武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
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話し方講座にて(その3)
●ある話し方講座に参加してみたときのことです。講師に「“外的要求“を“内的欲求“に切り替えることができるかどうかが勝負だ」と教えられました。
●話し手に必要なのは、何といっても思いの強さです。友人と世間話をするときなどの軽いおしゃべりならいざ知らず、経営者として社員や客先、取引先に対して語るには、内容に加えて思いの強さを相手に感じさせなければなりません。経営理念や方針、ビジョンに関する内容であればなおさらです。
●その話し方講座では「自宅でスピーチを30回練習してくるように」という宿題が出されたので、帰宅した私は子どもたちを前に、早速宿題にとりかかりました。
●スピーチのタイトルは「私を変えた二人の社長」と設定しました。内容は私が20代前半で仕えたA社長と20代後半で仕えたB社長のリーダーシップを対比させたものです。A社長を反面教師、B社長を教師として、私が育んできた人生訓を2分間にまとめました。
●中学生と小学生の息子を椅子に座らせて、彼らの前に立ち
「16番、武沢信行です。今から『私を変えた二人の社長』についてお話しいたします。どうぞよろしくお願いします」
と、話し方の講師にならい、最初に深々とお辞儀をしてから話をはじめたところ、彼らは目が点になったようにびっくりしていました。
●スピーチを初めて3回目くらいまでは、息子たちの反応を見ている余裕がなく、ただ、自分のスピーチをどう組み立てるか、それだけを考えて喋っていました。
●それが5回目、6回目あたりになったころでしょうか。聞き手の反応を見る余裕も生まれてきたのですが、彼らは実につまらなさそうな顔をして、「早く終わって欲しい」と目で訴えかけてきます。
●そこで私は、「そうだった。話は自分だけでするのではなく、聞き手に理解してもらい、興味をもってもらい、共感してもらうためのものだった」と思い出しました。そこから、中学生や小学生でも理解できるような言葉づかいに変えていきました。
●そうして15回目を数えるころには、さっきの目線とはまるで違って、子どもが真剣に聞いてくれているのがわかるようになり、25回目、30回目となると、今度は私自身が変わっていきました。
●練習を始めた時とは別人のようになっていた私は、あまりに話したくてしかたがなかったので、風呂に入っていた家内と娘を部屋に呼び「お父さんの話を聞いてくれ」と強要していました。それだけでは飽き足らず、翌朝も午前5時に、眠りこけている息子の枕元に正座して、「私を変えた二人の社長についてお話しします」と一人で練習もしました。
●「スピーチの練習をしている」という感覚が消え、この話を聞かせたい、語らずにはいられないという状態になっていたのです。私のスピーチが、「“宿題”という外的要求」によるものから「“話したい”という内的欲求」によるものへと変わった瞬間でした。
●話し方講座の二日目の朝、一人ずつ全員が前に出て2分間スピーチをしましたが、みんな見違えるように素晴らしい話をしていました。もちろん、私も緊張はしましたがあがることもなく、無事成功しました。
●ところが、明らかに練習してこなかったような人も数名いました。「あの~」、「え~」、「その~」が多くて目線も定まらず、声に力がないのです。考えながら話し、話しながら考えるという、「内的欲求」で話しているとはとても思えないレベルでした。
●歴代の米国大統領の中でも、屈指のスピーチ上手といわれるウッドローはこう言っています。
・私に1時間の話をせよと言うなら、準備の時間はいらない
・私に20分の話をせよと言うなら、2時間の準備時間がほしい
・私に5分の話をせよと言うなら、一日と一晩ほしい
●長々と話せるのなら準備は要らないのかもしれません。しかし、経営者が社員の前で話せる時間は長くても30分程度でしょう。ということは、ウッドローが言うように、何時間、何十回かの準備と練習をしなければなりません。その練習によって、上手な話し方ができるようになるだけでなく、あなたのメッセージに対するあなた自身の思いも強く、熱くさせてくれるのです。
