武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
成果主義とは何か
●前回は、7つの経営スタイルについて、私の考えを述べました。あなたの経営スタイルは、いずれかにあてはまるかも知れませんが、欲を言えば、あなた独自の経営スタイルというものを築いていただきたいものです。
●ある経営者が私にこう語ったことを覚えています。
「武沢さん、うちは完全な能力主義でやっていますからある意味、気が楽なんです。社員も大人ですから独立独歩、固定給は低くし、あとはすべて歩合給にしました。やればやっただけ報酬がもらえるし、自分や家族のためにもがんばらざるを得ないでしょう。それと、新人研修以外の社員教育も減らしていって、本人たちの自己責任で勉強してもらおうとも考えています」
この考え方は「独立独歩の経営」のようで、もっともらしく聞こえますが、何だか変だと思いませんか?
●トヨタ自動車の奥田前会長は、かねがね「全力で雇用を維持するのが会社の責務であり、終身雇用が前提であることに変わりはない」と強調していました。同時に「トヨタの社員もプロ化しないと生き残れない」とも語っています。
●一見すると矛盾しているように聞こえますが、「雇用の維持」と「実力主義人事の導入」とは矛盾したものではありません。
●昨今の実力主義型人事を語るときに、言葉が誤用されていることがあるので確認しましょう。それは、
「能力主義=成果主義=業績主義ではない」
ということです。
●能力主義とは、文字通り能力に対してお金を払うものです。技能の成長や管理力、育成力などの能力を評価し、成長した部分が昇給されます。その最たるものが、何かの国家資格をとると手当が加算されるというものです。
●一方の成果主義とは、なしとげた成果に対してお金を払う。したがって、能力の高低は評価せず貢献してくれた成果を評価し、それを賃金などに反映させるのです。
●業績主義とは、社員の評価基準がズバリ「業績」だけにある会社です。売上高とか利益とかの数字だけが期待されている会社です。
●昭和40年代から50年代にかけての高成長を支えてきた日本的経営とは、終身雇用を前提としていただけに、もともとは「能力主義」だったことがわかります。社員の成長を促進するような期待給賃金でもあったわけです。
●そして今、トヨタに代表されるように日本の企業は、大急ぎで「成果主義」に移行してきているわけで、その流れは中小零細企業にまで及んできています。
●成果主義型人事に必要なものは、期待される成果を定量化することです。それも部門ごと、個人ごとに行われる必要があります。そして四半期ごと、または半期ごとに評価し、評価結果をフィードバックして納得性と透明を高めるべきものでしょう。
●管理職であれば、人材の育成についても目標を数値化する必要があります。たとえば、「今期中に新しくマネージャーを1名養成する」などです。
●もちろん、経営者の仕事は目標設定とその割り当てだけで終わってはなりません。社員の成長を促し、目標達成を支援するのが経営陣の大切な仕事です。成果主義を導入したからといって、冒頭の経営者のようにふんぞり返って人材育成まで放棄するようでは、本末転倒なのです。
●いずれにせよ、会社の経営管理システムは、経営者の意向を充分にふまえたものでなければならないことは、言うまでもありません。
●ある経営者が私にこう語ったことを覚えています。
「武沢さん、うちは完全な能力主義でやっていますからある意味、気が楽なんです。社員も大人ですから独立独歩、固定給は低くし、あとはすべて歩合給にしました。やればやっただけ報酬がもらえるし、自分や家族のためにもがんばらざるを得ないでしょう。それと、新人研修以外の社員教育も減らしていって、本人たちの自己責任で勉強してもらおうとも考えています」
この考え方は「独立独歩の経営」のようで、もっともらしく聞こえますが、何だか変だと思いませんか?
●トヨタ自動車の奥田前会長は、かねがね「全力で雇用を維持するのが会社の責務であり、終身雇用が前提であることに変わりはない」と強調していました。同時に「トヨタの社員もプロ化しないと生き残れない」とも語っています。
●一見すると矛盾しているように聞こえますが、「雇用の維持」と「実力主義人事の導入」とは矛盾したものではありません。
●昨今の実力主義型人事を語るときに、言葉が誤用されていることがあるので確認しましょう。それは、
「能力主義=成果主義=業績主義ではない」
ということです。
●能力主義とは、文字通り能力に対してお金を払うものです。技能の成長や管理力、育成力などの能力を評価し、成長した部分が昇給されます。その最たるものが、何かの国家資格をとると手当が加算されるというものです。
●一方の成果主義とは、なしとげた成果に対してお金を払う。したがって、能力の高低は評価せず貢献してくれた成果を評価し、それを賃金などに反映させるのです。
●業績主義とは、社員の評価基準がズバリ「業績」だけにある会社です。売上高とか利益とかの数字だけが期待されている会社です。
●昭和40年代から50年代にかけての高成長を支えてきた日本的経営とは、終身雇用を前提としていただけに、もともとは「能力主義」だったことがわかります。社員の成長を促進するような期待給賃金でもあったわけです。
●そして今、トヨタに代表されるように日本の企業は、大急ぎで「成果主義」に移行してきているわけで、その流れは中小零細企業にまで及んできています。
●成果主義型人事に必要なものは、期待される成果を定量化することです。それも部門ごと、個人ごとに行われる必要があります。そして四半期ごと、または半期ごとに評価し、評価結果をフィードバックして納得性と透明を高めるべきものでしょう。
●管理職であれば、人材の育成についても目標を数値化する必要があります。たとえば、「今期中に新しくマネージャーを1名養成する」などです。
●もちろん、経営者の仕事は目標設定とその割り当てだけで終わってはなりません。社員の成長を促し、目標達成を支援するのが経営陣の大切な仕事です。成果主義を導入したからといって、冒頭の経営者のようにふんぞり返って人材育成まで放棄するようでは、本末転倒なのです。
●いずれにせよ、会社の経営管理システムは、経営者の意向を充分にふまえたものでなければならないことは、言うまでもありません。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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