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執行責任者制の意義

投稿日時:2008/05/09(金) 10:32rss

●先日、ある方からご相談を受けました。

武沢さん、うちも新年度から、CEOとかCOOとかいうポストを導入しようと考えているのですが、どう思いますか?
「ほー、なるほど。その狙いは何ですか?」
「何となくカッコイイじゃないですか」
「カッコいい? それだけの理由ですか……」
「若手社員の動機づけにもなるかと」

●本来は「カッコイイ」とか、「社員の動機づけ」を目的に役職名称を決めるものではありません。しかし、最近はこうしたカタカナ名称の名刺をもらう機会が増えており、間違いなく日本の中小企業にも浸透しつつあるようですので、少しおさらいしておきましょう。

☆ CEO(chief executive officer)…… 最高経営責任者
☆ COO(chief operating officer)…… 最高執行責任者
☆ CFO(chief financial officer)…… 最高財務責任者
☆ CIO(chief information officer)…… 最高情報責任者
☆ CTO(chief technology officer)…… 最高技術責任者

●その他にも、最高知識責任者(CKO)、最高個人情報保護責任者(CPO)、最高顧客市場分析調査責任者(CMO)などもあります。そんなに新しい肩書きをつくってどうするのだろうと思いますが、大企業ではそれでもまだ足りないほど経営の守備範囲が広くなっているようです。
●日本の商法では、「代表取締役」が株式会社の最高責任者とみなされているだけで、これらカタカナ名称は非公式の社内ポストに過ぎません。ソニーが1976年にこの名称を採用したのが第一号となっており、徐々に国内ビジネスでもこの執行責任者の名称を使うケースが増えているようです。キヤノンやシャープのように従来からの漢字名称をそのまま使っている会社もありますが、海外ビジネスではむしろカタカナ名称が一般的です。

・ソニー
   会長兼CEO ハワード・ストリンガー
   社長兼エレクトロニクスCEO 中鉢良治
   副社長、コンスーマープロダクツグループ担当 井原勝美

・ユニクロ
   代表取締役会長兼社長 柳井正
   取締役兼常務執行役員COO 大笘直樹
   社外取締役 松下正

●このように、世界企業の一部ではごく自然にカタカナ名称が使われています。もちろん、カッコ良さの問題ではなく、経営戦略上の確固たる意味があってのことです。

●経営の4大役割である「ビジョン」「戦略」「執行」「戦術」の各々について、一人で何役もこなせるほど今の経営環境は甘くありません。CEOはビジョンと戦略を、COOは執行と戦術を分担しようというような狙いがそこにあるのです

●「カッコイイから」「社員のモチベーションのため」という理由ではなく、経営の役割を分担するのであればカタカナ名称の役員チームにすることも充分な意義があるはずです

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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