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話し方講座にて(その2)

投稿日時:2008/08/01(金) 15:40rss

●「つまらなかったら、抜け出そう」と、軽い気持ちで参加した「話し方講座」。しかし、「自分は話し上手なんかじゃない。ただ、場慣れしていただけだった」ということがわかり、態度を改めて、受講することにしました。というのが、前回までのお話。

●私の一番の克服課題は“あがり症”であること。50歳になってもあがり症が直らないのだから困ったものです。場慣れすることで、徐々に緊張のボルテージもやわらいではきたものの、知らない人ばかりの場所へ行くと、今でもアウェーの気分になり、会場から逃げ出したくなります。

●なぜあがるのでしょうか?
講師いわく「自意識過剰だから」ということでした。「私はつまらない話をして失笑を買うような人間ではない」という思いが強すぎて、上手に話そうと思い過ぎてしまうようです。もっと肩の力を抜けばいいのに、こういう性格の人間はそれもできません。そうなると、対策はひとつしかありません。十分な練習をすることです。十分な練習ほど自信の素になるものはないのです

●そこで、原稿を作ることになりました。講師は、「スピーチにおいて大切なことは、論旨が明確であること。つまり、主題が明らかであることと、主題が一つであることが欠かせない」と説明しながら、一人ひとりの受講者に、白い紙を配りました。そして、配り終えると、こんな要求をしました。
●「明日は、朝からみなさんに2分間スピーチをやっていただきます。今お配りした紙に線を引いてください。上の部分には、主題、つまり何を伝えたいのかを30文字以内で書いてください。下の余白には、主題を伝えるためのネタや素材を箇条書きにしていってください。10分ほどでその作業を終えてください。ではどうぞ」

●結婚式の祝辞に例えるならば次のようになります。
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主題:新郎の田中君と新婦の陽子さんに心からオメデトウを言ってあげたい
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素材:田中君と私とは20年来の友だち
   高校生のとき一緒に山に登ったときの体験
   受験のときのあのがんばり
   社会人になって間もなくお酒で失敗したあのエピソード
   新婦の陽子さんとの出会った直後の田中君
   プロポーズ成功の翌日、二人で祝い酒を交わした思い出
   これからも家族づきあいしたい
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このようにまず、主題と素材を明確にし、頭の中で何度も繰り返してシナリオを完成させるのです。

●さて、何を書こうかと考えていると、「原稿を書く上で、決してスピーカーがやってはならないこと」を教えてくれました。それは、「全文原稿を作ること」です。全文原稿は緊張のあまり丸忘れにつながるだけではなく、聞き手に顔を向けることができない、という重大な問題もあるからです。

●私もウンウンうなりながら、主題と素材を書き出しました。これで話の準備ができた……と思いきや、いえいえ、まだまだこれからです。料理で言えば、レシピを揃えた段階に過ぎません。ここからが準備の本番なのです。
それは、
声に出して話す
30回練習する
時間を計る
ということです。

●「え~、30回も練習? 2分スピーチ×30回だから最低でも1時間は練習かぁ」と、受講者からため息が漏れてきましたが、実は、この30回練習が私の人生観を変えたのです。とても大きな気づきを与えてくれる結果になるのですが、今日は紙面が尽きたようです。

<次回につづく>

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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