武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
君子と小人
●西郷隆盛さんが面白いことを語り残しています。
「人材には、君子(立派な人)と小人(凡人)があり。人を採用するにあたっては、君子と小人との区別をあまり厳しくするとかえって禍を大きくするものである。こういう凡人の心情を思いはかって、そのいいところを取って、これを下役に使って、その持っている才能や技能を十分発揮させることが重要である」
(『「南洲翁遺訓」を読む―わが西郷隆盛論』渡部昇一著 致知出版社刊より)
●また、多くの経営者は「ジンザイ」という言葉をもじって、三種類あることを知っています。
人財・・・なくてはならない宝のような人
人材・・・使いみちのある人
人罪・・・いてもらっては困る人
できるものなら「人財」と「人材」ばかりにしたいもので、「人罪」は社内にいてほしくないのが社長の心情です。
●でも、三種類の人材がいることはわかっても、それをどうやって見抜くのかが肝心なところ。ちょっと会話をするだけでそれが見抜けるほど、人間は簡単にできていません。100%の正確さで「ジンザイ」を見抜くなど不可能に近い芸当です。
●しかし、面接に工夫しているいくつかの会社では、ちょっと変わった面接法を編み出しています。そのひとつが「圧迫面接」なるもの。ドコモのiモードを開発した松永真理氏のベストセラー図書『iモード事件』(角川文庫)によれば、iモード開発チームもこの「圧迫面接」で選考されたとあります。
●「圧迫面接」とは、あるテーマを面接者に与え、その答えに対して面接官が次々に質問を浴びせかけ、相手を追いつめていくもの。面接官はあえて心を鬼にして厳しい質問をしていかなければなりません。きっと次のようになるでしょう。
社長:「あなたの将来の夢は何ですか?」
相手:「世の中に必要とされる人になりたいと思います」
社長:「それはどのような人ですか?」
相手:「まず専門的な知識や技術をもつことです」
社長:「どのような専門分野をもちたいですか?」
相手:「コンピュータに関する分野ですが、できればネット関係を」
社長:「ネット技術者はゴマンといますが、あなたはその中で今何ができますか?」
相手:「△×△×・・・」
社長:「うちの会社では、あなたの技術を必要としないとわかったらどうしますか?」
相手:「△×△×・・・」
●圧迫面接の主旨は、相手の回答内容ではありません。その態度です。
●すべてにおいて適切な回答を返す人材もいれば、うまく質問をはぐらかす人、無言で通す人、聞き返す人、支離滅裂になる人など対応はさまざまです。その対応の仕方から、どの程度の芯があるか、柔軟性があるかなどを見分けることができるのです。
●圧迫面接は、通常の面接でよく見受けるような表面的な一問一答のやりとりでは見抜けない、相手の真価を知ることができるでしょう。
●さて、冒頭の西郷さんのことば「君子と小人の区別を厳しくしすぎてはいけない」について。
A君は、仕事の成果が大きく、いつも会社の目的や目標達成のために身を粉にして働いてくれる。残業はいとわないし、会議でも前向き発言が多い。
B君は、与えられた仕事だけしかやらない。いつも自分の給料や休みのことばかりを気にするし、不平や不満も多い。会議でも否定的な発言が多い。
この場合、明からにA君が君子でB君が小人です。
●社長の願望としては、会社中をA君のようなタイプで埋めつくしたいと願いがちです。しかし、それは非現実的であるばかりか、やってはいけない事だと西郷さんは説くのです。決められたことだけをきっちりこなしてくれる人材は必要だし、待遇改善をつきつける人材も必要なのです。人材バランスの問題だということです。
●しかし、中小企業経営において、私は1つの事を付け加えたい。それは、
「社長を中心とした経営陣は、君子のような人財でなければならない」
ということです。
●社長自身および、経営陣が「人財」であること、あるいは「人財」になるよう努力を怠らないことは、会社の命運を握る課題です。もし、経営陣がそのような陣容になっていないとしたら、それこそが、人に関する緊急課題となるでしょう。
