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使いにくい社員

投稿日時:2006/10/20(金) 11:46rss

●すぐれた経営者は現実的な視点を忘れません。夢や理想を追い求めながらも思考回路は現実を直視しています。

●では、何が非現実的なことで、何が現実的なことなのでしょうか。

●非現実的なこととは、変えることができないことを変えようとすることです。
それは、「過去」と「他人」。過去と他人を変えようとすることほど非現実的なことはありません。他人が変わろうとすることを手助けすることは出来ても、他人を変えることはできない。親子や夫婦といえども同様でしょう。

●すぐれた経営者が持ち合わせている現実的な考え方とは、未来と自分を変えるために今できることに関心を集中することです。

●ギャラップ調査でおなじみのギャラップ社には膨大な数におよぶインタビュー調査レポートがあります。その中におもしろいものがありました。
あなたも一緒に考えてみてください。
あなたはマネージャーとして、次の2人の部下のうち、どちらを選ぶか?
1.一人で2億円を売り上げるが独立心が強く一匹狼のような人間
2.売上は半分だが、和気あいあいでチームプレイする人間

●私がお付き合いしている人たちにこの質問をしたことがないので、結果はわかりませんが、おそらく日本の中小企業では、2番の方を選ぶ人が多いと思われます。

●しかし、ギャラップ調査によるとすぐれたマネージャーは1番を選択すると答えています。これは、才能に重きをおくのか、管理しやすさに重きをおくのかの選択の問題です。

●すぐれたマネージャーは、管理しやすい人材をさがすのでなく、世界水準をめざせる才能の持ち主を求めています。管理しやすいからという理由で、生産性の劣る人を重用して、しかもそのタイプを才能ある人に変えようということは、上記の「非現実的」な考え方なのでしょう。

●こんなことを書くと、「当社は、価値観や理念の共有をいちばんに重要視している」という批判をもらいそうです。それは、たしかに大切なことです。

●ところが、実際には自分の手に余るような部下を総称して、すべて、「うちには合わないヤツ」と切って捨てているケースも多いです。
・報告・連絡・相談が出来ないが、飛び抜けたセールス実績を上げる営業社員
・ずば抜けたデザインセンスをもったデザイナーだが、遅刻の常習犯
・完璧な月次決算をまとめるが、社内親睦会にはすべて欠席する経理社員

強い会社には、こうした人材が必ずいる。いるだけではなく、いきいきと活躍しています。そして、こういうタイプがどんな会社にも一人や二人いるはずです。あるいはかつて、いたはずです。このような人材が一人もいなくなった会社が、その後、強くなることはありません。

●この稿、次回に続きますが、ひとつ質問をお出しします。
才能ある部下が遅刻の常習犯。あなたならどうする?
お考えいただきたい。優秀なマネージャーの答えはひとつです。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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