武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
不満なし≠満足
●一般に「事業とは顧客創造活動である」とよく言われていますが、あなたの会社ではどうでしょうか。「顧客創造は問題なくできている」と断言できる自信がありますか?
●顧客というものは、何もしないでいると自動的に減っていくものです。とくに流行商品を取り扱う事業を行なっている場合、全顧客のうち半分くらいは毎年入れ替わっていくと言われています。
●明日の顧客創造(または顧客喪失)を決めている要素は一体何なのでしょうか。答えは「今日提供した製品やサービスが、顧客を満足させているかどうか」です。顧客に不満を与えるのは論外ですが、かといって満足も不満も与えていないのもいかがなものでしょうか。
●ある意味、無言の顧客ほど怖い存在はありません。いつ黙って他社に乗り換えられるかわからない危険性を孕んでいるからです。
●何年か前のことですが、私自身がお客として次のような(冷たい)ことをしました。告白も兼ねて紹介します。
●オフィスコーヒーの供給事業を行なっているB社の営業マンが、飛び込み営業の形でやってきました。コーヒー好きの私は、やはり同じ事業を運営しているA社と一年半前から契約してたため、「間に合ってます」と一度断ったのですが、B社の営業マンは食いさがってきました。
●そして、彼は私にB社のコーヒーがいかに優れているかを熱っぽく語ったのです。その時、セールスポイントとして
・B社のコーヒー豆は品質が高く、一流カフェ並の風味があること
・取り扱っている豆の種類が多く、コーヒー以外の飲料のラインナップも豊富であること
・営業所も近く、電話一本で担当者がすぐに駆けつけられること
などを強調し、「一度でいいから、当社のコーヒーを試してほしい」と言われました。
●彼からすると、「そもそもオフィスコーヒーとは何か」を説明する必要がなかったので話が早かったのでしょう。私はその三日後にB社のコーヒーを試飲し、確かにうまいと認めました。加えて、値段も若干安くなることから断る理由がなくなり、その場でB社と契約したのです。
●この瞬間、これまで取引してきたA社は一件の顧客を失ったことになります。私としても「すこし気の毒なことをしたなぁ」という後ろめたさがあるにはあったのですが、あっさり契約を打ち切られてしまうような、希薄な関係しか作ってこなかったA社に不備があると考えることもできます。
●私はもともとA社に不満があったわけではありませんが、満足しているわけでもなかったので簡単に浮気してしまったのです。
●オフィスコーヒーのサービスは、営業と配達それぞれ別の担当が行います。それはA社もB社も同じでしょうが、A社は契約後のフォローに甘さがありました。
●配達スタッフが毎月1~2回やってきてコーヒー豆を補充し、機械をメンテナンスしていきますが、ほとんど私と会話をしたことがありません。新製品のパンフレットも事務的に置いていく程度で、私から感想や要望を聞きだす姿勢もありませんでした。加えてA社の営業マンも、一度釣りあげた魚にエサをやる必要はないと思っているのか、契約後に顔をみせたことは一度もありませんでした。
●一度契約を結んだ顧客は、これからもずっと顧客でいてくれるかどうかわかりません。だからずっと顧客でいてもらうためには、「あなたは当社の大切なお客様です」ということを自覚してもらう必要があるのです。
●訪問、郵便、メールやFAX、手段は何でもかまいません。あらゆる方法で顧客とコンタクトをとり続けましょう。そして、見込客であるかのように扱い、上得意先であるかのように接するのです。そうすれば、いつもあなたの会社の顧客であることを自覚してくれるようになります。
●件のA社には、そうした体制がありませんでした。これは担当者の力不足という問題ではなく、営業責任者と経営陣の問題です。言い換えれば、A社のシステムと教育体制の不備が原因でしょう。
●ちなみにB社は、翌月すぐに「もうすぐ夏ですから、アイスコーヒーメーカーも無料で設置します」と提案してくれました。たったそれだけのことですが、「セールスの継続」を意識しているかどうかが、顧客創造につながるのです。
