武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
日報を社員教育ツールに
●「武沢さん、うちはホウレンソウ(報告・連絡・相談)がまったく出来てないんです。とくに日報は、何回言っても出してこない。あきれちゃうんですわ。他社さんはどうやってるんですか?」
とぼやく建設会社のA社長。たしかに、日報の不徹底に悩ましい思いをしている経営者は多いようですが、あえて私はA社長に「なぜ、日報が必要なのですか?」と聞いてみました。
●すると、次のような回答が返ってきました。
「日報とは働いたことを証明をするものであり、従業員の義務でしょ。経営者は日報を見て、仕事の流れを把握するものであり、これがなければ誰が何をやっているかわからない」
たしかにその通りですが、残念ながら「50点」の回答と言わざるをえません。
●日報の活用法やスタイルなどは各社各様ですが、うまくいっていない会社では、日報の目的をはき違えているか、運用の仕方に問題がある場合が多いようです。そこでもう一度、日報の目的を確認してみましょう。
●日報の効用をまとめると、次のようになります。
1.上司に対してその日にあった出来事を報告・連絡・相談するためにある
2.上司に対してその日の実績を報告するためにある
3.上司から本人に対してタイムリーな指導や教育をするための情報源である
4.上司が各部署や全社の状況を把握し、今後の対策や方針を決めるための情報源である
●ここまでのことなら、読者のみなさんはすでに理解しているかも知れません。そこで、事例を交えつつ、日報の戦略的な活用法をもう少し突っ込んで研究してみましょう。
●ある生命保険代理店に腕利きのマネジャーがいると聞きました。普通の成績の営業マンがこのマネジャーの部下になったとたん、半年もしないうちに営業実績が上がりだすそうです。このマネジャーの部下指導法のどこかに学ぶべきポイントがあるのではないかと思い、彼のもとに出向きました。
●あいにくマネージャー氏は不在でしたが、部下の営業マンから興味深い話が聞けました。
「うちのマネージャーはものすごい質問魔なんです。マネージャーが同行してくれて営業に出向くと、恒例行事がある。お客さんとの商談終了後には必ず5分以内にファミレスか喫茶店に入るのです。そして、根ほり葉ほり質問攻めされるのですよ。この前なんかは、お客さんと会っている時間より長くなっちゃいました」
●どんな質問をされるのかを尋ねると、次のような問いかけが続くのだそうです。
・「さっき面談したお客様のニーズは何か?」
・「商談の中でお客様が決算資料を見せてくれたけど、あれはどういう意味だと思うか?」
・「最初の数分間、お客様は不機嫌そうだった。そんな時、君一人だったらどんなことに注意するか?」
・「お客様は商談中に一度も時計を見なかったと思うが、君は何か気づいたか?」
・「この商談を成功に導く最大のポイントは何か?」
・「この商談が失敗に終わるとしたら、それはどんな時か?」
●恐るべし、マネジャー氏。これぞまさしく「追体験」なのです。わずかな商談時間の中にも無数の学習ヒントがあります。それは商談直後の生々しさがあるうちに反芻、確認されるべきなのです。
●商談の成功失敗に一喜一憂するのではなく、部下の経験を確実な学習機会にしようとするこのマネジャーの姿勢に、学ぶべき点は多いのです。
●さて、今日の主題は日報なのですが、もうおわかりでしょう。マネジャーの追体験教育そのものが日報の目的なのです。一日の仕事の中から何を感じ、何を学び、何をなすべきかを振り返る作業こそが、日報を書くという行為です。
●先ほど、私は日報の目的として次の四つをあげました。
1.上司に対してその日にあった出来事を報告・連絡・相談するためにある
2.上司に対してその日の実績を報告するためにある
3.上司から本人に対してタイムリーな指導や教育をするための情報源である
4.上司が各部署や全社の状況を把握し、今後の対策や方針を決めるための情報源である
●そして今、ここにつけ加えるべき日報の目的には、
5.一日の仕事を振り返り、明日の成果と成長につなげる学習機会とするため本人と上司がコミュニケートするためにある
