武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
退職ダメージを減らす
●先日、行きつけの理髪店に行ったところ、私の担当だったT君が退職していました。「独立して、同じ名古屋市内で開業している」とのことでしたが、さすがにお店の場所を聞くのは気が引けたので遠慮しました。
●それから間もなくのことです。T君から届いたハガキには「念願かなって理美容店をオープンしました。是非、お越し下さい」とありました。翌月、出向いてみるとビックリ。待合室では来店客でごった返していました。「一時間以上待ち」でしたので、その日はやむなく引き返すことに。後で聞いたところ、「オープン以来ほぼ毎日フル稼働」だというのですから凄いではありませんか。
●結局、その日は元の理髪店に行ったのですが、対照的に来店客は少なく、暇そうですらありました。カットしてもらいながら、私は次のようなことを考えていたのです。
●「T君がもしどこかの営業マンだったら、ごっそり顧客を取られた格好なのだろう。一人の人間としてはおめでたい独立開業も、元いた企業にとっては痛手にほかならない。時と場合によっては、ケンカ別れになることもある。企業としてはT君の独立を止めることはできないが、顧客をごっそり取られるというダメージを減らすことはできないのだろうか」
●いわゆる社員の「退職ダメージ」というものです。このような場合、あなたの会社ではどんな対応をとるでしょうか。
●一般的に、行きつけの居酒屋やファミレスで働く店員さんが退職しても、顧客がその後を追うことはありません。外食産業だけではなく、書店の店長が独立したという場合であっても、同じことでしょう。飲食店や書店は立地やサービスが第一の利用目的であって、そこで働く人というのは第二義的なものだからです。ですが、「人は二義的」と断定できる業種のほうが、むしろ少ないのではないでしょうか。
●社員個人と顧客との関係が太くなればなるほど、仕事は円滑になっていくものですが、一方では「退職ダメージ」も高まります。これは相当悩ましい問題のはずです。社長はそのような時に備えた覚悟をしておかなければなりません。
●もし「顧客の持ち逃げは絶対に許さない」とするならば次のような手があるでしょう。
・同業他社への転職禁止
・独立開業に際しては、顧客の持ち逃げや営業行為を一定期間禁止する
といった誓約書を書かせる方法です。法的拘束力が強いとは言えませんが、社員に対する牽制としては、十分に効果があります。
●逆に、「顧客の持ち逃げは構わない」とするならば、こんな手があります。
・同業他社への転職でも許可する
・独立開業の際は、顧客の持ち逃げも営業行為も許可する。そのうえで正々堂々と勝負し、
顧客自身の選択を尊重する。
・それどころか、社員の独立を促進し、初年度から利益が出るように応援する
このような懐の深さをもつことも、経営者として立派な態度といっていいでしょう。
●どちらの方法をとるにしても、退職ダメージとどう取り組むか、その時になって慌てることがないように、しっかりとした考え方を持っておくべきです。
●それから間もなくのことです。T君から届いたハガキには「念願かなって理美容店をオープンしました。是非、お越し下さい」とありました。翌月、出向いてみるとビックリ。待合室では来店客でごった返していました。「一時間以上待ち」でしたので、その日はやむなく引き返すことに。後で聞いたところ、「オープン以来ほぼ毎日フル稼働」だというのですから凄いではありませんか。
●結局、その日は元の理髪店に行ったのですが、対照的に来店客は少なく、暇そうですらありました。カットしてもらいながら、私は次のようなことを考えていたのです。
●「T君がもしどこかの営業マンだったら、ごっそり顧客を取られた格好なのだろう。一人の人間としてはおめでたい独立開業も、元いた企業にとっては痛手にほかならない。時と場合によっては、ケンカ別れになることもある。企業としてはT君の独立を止めることはできないが、顧客をごっそり取られるというダメージを減らすことはできないのだろうか」
●いわゆる社員の「退職ダメージ」というものです。このような場合、あなたの会社ではどんな対応をとるでしょうか。
●一般的に、行きつけの居酒屋やファミレスで働く店員さんが退職しても、顧客がその後を追うことはありません。外食産業だけではなく、書店の店長が独立したという場合であっても、同じことでしょう。飲食店や書店は立地やサービスが第一の利用目的であって、そこで働く人というのは第二義的なものだからです。ですが、「人は二義的」と断定できる業種のほうが、むしろ少ないのではないでしょうか。
●社員個人と顧客との関係が太くなればなるほど、仕事は円滑になっていくものですが、一方では「退職ダメージ」も高まります。これは相当悩ましい問題のはずです。社長はそのような時に備えた覚悟をしておかなければなりません。
●もし「顧客の持ち逃げは絶対に許さない」とするならば次のような手があるでしょう。
・同業他社への転職禁止
・独立開業に際しては、顧客の持ち逃げや営業行為を一定期間禁止する
といった誓約書を書かせる方法です。法的拘束力が強いとは言えませんが、社員に対する牽制としては、十分に効果があります。
●逆に、「顧客の持ち逃げは構わない」とするならば、こんな手があります。
・同業他社への転職でも許可する
・独立開業の際は、顧客の持ち逃げも営業行為も許可する。そのうえで正々堂々と勝負し、
顧客自身の選択を尊重する。
・それどころか、社員の独立を促進し、初年度から利益が出るように応援する
このような懐の深さをもつことも、経営者として立派な態度といっていいでしょう。
●どちらの方法をとるにしても、退職ダメージとどう取り組むか、その時になって慌てることがないように、しっかりとした考え方を持っておくべきです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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