武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
顧客満足は誰のため
●夏本番、もうすぐ高校野球も夏の甲子園大会が始まります。今年はどこが優勝するのでしょうか。今年の春の大会で準優勝したのは、希望枠で出場した初出場の「大垣日大高校」でした。私の出身地である岐阜県の大垣市から、甲子園出場校が出ることはまれなのですが、それが優勝候補の強豪を次々に撃破して準優勝を飾るというのは、奇跡のようでもありました。
●大垣日大高校の監督は、愛知・東邦高校時代に名将として知られた阪口慶三氏(62)です。東邦を定年退官されるのを機に、大垣日大高校が招聘しました。阪口監督が就任してから二年目の春で甲子園に出場した大垣日大高校は、「とにかく楽しめ、笑え」を合い言葉に笑顔のハツラツ野球でも甲子園を湧かせました。
●大垣市民にとっても、オラが町の高校が準優勝するというのは、「椿事」(ちんじ)です。しかしその椿事は、阪口監督を招いた同校の校長以下が、足並みを揃えて「本気で甲子園に行きたい」と思ったところからスタートしているのです。
●ひとりの名監督を招聘するということは、監督の人件費だけがコストになるのではありません。名監督であればあるほど、校長の本気さと協力体制を見極めるため、学校側に練習環境の整備から選手獲得まで、多岐にわたる要求を突きつけます。
●そうした障壁を乗り越えつつ、学校側も監督も本気の姿勢を見せることで、球児たちにもその気持ちが伝わります。なにせ、「甲子園」の経験がない学校ですから、本気で自分たちが甲子園に行けるとは思っていない生徒が多いはずです。そのような状況の中、監督に就任してから、わずか二年で準優勝という快挙には、驚かざるを得ません。組織はリーダー次第なのだと改めて痛感しました。
●そんなある日、友人が次のような話を聞きました。
●高級ホテルとして世界的にも有名な某ホテルが、東京進出を果たしました。ホテル好きの彼は、さっそくそのホテルに宿泊したのですが、ドアマンやフロントマン、レストランやベルボーイなど、すべての対応が良くできており、その極上のサービスに感動したそうです。その半年後、今度は家族も連れてそのホテルに宿泊したところ、その時のサービスは、前回のような「特上」ではなく、「やや上」程度のサービスに低下しており、彼はがっかりしたというのです。
●なぜだろう、と調べてみたら、この半年間でホテルのマネジャーが変わっていました。通常ホテルが外国進出を果たすときは、そのホテルグループのトップクラスのマネジャーを送り込むそうです。なのでその時期に訪れたゲストの大半は、特上のサービスを堪能することができます。しかし問題は、腕利きマネジャーが帰り、次のマネジャーに交代してからです。そのホテルでは、本来落ちてはならないはずの接客のクォリティが、落ちてしまったのです。
●もちろん、ホテルで働くスタッフは変わっていません。マニュアルも同じはずです。マネジャーの存在を除いては何一つ変わっていない。しかし明らかに接客レベルは低下し、同時に顧客満足度まで低下してしまいました。
●ここにリーダーの威力があります。残念ながら従業員の仕事ぶりというものは、上司が期待している水準以上には、なかなか上がらないのです。まして、部下から見て尊敬できない上司、嫌いな上司であれば、許容水準ギリギリの仕事しかしなくなるでしょう。
●以前のマネジャーのように、誰からも尊敬されるような上司であれば、その上司を喜ばせたい一心で最高のサービスを部下もするはずです。つまり、顧客満足の向上の背景には、上司を喜ばせたい、上司に認められたいという欲求が潜んでいることを見逃してはならないのです。
●私は、阪口監督の一件とホテルの一件から、次の結論を得ました。
・上司は、「甲子園へ行くぞ!」と選手を燃え上がらせた監督のように、部下の能力よりも高い水準の仕事を要求すること
・「監督を喜ばせたい、監督に認められたい」という選手のメンタリティを見習って、部下と濃密な信頼関係を築くこと
この二つが、上司に求められる大事な資質なのです。
●大垣日大高校の監督は、愛知・東邦高校時代に名将として知られた阪口慶三氏(62)です。東邦を定年退官されるのを機に、大垣日大高校が招聘しました。阪口監督が就任してから二年目の春で甲子園に出場した大垣日大高校は、「とにかく楽しめ、笑え」を合い言葉に笑顔のハツラツ野球でも甲子園を湧かせました。
●大垣市民にとっても、オラが町の高校が準優勝するというのは、「椿事」(ちんじ)です。しかしその椿事は、阪口監督を招いた同校の校長以下が、足並みを揃えて「本気で甲子園に行きたい」と思ったところからスタートしているのです。
●ひとりの名監督を招聘するということは、監督の人件費だけがコストになるのではありません。名監督であればあるほど、校長の本気さと協力体制を見極めるため、学校側に練習環境の整備から選手獲得まで、多岐にわたる要求を突きつけます。
●そうした障壁を乗り越えつつ、学校側も監督も本気の姿勢を見せることで、球児たちにもその気持ちが伝わります。なにせ、「甲子園」の経験がない学校ですから、本気で自分たちが甲子園に行けるとは思っていない生徒が多いはずです。そのような状況の中、監督に就任してから、わずか二年で準優勝という快挙には、驚かざるを得ません。組織はリーダー次第なのだと改めて痛感しました。
●そんなある日、友人が次のような話を聞きました。
●高級ホテルとして世界的にも有名な某ホテルが、東京進出を果たしました。ホテル好きの彼は、さっそくそのホテルに宿泊したのですが、ドアマンやフロントマン、レストランやベルボーイなど、すべての対応が良くできており、その極上のサービスに感動したそうです。その半年後、今度は家族も連れてそのホテルに宿泊したところ、その時のサービスは、前回のような「特上」ではなく、「やや上」程度のサービスに低下しており、彼はがっかりしたというのです。
●なぜだろう、と調べてみたら、この半年間でホテルのマネジャーが変わっていました。通常ホテルが外国進出を果たすときは、そのホテルグループのトップクラスのマネジャーを送り込むそうです。なのでその時期に訪れたゲストの大半は、特上のサービスを堪能することができます。しかし問題は、腕利きマネジャーが帰り、次のマネジャーに交代してからです。そのホテルでは、本来落ちてはならないはずの接客のクォリティが、落ちてしまったのです。
●もちろん、ホテルで働くスタッフは変わっていません。マニュアルも同じはずです。マネジャーの存在を除いては何一つ変わっていない。しかし明らかに接客レベルは低下し、同時に顧客満足度まで低下してしまいました。
●ここにリーダーの威力があります。残念ながら従業員の仕事ぶりというものは、上司が期待している水準以上には、なかなか上がらないのです。まして、部下から見て尊敬できない上司、嫌いな上司であれば、許容水準ギリギリの仕事しかしなくなるでしょう。
●以前のマネジャーのように、誰からも尊敬されるような上司であれば、その上司を喜ばせたい一心で最高のサービスを部下もするはずです。つまり、顧客満足の向上の背景には、上司を喜ばせたい、上司に認められたいという欲求が潜んでいることを見逃してはならないのです。
●私は、阪口監督の一件とホテルの一件から、次の結論を得ました。
・上司は、「甲子園へ行くぞ!」と選手を燃え上がらせた監督のように、部下の能力よりも高い水準の仕事を要求すること
・「監督を喜ばせたい、監督に認められたい」という選手のメンタリティを見習って、部下と濃密な信頼関係を築くこと
この二つが、上司に求められる大事な資質なのです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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