という項目を加えるべきでしょう。
とぼやく建設会社のA社長。たしかに、日報の不徹底に悩ましい思いをしている経営者は多いようですが、あえて私はA社長に「なぜ、日報が必要なのですか?」と聞いてみました。
●すると、次のような回答が返ってきました。
「日報とは働いたことを証明をするものであり、従業員の義務でしょ。経営者は日報を見て、仕事の流れを把握するものであり、これがなければ誰が何をやっているかわからない」
たしかにその通りですが、残念ながら「50点」の回答と言わざるをえません。
●日報の活用法やスタイルなどは各社各様ですが、うまくいっていない会社では、日報の目的をはき違えているか、運用の仕方に問題がある場合が多いようです。そこでもう一度、日報の目的を確認してみましょう。
●日報の効用をまとめると、次のようになります。
1.上司に対してその日にあった出来事を報告・連絡・相談するためにある
2.上司に対してその日の実績を報告するためにある
3.上司から本人に対してタイムリーな指導や教育をするための情報源である
4.上司が各部署や全社の状況を把握し、今後の対策や方針を決めるための情報源である
●ここまでのことなら、読者のみなさんはすでに理解しているかも知れません。そこで、事例を交えつつ、日報の戦略的な活用法をもう少し突っ込んで研究してみましょう。
●ある生命保険代理店に腕利きのマネジャーがいると聞きました。普通の成績の営業マンがこのマネジャーの部下になったとたん、半年もしないうちに営業実績が上がりだすそうです。このマネジャーの部下指導法のどこかに学ぶべきポイントがあるのではないかと思い、彼のもとに出向きました。
●あいにくマネージャー氏は不在でしたが、部下の営業マンから興味深い話が聞けました。
「うちのマネージャーはものすごい質問魔なんです。マネージャーが同行してくれて営業に出向くと、恒例行事がある。お客さんとの商談終了後には必ず5分以内にファミレスか喫茶店に入るのです。そして、根ほり葉ほり質問攻めされるのですよ。この前なんかは、お客さんと会っている時間より長くなっちゃいました」
●どんな質問をされるのかを尋ねると、次のような問いかけが続くのだそうです。
・「さっき面談したお客様のニーズは何か?」
・「商談の中でお客様が決算資料を見せてくれたけど、あれはどういう意味だと思うか?」
・「最初の数分間、お客様は不機嫌そうだった。そんな時、君一人だったらどんなことに注意するか?」
・「お客様は商談中に一度も時計を見なかったと思うが、君は何か気づいたか?」
・「この商談を成功に導く最大のポイントは何か?」
・「この商談が失敗に終わるとしたら、それはどんな時か?」
●恐るべし、マネジャー氏。これぞまさしく「追体験」なのです。わずかな商談時間の中にも無数の学習ヒントがあります。それは商談直後の生々しさがあるうちに反芻、確認されるべきなのです。
●商談の成功失敗に一喜一憂するのではなく、部下の経験を確実な学習機会にしようとするこのマネジャーの姿勢に、学ぶべき点は多いのです。
●さて、今日の主題は日報なのですが、もうおわかりでしょう。マネジャーの追体験教育そのものが日報の目的なのです。一日の仕事の中から何を感じ、何を学び、何をなすべきかを振り返る作業こそが、日報を書くという行為です。
●先ほど、私は日報の目的として次の四つをあげました。
1.上司に対してその日にあった出来事を報告・連絡・相談するためにある
2.上司に対してその日の実績を報告するためにある
3.上司から本人に対してタイムリーな指導や教育をするための情報源である
4.上司が各部署や全社の状況を把握し、今後の対策や方針を決めるための情報源である
●そして今、ここにつけ加えるべき日報の目的には、
5.一日の仕事を振り返り、明日の成果と成長につなげる学習機会とするため本人と上司がコミュニケートするためにある
という項目を加えるべきでしょう。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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