「人材には、君子(立派な人)と小人(凡人)があり。人を採用するにあたっては、君子と小人との区別をあまり厳しくするとかえって禍を大きくするものである。こういう凡人の心情を思いはかって、そのいいところを取って、これを下役に使って、その持っている才能や技能を十分発揮させることが重要である」
(『「南洲翁遺訓」を読む―わが西郷隆盛論』渡部昇一著 致知出版社刊より)
●また、多くの経営者は「ジンザイ」という言葉をもじって、三種類あることを知っています。
人財・・・なくてはならない宝のような人
人材・・・使いみちのある人
人罪・・・いてもらっては困る人
できるものなら「人財」と「人材」ばかりにしたいもので、「人罪」は社内にいてほしくないのが社長の心情です。
●でも、三種類の人材がいることはわかっても、それをどうやって見抜くのかが肝心なところ。ちょっと会話をするだけでそれが見抜けるほど、人間は簡単にできていません。100%の正確さで「ジンザイ」を見抜くなど不可能に近い芸当です。
●しかし、面接に工夫しているいくつかの会社では、ちょっと変わった面接法を編み出しています。そのひとつが「圧迫面接」なるもの。ドコモのiモードを開発した松永真理氏のベストセラー図書『iモード事件』(角川文庫)によれば、iモード開発チームもこの「圧迫面接」で選考されたとあります。
●「圧迫面接」とは、あるテーマを面接者に与え、その答えに対して面接官が次々に質問を浴びせかけ、相手を追いつめていくもの。面接官はあえて心を鬼にして厳しい質問をしていかなければなりません。きっと次のようになるでしょう。
社長:「あなたの将来の夢は何ですか?」
相手:「世の中に必要とされる人になりたいと思います」
社長:「それはどのような人ですか?」
相手:「まず専門的な知識や技術をもつことです」
社長:「どのような専門分野をもちたいですか?」
相手:「コンピュータに関する分野ですが、できればネット関係を」
社長:「ネット技術者はゴマンといますが、あなたはその中で今何ができますか?」
相手:「△×△×・・・」
社長:「うちの会社では、あなたの技術を必要としないとわかったらどうしますか?」
相手:「△×△×・・・」
●圧迫面接の主旨は、相手の回答内容ではありません。その態度です。
●すべてにおいて適切な回答を返す人材もいれば、うまく質問をはぐらかす人、無言で通す人、聞き返す人、支離滅裂になる人など対応はさまざまです。その対応の仕方から、どの程度の芯があるか、柔軟性があるかなどを見分けることができるのです。
●圧迫面接は、通常の面接でよく見受けるような表面的な一問一答のやりとりでは見抜けない、相手の真価を知ることができるでしょう。
●さて、冒頭の西郷さんのことば「君子と小人の区別を厳しくしすぎてはいけない」について。
A君は、仕事の成果が大きく、いつも会社の目的や目標達成のために身を粉にして働いてくれる。残業はいとわないし、会議でも前向き発言が多い。
B君は、与えられた仕事だけしかやらない。いつも自分の給料や休みのことばかりを気にするし、不平や不満も多い。会議でも否定的な発言が多い。
この場合、明からにA君が君子でB君が小人です。
●社長の願望としては、会社中をA君のようなタイプで埋めつくしたいと願いがちです。しかし、それは非現実的であるばかりか、やってはいけない事だと西郷さんは説くのです。決められたことだけをきっちりこなしてくれる人材は必要だし、待遇改善をつきつける人材も必要なのです。人材バランスの問題だということです。
●しかし、中小企業経営において、私は1つの事を付け加えたい。それは、
「社長を中心とした経営陣は、君子のような人財でなければならない」
ということです。
●社長自身および、経営陣が「人財」であること、あるいは「人財」になるよう努力を怠らないことは、会社の命運を握る課題です。もし、経営陣がそのような陣容になっていないとしたら、それこそが、人に関する緊急課題となるでしょう。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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