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間接的リーダーシップ

投稿日時:2008/02/08(金) 13:13rss

●ある学習塾の社長の話です。彼は毎日毎日、何時間も生徒の送迎バスの運転をしていました。

●「こんな大切な仕事を部下に任せるわけにはいかない」というのがその理由です。そのうち、この学習塾が地域で評判になり、生徒数がついに500名を超える規模になっても、彼はハンドルを離しませんでした。

●もちろん仕事は送迎だけではありません。授業も教えていることからフル稼働の日が続き、しまいには糖尿病が原因の高血圧で入院までしてしまい、事業を縮小せざるをえなくなりました。

●会社は社長の器より大きくならないといいます。例外的に大きくなってしまう場合もあるでしょうが、長いスパンでみれば社長の器以上にはなりません。ですから社長は、会社を経営しながら自らの器を広げていかねばならないのです。そこで、社長の器とはどのようにして広げていくべきなのか、三つの段階に分けて考えてみましょう。
●最初は「兵たる器」という段階です。まずは兵として優秀である状態をめざしましょう。肩書きこそ「代表取締役社長」であったとしても、現実には一人で営業活動から納品、請求書発行、代金回収、クレーム処理などすべて処理しなければなりません。だから、まず兵として優秀な状態を目指すのです。

●その次は「兵の将たる器」という段階です。従業員を採用し、社長はプレイングマネージャーとなって指揮をとりながら、率先して動きます。この段階になると、社長は「兵」としての強さだけでなく、部下を指揮して戦いに勝利できるリーダーシップを学ぶのです。

●最後は「将の将たる器」という段階。将の将、長の長として、今までとは次元が違う戦略的な仕事をこなさなければなりません。たとえば、組織の目的やビジョンを掲げることや組織づくり、人財育成に提携戦略など、明日に向けた仕事をする段階です。

言い換えれば、兵の将をやっている時は「直接的リーダーシップ」、将の将になると「間接的リーダーシップ」が求められると言えるでしょう

●直接的リーダーシップとは、「1+1はいくつですか?」と部下に聞かれたとき、「2」と即答してやるようなリーダーシップです。そうすることで感謝や尊敬されるでしょう。

●ところが「間接的リーダーシップ」は答えを言いません。足し算や引き算の解き方を教えたり、時計を作って見方を教えてやるのが仕事なのです。部下の誰もが「1+1=2」を解けるような教育・原則の作成、つまり社内環境の整備や方針づくりなどが求められます。それが「間接的リーダーシップ」なのです

●直接的と間接的、どちらのリーダーシップも同じように大切です。そして経営者とは、その両方を兼ね備えていなければならないのです。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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