武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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ファシリテーション
●あるプロジェクトがひと段落したあとの、ご苦労さんパーティでのことです。一人の女性幹部が、ビールグラス片手に私のところにやってきたのですが、とんがった口元をみると、何か不満げな様子です。
「武沢さん、ちょっと聞いてほしいのですが……。うちの部長は気まぐれなんだから」
「何かあったのですか?」
「部長が『アイデアを自由に出せ』って言うから、いろいろと突飛なことや奇想天外なアイデアを言ったのに、その場ですぐに否定されてしまうの。ときには、怒り出しちゃったりもする」
「へぇ、そうなんですか」
「そう。たとえば私が何かのアイデアを出すとするでしょ。そうすると、『どうやってそれを実現するんだ!』とか、『我々に与えられた予算や時間という制約条件を無視するな』とか言って、ホワイトボードに私のアイデアすら書いてくれない」
「それはちょっとつらいね」
「でしょ? それでもって自分のアイデアはどんなにつまらないものでも、ホワイトボードの目立つ位置にデカデカと書くわけ。これもひとつの『パワーハラスメント』じゃないかってメンバーとひそひそ話しているの」
●たしかに、彼女がかわいそうですね。全員の感情参加が必要なこうした会議では、進行者の何気ない発言や態度によって、参加メンバーの気持ちが左右されていることを忘れてはなりません。会議やミーティングにはいろいろな目的や手法がありますが、アイデアを幅広く求めるときには、アイデアを出すことそのものを目的にすべきです。アイデアの実現可能性や、達成への方法論を問いかけてはいけません。もちろん、誰の発言かによってアイデアを差別するのも禁止です。
●ミーティングや会議の運営を「ファシリテーション(促進)」と言い、米国では、この専門家「ファシリテーター(促進者)」のプロには高い値がつくといいます。日本でも組織の風通しの良い会社には、必ず一人はファシリテーターの役を果たせる人がいます。的確なミーティング運営ができる人は、コミュニケーションの達人として高く評価すべきです。
●「お前も意見を言え」と強制的に発言させるのではなく、意見を言いたくなるようにメンバーの感情をコントロールできるファシリテーション法をマスターしましょう。たとえば、
・いつも、「今、考えてほしい、発言してほしいテーマは何か」を明確にする
・どんな小さなこと、間違ったことでも構わない。発言すること自体が貴重であるという雰囲気づくり
・発言された内容は無視されたり批判を浴びることがない
・誰が正しいかではなく、何が正しいかをみなで考える
・特定個人が発言を独占することがない
・特定個人の発言に影響されないように、まずは発言内容を全員が前もって紙に書き、それを読み上げていくことからミーティングが始まる
・いつ始まり、いつ終わるかを明確にして会議に専念させる
・否定的意見や批判的意見が出て会議のムードが暗くなっても、明るく全体を鼓舞させる進行
などなど。
●ファシリテーションをマスターした人は、それだけで市場で1000万円の値が付くと私は思います。さっそく明日の朝礼からでも、そうした運営をこころがけてみてはいかがでしょうか?
「武沢さん、ちょっと聞いてほしいのですが……。うちの部長は気まぐれなんだから」
「何かあったのですか?」
「部長が『アイデアを自由に出せ』って言うから、いろいろと突飛なことや奇想天外なアイデアを言ったのに、その場ですぐに否定されてしまうの。ときには、怒り出しちゃったりもする」
「へぇ、そうなんですか」
「そう。たとえば私が何かのアイデアを出すとするでしょ。そうすると、『どうやってそれを実現するんだ!』とか、『我々に与えられた予算や時間という制約条件を無視するな』とか言って、ホワイトボードに私のアイデアすら書いてくれない」
「それはちょっとつらいね」
「でしょ? それでもって自分のアイデアはどんなにつまらないものでも、ホワイトボードの目立つ位置にデカデカと書くわけ。これもひとつの『パワーハラスメント』じゃないかってメンバーとひそひそ話しているの」
●たしかに、彼女がかわいそうですね。全員の感情参加が必要なこうした会議では、進行者の何気ない発言や態度によって、参加メンバーの気持ちが左右されていることを忘れてはなりません。会議やミーティングにはいろいろな目的や手法がありますが、アイデアを幅広く求めるときには、アイデアを出すことそのものを目的にすべきです。アイデアの実現可能性や、達成への方法論を問いかけてはいけません。もちろん、誰の発言かによってアイデアを差別するのも禁止です。
●ミーティングや会議の運営を「ファシリテーション(促進)」と言い、米国では、この専門家「ファシリテーター(促進者)」のプロには高い値がつくといいます。日本でも組織の風通しの良い会社には、必ず一人はファシリテーターの役を果たせる人がいます。的確なミーティング運営ができる人は、コミュニケーションの達人として高く評価すべきです。
●「お前も意見を言え」と強制的に発言させるのではなく、意見を言いたくなるようにメンバーの感情をコントロールできるファシリテーション法をマスターしましょう。たとえば、
・いつも、「今、考えてほしい、発言してほしいテーマは何か」を明確にする
・どんな小さなこと、間違ったことでも構わない。発言すること自体が貴重であるという雰囲気づくり
・発言された内容は無視されたり批判を浴びることがない
・誰が正しいかではなく、何が正しいかをみなで考える
・特定個人が発言を独占することがない
・特定個人の発言に影響されないように、まずは発言内容を全員が前もって紙に書き、それを読み上げていくことからミーティングが始まる
・いつ始まり、いつ終わるかを明確にして会議に専念させる
・否定的意見や批判的意見が出て会議のムードが暗くなっても、明るく全体を鼓舞させる進行
などなど。
●ファシリテーションをマスターした人は、それだけで市場で1000万円の値が付くと私は思います。さっそく明日の朝礼からでも、そうした運営をこころがけてみてはいかがでしょうか?
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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