●「外的要求」から「内的欲求」へ。スピーチをするときは、このキーワードを覚えておきましょう。
●話し手に必要なのは、何といっても思いの強さです。友人と世間話をするときなどの軽いおしゃべりならいざ知らず、経営者として社員や客先、取引先に対して語るには、内容に加えて思いの強さを相手に感じさせなければなりません。経営理念や方針、ビジョンに関する内容であればなおさらです。
●その話し方講座では「自宅でスピーチを30回練習してくるように」という宿題が出されたので、帰宅した私は子どもたちを前に、早速宿題にとりかかりました。
●スピーチのタイトルは「私を変えた二人の社長」と設定しました。内容は私が20代前半で仕えたA社長と20代後半で仕えたB社長のリーダーシップを対比させたものです。A社長を反面教師、B社長を教師として、私が育んできた人生訓を2分間にまとめました。
●中学生と小学生の息子を椅子に座らせて、彼らの前に立ち
「16番、武沢信行です。今から『私を変えた二人の社長』についてお話しいたします。どうぞよろしくお願いします」
と、話し方の講師にならい、最初に深々とお辞儀をしてから話をはじめたところ、彼らは目が点になったようにびっくりしていました。
●スピーチを初めて3回目くらいまでは、息子たちの反応を見ている余裕がなく、ただ、自分のスピーチをどう組み立てるか、それだけを考えて喋っていました。
●それが5回目、6回目あたりになったころでしょうか。聞き手の反応を見る余裕も生まれてきたのですが、彼らは実につまらなさそうな顔をして、「早く終わって欲しい」と目で訴えかけてきます。
●そこで私は、「そうだった。話は自分だけでするのではなく、聞き手に理解してもらい、興味をもってもらい、共感してもらうためのものだった」と思い出しました。そこから、中学生や小学生でも理解できるような言葉づかいに変えていきました。
●そうして15回目を数えるころには、さっきの目線とはまるで違って、子どもが真剣に聞いてくれているのがわかるようになり、25回目、30回目となると、今度は私自身が変わっていきました。
●練習を始めた時とは別人のようになっていた私は、あまりに話したくてしかたがなかったので、風呂に入っていた家内と娘を部屋に呼び「お父さんの話を聞いてくれ」と強要していました。それだけでは飽き足らず、翌朝も午前5時に、眠りこけている息子の枕元に正座して、「私を変えた二人の社長についてお話しします」と一人で練習もしました。
●「スピーチの練習をしている」という感覚が消え、この話を聞かせたい、語らずにはいられないという状態になっていたのです。私のスピーチが、「“宿題”という外的要求」によるものから「“話したい”という内的欲求」によるものへと変わった瞬間でした。
●話し方講座の二日目の朝、一人ずつ全員が前に出て2分間スピーチをしましたが、みんな見違えるように素晴らしい話をしていました。もちろん、私も緊張はしましたがあがることもなく、無事成功しました。
●ところが、明らかに練習してこなかったような人も数名いました。「あの~」、「え~」、「その~」が多くて目線も定まらず、声に力がないのです。考えながら話し、話しながら考えるという、「内的欲求」で話しているとはとても思えないレベルでした。
●歴代の米国大統領の中でも、屈指のスピーチ上手といわれるウッドローはこう言っています。
・私に1時間の話をせよと言うなら、準備の時間はいらない
・私に20分の話をせよと言うなら、2時間の準備時間がほしい
・私に5分の話をせよと言うなら、一日と一晩ほしい
●長々と話せるのなら準備は要らないのかもしれません。しかし、経営者が社員の前で話せる時間は長くても30分程度でしょう。ということは、ウッドローが言うように、何時間、何十回かの準備と練習をしなければなりません。その練習によって、上手な話し方ができるようになるだけでなく、あなたのメッセージに対するあなた自身の思いも強く、熱くさせてくれるのです。
●「外的要求」から「内的欲求」へ。スピーチをするときは、このキーワードを覚えておきましょう。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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