●顧客というものは、何もしないでいると自動的に減っていくものです。とくに流行商品を取り扱う事業を行なっている場合、全顧客のうち半分くらいは毎年入れ替わっていくと言われています。
●明日の顧客創造(または顧客喪失)を決めている要素は一体何なのでしょうか。答えは「今日提供した製品やサービスが、顧客を満足させているかどうか」です。顧客に不満を与えるのは論外ですが、かといって満足も不満も与えていないのもいかがなものでしょうか。
●ある意味、無言の顧客ほど怖い存在はありません。いつ黙って他社に乗り換えられるかわからない危険性を孕んでいるからです。
●何年か前のことですが、私自身がお客として次のような(冷たい)ことをしました。告白も兼ねて紹介します。
●オフィスコーヒーの供給事業を行なっているB社の営業マンが、飛び込み営業の形でやってきました。コーヒー好きの私は、やはり同じ事業を運営しているA社と一年半前から契約してたため、「間に合ってます」と一度断ったのですが、B社の営業マンは食いさがってきました。
●そして、彼は私にB社のコーヒーがいかに優れているかを熱っぽく語ったのです。その時、セールスポイントとして
・B社のコーヒー豆は品質が高く、一流カフェ並の風味があること
・取り扱っている豆の種類が多く、コーヒー以外の飲料のラインナップも豊富であること
・営業所も近く、電話一本で担当者がすぐに駆けつけられること
などを強調し、「一度でいいから、当社のコーヒーを試してほしい」と言われました。
●彼からすると、「そもそもオフィスコーヒーとは何か」を説明する必要がなかったので話が早かったのでしょう。私はその三日後にB社のコーヒーを試飲し、確かにうまいと認めました。加えて、値段も若干安くなることから断る理由がなくなり、その場でB社と契約したのです。
●この瞬間、これまで取引してきたA社は一件の顧客を失ったことになります。私としても「すこし気の毒なことをしたなぁ」という後ろめたさがあるにはあったのですが、あっさり契約を打ち切られてしまうような、希薄な関係しか作ってこなかったA社に不備があると考えることもできます。
●私はもともとA社に不満があったわけではありませんが、満足しているわけでもなかったので簡単に浮気してしまったのです。
●オフィスコーヒーのサービスは、営業と配達それぞれ別の担当が行います。それはA社もB社も同じでしょうが、A社は契約後のフォローに甘さがありました。
●配達スタッフが毎月1~2回やってきてコーヒー豆を補充し、機械をメンテナンスしていきますが、ほとんど私と会話をしたことがありません。新製品のパンフレットも事務的に置いていく程度で、私から感想や要望を聞きだす姿勢もありませんでした。加えてA社の営業マンも、一度釣りあげた魚にエサをやる必要はないと思っているのか、契約後に顔をみせたことは一度もありませんでした。
●一度契約を結んだ顧客は、これからもずっと顧客でいてくれるかどうかわかりません。だからずっと顧客でいてもらうためには、「あなたは当社の大切なお客様です」ということを自覚してもらう必要があるのです。
●訪問、郵便、メールやFAX、手段は何でもかまいません。あらゆる方法で顧客とコンタクトをとり続けましょう。そして、見込客であるかのように扱い、上得意先であるかのように接するのです。そうすれば、いつもあなたの会社の顧客であることを自覚してくれるようになります。
●件のA社には、そうした体制がありませんでした。これは担当者の力不足という問題ではなく、営業責任者と経営陣の問題です。言い換えれば、A社のシステムと教育体制の不備が原因でしょう。
●ちなみにB社は、翌月すぐに「もうすぐ夏ですから、アイスコーヒーメーカーも無料で設置します」と提案してくれました。たったそれだけのことですが、「セールスの継続」を意識しているかどうかが、顧客創造につながるのです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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