方針決めのことまでは考えが及びません。そこで、なかば強制的に時間を設けようという知恵なのでしょう。

●毎年、経営計画を作成し、発表している会社では、少なくとも年に一回は会社のあるべき姿を見直し、具体的な戦略や方針を考えることができます。ですが、それでも足りません。年に一度の経営計画作成で事が足りるほど現実は甘くない。

●計画通りにいかない事が多いし、状況も変わります。当然、目標の修正や計画の変更がせまられます。そこで、定期的な戦略タイムが必要になるわけです。

●プロ野球も監督のサインによって選手は動きます。「バント」なのか「エンドラン」なのか、あるいは「待て」なのか……。勝負どころでは一球ごとにベンチからサインが出ます。当然ながらサインは、具体的でなければなりません。まさか、「ヒットを打て」とか「ホームランを打て」というサインを出すような監督はいないでしょう。

経営の現場におけるサインはどの程度具体的なものか、考えたことがあるでしょうか。

●会議での席上、「なぜ、売れないのだ?」「もっと売れるはずだ」「努力が足りない」などの叱咤激励をよく聞きます。

●これなどは、野球の監督が「ホームランを打て」というサインを出しているようなものです。有能な監督やコーチならば、「直球に的を絞れ」とか「右打ちに徹せよ」という具体的なサインを出すはずです。

●定期的な戦略タイムを設けるということは、時間の経過を止めて日頃の経営活動をふりかえることです。そして、社員に対してより適切なサインを出せるように内省することでもあります。

●コツコツと経営方針を書きためるもよし、日頃の検討課題に対する解決策を考えるもよし、ツンドクにしておいた本を読むもよし、自由かつ生産的に過ごしたいものです。

●私は、「経営課題リスト」を日頃から作ることをおすすめしています。これは、日頃気になったテーマをその都度、箇条書きに記入しておくだけのシンプルなものです。会社に託す夢や、日常の問題点など、ごった煮のようなリストでも構いません。

●こうしたリストを作っておくことで、今なにを考えなければならないのかを絶えず具体的にしておくことができます。許すかぎりの範囲内で、すべての経営者が戦略タイムを設け、よりよいサインを出せるようにしていただきたいと願っています。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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