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無能集団を作る社長

投稿日時:2007/08/03(金) 13:46rss

●経営コンサルタントの仕事を始めたころ、「社長は、どうして自分の部下の悪口を言うのだろう?」と思ったものです。

●世間には、社員をあからさまに批判する社長がけっこう多いことに驚きました。逆に、決して部下や他人の批判をしない社長もいます。要するにそれらは、クセの問題でもあるのでしょう。もし、悪口や批判を言いたいのなら、本人に直接言うように心がけるべきです。

●しかし、それで解決できるほど、単純な問題ではありません。部下を批判する・しないというのは、単なるクセでは片付けられない、そうさせるような問題が別にあるのです。部下の悪口を言う社長は、悪口を言いたくなるような仕事のさせ方をしており、悪口を言わない社長は、悪口を言わずに済むような仕事のさせ方をしているものです。

●有名な「ピーターの法則」というものがあります。この法則の意味は、「階層社会にあっては、その構成員はそれぞれ無能のレベルに達する傾向がある」という、とてもコワイものです。もしかしたら、部下の能力を殺しているのは社長本人かも知れない、と考えてみることも必要なのです。
●ある社員が、日ごろの働き振りを認められて、課長に昇格しました。昇格してからも、さらに期待に応えてくれたる働きぶりでしたので、今度は部長にしてみました。しかし、部長としては「並」程度の仕事ぶりとなってしまい、取締役として経営陣に加えてからは、ほとんど「無能」に近い存在になってしまいました。

●こんなケースは決して少なくありません。行くところまで行きつき、その結果アップアップになっている人が管理職の大半を占めているのです。

●このように、人は成功し、出世するにつれて無能レベルに近づいていきます。また、このピーターの法則には、次のような「系」と呼ばれるものがあります。

◇系1・・・階層社会のすべてのポストは、時が経つに従って、その責任をまっとうできない従業員により、占められるようになる傾向がある。
◇系2・・・会社の仕事は、まだ無能のレベルに達していない従業員の手で遂行される。

とあります。

●一つの職場に何年も何十年も置いておく、ただそれだけで人は無能になります。そこからさらに、職位を上げていくわけですから、無能な人はアップアップになって当然なのです。

●部下の批判をする社長の会社では、このピーターの法則がはっきりと働いています。逆に、部下の批判をしない社長の会社では、ピーターの法則が働いていない場合が多いのです。

●社長としては、この法則が働かないように、未然に防止しなければなりません。そのために、例えば、人材の育成や流動化・活性化策が必要になります。

・体系的な社員教育の実施
・ジョブローテーション(定期的な配置転換)
・上司や部下、客先などの組み合わせ変更

●とにかく、日常をパターン化させない方法を考えることと、教育投資をし続けることが大切なのです。官庁のエリートは1~2年で異動すると聞きますが、それは理にかなっているといえるでしょう。

●このピーターの法則は、会社に限らずとも、なんらかの組織構成員であれば、誰にも当てはまります。そう、社長だって無為に過ごせば、この法則の例外ではなくなってしまうのです。他人の批判をする前に、まず自らをふりかえってみることが大切です。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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