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志と野心

投稿日時:2007/11/16(金) 11:57rss

●このところ国会では、防衛省幹部の癒着問題で揺れていますが、癒着とはもともと、「分離しているべき組織面が線維性の組織で連結・融合すること」という意味の医学用語です。

●社長はそれを他山の石としなければなりません。「うちの会社はは癒着とは無関係」と思っていても、実際は公私のけじめがつかず、個人的な飲食でも会社の経費にまわしたりしているとしたら、それはすでに「一人癒着」なのです。

正義とか倫理という面において、社長は誰よりも厳しくなければなりません。夢や志をもつことはたしかに素晴らしいことですが、それと個人の欲を混同してはならないのです

●社長は、人々を鼓舞するような素晴らしい夢を作りましょう。「夢」といえば、私はかの有名な、キング牧師の演説をいつも思い出します。

・・・
「私には夢がある。
いつの日か、ジョージアの赤土の丘の上で、かつての奴隷の息子たちと、かつての奴隷所有者の息子たちとが、ともに兄弟としてテーブルにつくことを・・・。
私には夢がある。
私の幼い四人の子供たちが、いつの日か、彼らの肌の色によってではなく、人格の中身によって判断される国に住むようになることを・・・。
私には夢がある。
いつの日か、アラバマ州で黒人の少年少女が白人の少年少女と手をとりあい、兄弟姉妹のようにともに歩むようになることを。
われわれは、黒人も白人も、ユダヤ教徒も異教徒も、プロテスタントもカトリックも、すべての神の子が手に手をとり、古い黒人霊歌の一節にあるように、『自由だ、ついに自由だ、全能の神よ、感謝します。ついに我々は自由になったのだ』と歌える日の来るのを早めることができるだろう」
・・・
●黒人差別撤廃を訴えるキング牧師の夢が黒人全体の夢になりました。そして国を、ひいては世界を動かしたのです。彼が語った夢には共感できる物語があり、わかりやすい日常生活の一コマがありました。何より、彼の個人的な欲などまったく感じられませんでした。

●「志」と「野心」は、どちらも大きな夢や目標に向かって一生懸命に努力する点では似ていますが、実は似て非なるものです。田坂広志氏は『これから働き方はどう変わるのか』(ダイヤモンド社)の中で、次のように語っておられます。

「野心」とは、おのれ一代で、何かを成し遂げようとする願望(自我の満足を満たすもの)。
「志」とは、おのれ一代では成し遂げ得ぬほどの素晴らしい何かを、次の世代に託する祈り(自我ではなく、大我)。

●さらに田坂氏は『経営者が語るべき「言霊」とは何か』(東洋経済新報社刊)の中でこうも述べておられます。

・・・経営者の「志」が伝わらない理由は、その経営トップが本当の「志」を語っているのか、実は「野心」を語っているのか、その違いです。己一代で何かを成し遂げようとする願望、それが「野心」です。「志」とは、己一代では成し遂げ得ぬことを次の世代に託する祈りです。我々は、次の世代に「志」を伝えることです。・・・

あなたが語る「夢」は「志」なのか「野心」なのか、よくよく吟味しなければなりません

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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