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理念をみんなで作る

投稿日時:2006/12/15(金) 20:05rss

●「経営理念を成文化するために合宿研修をやってきました。おかげで素晴らしい経営理念ができました」
 と嬉しそうに報告されたA社長。
「よかったですね」
 と私は返答したものの、社員全員で理念を作るという発想に抵抗を感じました。なぜなら、経営理念は経営者が作るものだから。

●ドラッカーは『現代の経営』において、「事業とは顧客を創造することである」と定義していますが、私も彼の「事業とは顧客創造業」という考え方に賛同します。

●さらに踏みこんで申し上げるならば、事業の目的は、「顧客創造を通して理念を実現すること」 ではないでしょうか。

●営業部はもちろん、技術部も開発部も経理部も人事部も、すべての社員は顧客創造と理念の実現に向けて「役割分担」・「分業」を行っているということです。

●さらに、ドラッカーは同じ著書で「三人の石工」の例話を紹介しています。

●ある建築現場で、何をしているのかを聞かれた三人の石工のうち、「一人めの男は『これで食べている』と答えた。二人めは手を休めずに『腕のいい石工の仕事をしている』と答えた。三人めは目を輝かせて『国で一番の教会を建てている』と答えた」という話です。

●私はこの例話からドラッカーが言わんとすることは、社内のベクトルを合わせようという提言だと思うのです。

・自分たちは何のために今の仕事を行っているのか
・そして、この先何を目指しているのか


●顧客から見れば、良い仕事をやってくれればそれでよいということかも知れませんが、組織の中で働く仲間としては、自分たちの会社の目的を共有していないと何かと意見や考え方にミゾが生まれるものです。

●それを成文化したものが「経営理念」なのです。

●ベクトルは明確でなければならないし、そのベクトルをまっさきに指し示すのは経営者です

●ですから、「理念をみんなで作る」という社長は社員に甘えすぎだと私は思うのです。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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