武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
人材に関するインフラ整備<その2>
●あなたは、これまでの人生経験のなかで「この人のためなら死ねる」という思いを持たれたことはあるでしょうか。人が理想や主義・主張に対して命を賭ける行為の裏には、きっと「人」の存在があるはずです。
●私は20才代の頃に、それに近い思いをもてる上司に出会うことができました。その会社の経営理念は「顧客第一主義」でしたが、お客様のために死ねるとは思っていませんでした。上司のために死ねる、と思っていたのでお客様に尽くしました。
●不純かも知れませんが、大なり小なりそうした属人的な面が、企業経営のなかにはあるように思います。いつの時代でも、「人間と人間の絆が一番強い」と思いたいものです。
●さて前号から、優秀な人材の獲得とその定着・育成をはかるための諸条件を6つのインフラに分けてご説明しています。この6つの合計値の高さが企業力を左右すると言っても良いでしょう。
1.採用インフラ・・・求人採用に関する基盤
2.組織インフラ・・・組織を運営するための規則・規定などの基盤
3.環境インフラ・・・仕事をしやすい職場環境基盤
4.人間インフラ・・・目標とすべき先輩・上司の存在という基盤
5.育成インフラ・・・人を育てるための基盤
6.ビジョンインフラ・・・人の情熱や意欲をかりたてるための基盤
前回は「採用インフラ」についてかなり詳しく説明しました。今回はその続です。
2.組織インフラ・・・組織を運営するための規則・規定
「今日の社長の機嫌はどう?」などと社員が社長の顔色を見ながら仕事をしているようでは困ったもの。社員も社長も一緒になって目標を目指して仕事をするチームワークが、会社には必要なのです。
●では、経営者が他人である従業員を雇用し、組織を維持管理していくためにはどのような諸規定が必要になるのでしょうか。
●大きい書店に行くと、『会社規定全集』のような類の本を売っています。社内で必要になりそうな書式や規定類が網羅されているので、そうしたものを参考に必要な「組織インフラ」としての規定・規則・書式などを一気にそろえてしまいましょう。
3.環境インフラ・・・仕事しやすい職場環境の整備
●製造業では「労働装備率」といって社員一人あたりの固定資産額を計算しています。この労働装備率の向上は、生産性の向上に直結することがわかっています。
●非製造業にあっても基本は同じはずです。たとえば、パソコンのハード、ソフト、営業車両や駐車場などなど、快適に仕事をするうえで理想となる状態を紙に書き出し、着々と労働装備率を高めていく配慮が、勤労意欲や生産性に直結しているのです。
●そうしたことは、当然既存社員のみならず、今後出会う未来の社員に対する訴求点にもなるはずです。
4.人間インフラ・・・目標人物やライバルが社内にいること
●目標となりうる上司・先輩がいることや、同期の仲間やライバルがいることなどが、社員に力を与えてくれます。
●定期的な社員アンケートなどで、「尊敬している社員は誰ですか」という項目を設けて調査している会社もあるほどです。この会社によると、最初のうち、アンケートの回答のほとんどを「社長」が占めていたそうです。ところが、数年後には「部長」や「課長」の名前が登場するようになりました。「人間インフラ」が徐々に充実していったのです。
●尊敬できる先輩や上司が社内にたくさんいることが強い会社の条件ですし、尊敬される彼らがさらに尊敬しているのが社長であれば、申し分ありませんね。
5.育成インフラ・・・人を育てるシステムがあるか
●新入社員を採用したら、労働生産性が極端に悪化する会社があります。つまり、新人が戦力になるのに時間がかかり、最初のうちはタダメシを食べているというわけです。
●新人が戦力になるのに要する期間は、業種によって異なります。また、同じ業種でも企業によって歴然とした差があるのも事実です。業務マニュアルの充実、先輩によるOJT、権限の委譲がどの程度なされているか、研修教育制度がどの程度整っているか、といった人材育成に関するインフラが、人の能力開発や定着問題をも左右しているのです。
6.ビジョンインフラ・・・社員は会社に夢を感じているか
●「ビジョンインフラ」とは、会社として夢があること、先輩上司が夢のある仕事ぶりをしている事などを指します。
●先日、遠方にある会社を訪問したときの出来事。途中で道に迷い、近くを歩いているビジネスマンに道を尋ねました。偶然にもその人は、その会社の社員でした。ともに歩きながら、「どんな会社ですか」と尋ねると、「夢のある会社です」という答えが返ってきました。会社に夢があり、それが社員と共有できている証拠です。
先週から引き続いて2回にわたったお届けした6つのインフラは、人の採用・定着・育成に直結するものです。一歩一歩確実に基盤整備していきたいものですね。
