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名ドライバーの思い出

投稿日時:2007/12/21(金) 18:40rss

●客観的な事実として、日本全国どこのタクシードライバーも乗客の獲得に苦労しているようです。先日も、「忘年会ラッシュですね、景気のほうはどうですか?」とドライバーに聞くと、「全然だめですよ。だってね…」とグチをこぼされました。

●しかし、そのような状況下でも同僚たちより何倍も稼いでいるドライバーがいるのも事実です。それは才覚の違いといってしまえばそれまでですが、才覚の前に、私は心構えが違うように思うのです

●私も旅先で観光タクシーをチャーターし、名所旧跡を巡ることがありますが、2時間ほども観光すれば、タクシードライバーの腕前のよし悪しがわかります。

●青森市に行ったときも、お昼どきにタクシーを止めて市内観光の相談をしたところ、「今から三時間観光ですか? う~ん、この町にそんな観光名所などありませんよ」といわれてしまい、結局1,000円ほどで「ねぶた記念館」へいくだけになりました。

●その帰りのことです。別のタクシードライバーに同じ質問をしたところ、下記のようなまったく違う答えが返ってきました。
●「お客さん、青森は見所ばっかりで大変ですよ。3時間じゃ足りない足りない。でも近場にも見所が多いから効率よく回りましょう」と言われ、結局、彼に6時間近く案内してもらうことになりました。

●その人はMさんという50近くの男性でした。おそらく、最初のドライバーは自分のテリトリーである青森市内を回ることしか頭になかったのに対し、Mさんは青森県全域を思い起こしたのでしょう。十和田湖、八甲田、酸ヶ湯温泉、青荷温泉、棟方志功博物館などを効率よく案内してくれ、すっかり青森とMさんのファンになってしまいました。

腕のいいドライバーとは、運転技術の差だけで決まるのではなく、道路事情や観光名所に詳しい名ガイドであり、名コミュニケーターでもあるのです

●この年、私は再び彼に会いたくなって、夏のねぶた祭りを見に行きました。すると彼は、私のためにねぶた見物用のさじき席を確保してくれたのです。感動した私は、彼のことをメルマガやブログで何度も書いたところ、全国の観光客から指名電話が入るほどの人気になり、半月先の乗客まで決まっていることもあったそうです。

●最初のドライバーとMさんでは、売上に倍以上の開きがあるのではないかと、私は思います。そして、ビジネスの才覚とは「まず、お客様を喜ばせたい」という心構えから生まれてくるようにも思うのです

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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