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困ったらあかん

投稿日時:2008/02/15(金) 16:30rss

●東京に本社のある松下電送(現・パナソニック コミュニケーションズ)がファクシミリをつくり始めた頃の話です。社長の木野親之氏が松下幸之助氏から呼ばれて、大阪の門真にある松下電器本社をたずねました。

●そして幸之助翁に「君、何か困ったことはあるか?」と問われ、木野氏はとっさに「はい、問題はいろいろありますが頑張っています」と答えたそうです。

●そうしたやりとりの後、幸之助翁は最後に「困っても困ったらあかんで」と言われたそうです。それを聞いた木野社長は、帰りの飛行機のなかで心が晴ればれとして、やる気がみなぎってきたとか。

●このやりとり自体は禅問答のようなものだと思います。しかし、ファクシミリという新しい商品を世に送り出し、事業として軌道に乗せることは、決して容易なことではなかったはずです。新規商品の開発につきものの問題があちこちで発生し、困ったことばかりだったのでしょう。

●当然そのことは、幸之助翁も知り抜いていたはず。その上で翁はこう言いたかったのではないでしょうか。
「困るような事はいっぱいあるやろうが、しかしそれは外的なことや。けど、そのせいで君の心までもが困ったらあかんのや」と。
木野社長をわざわざ来阪させたのは、そのメッセージを伝えるためだったのかもしれません。

●また、幸之助翁は別の場所でこんなことも語っています。
「心配するのが社長の仕事や。社長が心配するのが嫌になってしまったら、それは社長を辞めるときや」
心配し、心まで困り果てるのが社長の仕事。ナンバー2以下はその必要なしということでしょう。トップらしい、潔い心意気ではないでしょうか。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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