武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
問題は怠慢にあり
●以前、草野球の捕手をしていた時期があります。強肩が自慢だったのですが、ある日、肩を痛めてしまいました。肩をかばって投げているうちに、ひじも痛めました。それからは一塁手に転向したのですが、肩の痛みからか、いつの間にか野球をやめてしまいました。
●今でも時々子供とキャッチボールをしますが、昔痛めた肩とひじは今も治っていないようで、山なりのボールしか投げることができません。
●私の肩は問題でしょうか、それとも問題ではないのでしょうか。
●私の目標が「野球選手として活躍すること」であれば、痛んだ肩は大問題でしょうし、すぐに治すべきでしょう。しかし、インターネットで情報発信する今の職業ならば、そのままでも特に問題にはなりません。
●それが問題なのか、問題でないのかは、目標や理想によって変わってくるということです。「問題」とは、理想と現実のギャップのことであり、理想が低ければ問題もなく、理想が高ければ問題だらけになるということです。
●月間売上高目標を例にして考えてみたいと思います。
目標は当然100%以上ですが、実績が80%で終ったとしたら、そこには、理想(目標)と現実(実績)のギャップが生まれます。
A社ではそれを大問題として会議の議題にあげ、討議し、手を打ちます。
B社では誰一人それを問題視せず、議題にも話題にものぼりません。
こうした違いが生まれるのは、A社とB社では、理想が違うからです。
●では、目標未達成が繰り返し起こった場合はどうでしょうか? 理想の高低に関係なく、B社でも問題になるのは明白です。しかし、そのような状況になる前に手を打たなければ、それはただの怠慢です。ドラッカーはこう言っています。
「繰り返し起こる混乱は、ずさんさと怠慢の兆候である」
●別の例として、ある建設会社で実際にあった話を紹介しましょう。
借入依存度が大きかったこの会社では、毎月金融機関に業績報告書を提出していました。ところが、支店が東京・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡と分散しているうえに、社内データの整備やメール網が不十分だったので、報告書の作成は困難を極めていました。
●50歳になるM取締役の仕事の半分は、銀行への提出書類の作成で終わっていました。秘書やアシスタントも各支店との諸連絡に忙殺されました。月末・月初になると徹夜になることもあったのですが、その都度、気力と体力で乗り切り、そして、業績報告書を銀行に提出した翌日は会社を休む、ということを毎月のように繰り返していました。彼の役職は『経営戦略室 室長』とものものしいものでしたが、仕事の実態はこの程度のものでした。
●そんな状態が5年も続いたある日、この会社は倒産しました。
毎月繰り返される問題を放置していたことこそが、問題だったのです。M取締役の本当の仕事は、書類作成ではなく、業務システムの改善でした。それをM氏は怠っていたのでした。まさに、ドラッカーの言う「繰り返し起こる混乱は、ずさんさと怠慢の兆候である」という状態だったのです。
●当たり前のことなのですが、混乱が繰り返し起きないようにするための根本的な方策が必要なのです。こうしたずさんさと怠慢さを問題だと思わない会社は、必ず破綻するでしょう。
●気力と体力で「そのときだけ」乗り切ることを繰り返していると、「忙しいから仕事をしている」と勘違いてしまいます。しかし、これを問題視しないことが、本当の「怠慢」なのです。
●今でも時々子供とキャッチボールをしますが、昔痛めた肩とひじは今も治っていないようで、山なりのボールしか投げることができません。
●私の肩は問題でしょうか、それとも問題ではないのでしょうか。
●私の目標が「野球選手として活躍すること」であれば、痛んだ肩は大問題でしょうし、すぐに治すべきでしょう。しかし、インターネットで情報発信する今の職業ならば、そのままでも特に問題にはなりません。
●それが問題なのか、問題でないのかは、目標や理想によって変わってくるということです。「問題」とは、理想と現実のギャップのことであり、理想が低ければ問題もなく、理想が高ければ問題だらけになるということです。
●月間売上高目標を例にして考えてみたいと思います。
目標は当然100%以上ですが、実績が80%で終ったとしたら、そこには、理想(目標)と現実(実績)のギャップが生まれます。
A社ではそれを大問題として会議の議題にあげ、討議し、手を打ちます。
B社では誰一人それを問題視せず、議題にも話題にものぼりません。
こうした違いが生まれるのは、A社とB社では、理想が違うからです。
●では、目標未達成が繰り返し起こった場合はどうでしょうか? 理想の高低に関係なく、B社でも問題になるのは明白です。しかし、そのような状況になる前に手を打たなければ、それはただの怠慢です。ドラッカーはこう言っています。
「繰り返し起こる混乱は、ずさんさと怠慢の兆候である」
●別の例として、ある建設会社で実際にあった話を紹介しましょう。
借入依存度が大きかったこの会社では、毎月金融機関に業績報告書を提出していました。ところが、支店が東京・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡と分散しているうえに、社内データの整備やメール網が不十分だったので、報告書の作成は困難を極めていました。
●50歳になるM取締役の仕事の半分は、銀行への提出書類の作成で終わっていました。秘書やアシスタントも各支店との諸連絡に忙殺されました。月末・月初になると徹夜になることもあったのですが、その都度、気力と体力で乗り切り、そして、業績報告書を銀行に提出した翌日は会社を休む、ということを毎月のように繰り返していました。彼の役職は『経営戦略室 室長』とものものしいものでしたが、仕事の実態はこの程度のものでした。
●そんな状態が5年も続いたある日、この会社は倒産しました。
毎月繰り返される問題を放置していたことこそが、問題だったのです。M取締役の本当の仕事は、書類作成ではなく、業務システムの改善でした。それをM氏は怠っていたのでした。まさに、ドラッカーの言う「繰り返し起こる混乱は、ずさんさと怠慢の兆候である」という状態だったのです。
●当たり前のことなのですが、混乱が繰り返し起きないようにするための根本的な方策が必要なのです。こうしたずさんさと怠慢さを問題だと思わない会社は、必ず破綻するでしょう。
●気力と体力で「そのときだけ」乗り切ることを繰り返していると、「忙しいから仕事をしている」と勘違いてしまいます。しかし、これを問題視しないことが、本当の「怠慢」なのです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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