●私は20才代の頃に、それに近い思いをもてる上司に出会うことができました。その会社の経営理念は「顧客第一主義」でしたが、お客様のために死ねるとは思っていませんでした。上司のために死ねる、と思っていたのでお客様に尽くしました。
●不純かも知れませんが、大なり小なりそうした属人的な面が、企業経営のなかにはあるように思います。いつの時代でも、「人間と人間の絆が一番強い」と思いたいものです。
●さて前号から、優秀な人材の獲得とその定着・育成をはかるための諸条件を6つのインフラに分けてご説明しています。この6つの合計値の高さが企業力を左右すると言っても良いでしょう。
1.採用インフラ・・・求人採用に関する基盤
2.組織インフラ・・・組織を運営するための規則・規定などの基盤
3.環境インフラ・・・仕事をしやすい職場環境基盤
4.人間インフラ・・・目標とすべき先輩・上司の存在という基盤
5.育成インフラ・・・人を育てるための基盤
6.ビジョンインフラ・・・人の情熱や意欲をかりたてるための基盤
前回は「採用インフラ」についてかなり詳しく説明しました。今回はその続です。
2.組織インフラ・・・組織を運営するための規則・規定
「今日の社長の機嫌はどう?」などと社員が社長の顔色を見ながら仕事をしているようでは困ったもの。社員も社長も一緒になって目標を目指して仕事をするチームワークが、会社には必要なのです。
●では、経営者が他人である従業員を雇用し、組織を維持管理していくためにはどのような諸規定が必要になるのでしょうか。
●大きい書店に行くと、『会社規定全集』のような類の本を売っています。社内で必要になりそうな書式や規定類が網羅されているので、そうしたものを参考に必要な「組織インフラ」としての規定・規則・書式などを一気にそろえてしまいましょう。
3.環境インフラ・・・仕事しやすい職場環境の整備
●製造業では「労働装備率」といって社員一人あたりの固定資産額を計算しています。この労働装備率の向上は、生産性の向上に直結することがわかっています。
●非製造業にあっても基本は同じはずです。たとえば、パソコンのハード、ソフト、営業車両や駐車場などなど、快適に仕事をするうえで理想となる状態を紙に書き出し、着々と労働装備率を高めていく配慮が、勤労意欲や生産性に直結しているのです。
●そうしたことは、当然既存社員のみならず、今後出会う未来の社員に対する訴求点にもなるはずです。
4.人間インフラ・・・目標人物やライバルが社内にいること
●目標となりうる上司・先輩がいることや、同期の仲間やライバルがいることなどが、社員に力を与えてくれます。
●定期的な社員アンケートなどで、「尊敬している社員は誰ですか」という項目を設けて調査している会社もあるほどです。この会社によると、最初のうち、アンケートの回答のほとんどを「社長」が占めていたそうです。ところが、数年後には「部長」や「課長」の名前が登場するようになりました。「人間インフラ」が徐々に充実していったのです。
●尊敬できる先輩や上司が社内にたくさんいることが強い会社の条件ですし、尊敬される彼らがさらに尊敬しているのが社長であれば、申し分ありませんね。
5.育成インフラ・・・人を育てるシステムがあるか
●新入社員を採用したら、労働生産性が極端に悪化する会社があります。つまり、新人が戦力になるのに時間がかかり、最初のうちはタダメシを食べているというわけです。
●新人が戦力になるのに要する期間は、業種によって異なります。また、同じ業種でも企業によって歴然とした差があるのも事実です。業務マニュアルの充実、先輩によるOJT、権限の委譲がどの程度なされているか、研修教育制度がどの程度整っているか、といった人材育成に関するインフラが、人の能力開発や定着問題をも左右しているのです。
6.ビジョンインフラ・・・社員は会社に夢を感じているか
●「ビジョンインフラ」とは、会社として夢があること、先輩上司が夢のある仕事ぶりをしている事などを指します。
●先日、遠方にある会社を訪問したときの出来事。途中で道に迷い、近くを歩いているビジネスマンに道を尋ねました。偶然にもその人は、その会社の社員でした。ともに歩きながら、「どんな会社ですか」と尋ねると、「夢のある会社です」という答えが返ってきました。会社に夢があり、それが社員と共有できている証拠です。
先週から引き続いて2回にわたったお届けした6つのインフラは、人の採用・定着・育成に直結するものです。一歩一歩確実に基盤整備していきたいものですね。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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