武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
凡人が勝つ
●私が京都で講演していたときのことです。
「最後に笑うのは凡人なんだ。だから自分がエリートじゃないことを卑下してはいけない。勝つのは凡人の方だ。なぜならば…」
と、禅の大師、鈴木大拙氏の教えを引用しつつ、熱く語っていました。
●講演終了後、現役の京都大学生のA君が名刺交換にやってきました。彼は一通りの挨拶を終えると、即座に反論を語り始めました。彼の反論の趣旨はこのようなものです。
「たしかに凡人でも勝てるという話は勇気がでたが、『凡人がエリートより勝っている』という根拠がわからない。『凡人が勝つのではなく、凡人でも勝てる』というのが正しい表現ではないか。エリートが凡人より劣っているなどとは思えないにも関わらず、武沢さんの話からは、凡人のほうが優れているように受け取れた」
●しかし、私の意見はあくまで「凡人“でも”勝つ」ではなく、「凡人“が”勝つ」です。エリートではいけません。世間一般で用いるエリートとは、先生から教えられたことを理解し、暗記する才能に富んだ人です。しかし、実社会において勝つのは凡人であって、学校教育のエリートではありません。もっとも、「凡人が勝つ」とは言っても、並の凡人ではなく、大いなる凡人でなければなりません。
●私は発明王である「トーマス・エジソン」の幼少時代のエピソードに、凡人とエリートの論争へのメッセージがあるような気します。エジソンは「天才とは、99パーセントの努力と1パーセントのひらめきである」という言葉でも有名ですが、彼の母親の存在を抜きにしては、かの天才は世に出なかったでしょう。
●母親の名前はナンシーといいます。のちに天才と称されるエジソンですが、実は幼少期はまともに読書もできないほどのADHD(注意欠陥・多動性障害)であったといいます。それだけではなく、異常なまでに好奇心と探究心が強かったエジソンは、周囲に対して「なぜ~なの?」と大人たちを悩ませる質問ばかりを発していたそうです。
●小学校の教師は、「1+1=2」に対して異議を唱える彼を、「頭が腐っている」とまで評しました。
・1杯の水にもう1杯の水を足しても、やっぱり1杯ではないか
・1個の粘土にもう1個の粘土を加えても、やっぱり1個になるではないか
一事が万事こんな調子で異議を唱えられては、学校の先生が困るのは無理もありません。
●さらにエジソンは、「火とは何か。なぜ炎が燃え立つのかを自分で確かめたかった」という理由で、製材所を営んでいた父親の倉庫を燃やしたこともあります。その他にも、ニワトリの卵を自分で温めてヒナをかえそうするなどの奇行を目の当たりにした父は、とうとうエジソンを見放しました。当然、学校も彼を見放し、事実上は小学校を退学になっています。
●しかし、ナンシーはエジソンの真の可能性を見抜き、自らエジソンを教育しようと決心しました。他人が見れば単なる問題児ですが、真理や真実を知ろうとする好奇心・探求心を、母だけが評価していたのです。
●国語、算数、歴史、文学、物理、化学、と教えていったナンシーですが、とりわけエジソンに科学の才能があったため、自宅の地下室で好きに実験できるように、環境を整えました。そこで、大好きな実験と研究を通じて湧き出る疑問の答えをみずから導きだしていくことができたから、発明の天才が生まれたのでしょう。
●私たちは他人を評価するとき、何をもって優秀か否かを決めているでしょうか? エリートと凡人の違いって何だろうか、を考えてみる必要がありはしないでしょうか。
●人よりもはるかに劣る弱点をもち、失敗と挫折を経験しているエジソンのような凡人が勝つのです。そのためには、自分が没頭でき、得意と思える一点に集中する必要があります。そんな凡人だけが、偉大な仕事ができるのです。
「最後に笑うのは凡人なんだ。だから自分がエリートじゃないことを卑下してはいけない。勝つのは凡人の方だ。なぜならば…」
と、禅の大師、鈴木大拙氏の教えを引用しつつ、熱く語っていました。
●講演終了後、現役の京都大学生のA君が名刺交換にやってきました。彼は一通りの挨拶を終えると、即座に反論を語り始めました。彼の反論の趣旨はこのようなものです。
「たしかに凡人でも勝てるという話は勇気がでたが、『凡人がエリートより勝っている』という根拠がわからない。『凡人が勝つのではなく、凡人でも勝てる』というのが正しい表現ではないか。エリートが凡人より劣っているなどとは思えないにも関わらず、武沢さんの話からは、凡人のほうが優れているように受け取れた」
●しかし、私の意見はあくまで「凡人“でも”勝つ」ではなく、「凡人“が”勝つ」です。エリートではいけません。世間一般で用いるエリートとは、先生から教えられたことを理解し、暗記する才能に富んだ人です。しかし、実社会において勝つのは凡人であって、学校教育のエリートではありません。もっとも、「凡人が勝つ」とは言っても、並の凡人ではなく、大いなる凡人でなければなりません。
●私は発明王である「トーマス・エジソン」の幼少時代のエピソードに、凡人とエリートの論争へのメッセージがあるような気します。エジソンは「天才とは、99パーセントの努力と1パーセントのひらめきである」という言葉でも有名ですが、彼の母親の存在を抜きにしては、かの天才は世に出なかったでしょう。
●母親の名前はナンシーといいます。のちに天才と称されるエジソンですが、実は幼少期はまともに読書もできないほどのADHD(注意欠陥・多動性障害)であったといいます。それだけではなく、異常なまでに好奇心と探究心が強かったエジソンは、周囲に対して「なぜ~なの?」と大人たちを悩ませる質問ばかりを発していたそうです。
●小学校の教師は、「1+1=2」に対して異議を唱える彼を、「頭が腐っている」とまで評しました。
・1杯の水にもう1杯の水を足しても、やっぱり1杯ではないか
・1個の粘土にもう1個の粘土を加えても、やっぱり1個になるではないか
一事が万事こんな調子で異議を唱えられては、学校の先生が困るのは無理もありません。
●さらにエジソンは、「火とは何か。なぜ炎が燃え立つのかを自分で確かめたかった」という理由で、製材所を営んでいた父親の倉庫を燃やしたこともあります。その他にも、ニワトリの卵を自分で温めてヒナをかえそうするなどの奇行を目の当たりにした父は、とうとうエジソンを見放しました。当然、学校も彼を見放し、事実上は小学校を退学になっています。
●しかし、ナンシーはエジソンの真の可能性を見抜き、自らエジソンを教育しようと決心しました。他人が見れば単なる問題児ですが、真理や真実を知ろうとする好奇心・探求心を、母だけが評価していたのです。
●国語、算数、歴史、文学、物理、化学、と教えていったナンシーですが、とりわけエジソンに科学の才能があったため、自宅の地下室で好きに実験できるように、環境を整えました。そこで、大好きな実験と研究を通じて湧き出る疑問の答えをみずから導きだしていくことができたから、発明の天才が生まれたのでしょう。
●私たちは他人を評価するとき、何をもって優秀か否かを決めているでしょうか? エリートと凡人の違いって何だろうか、を考えてみる必要がありはしないでしょうか。
●人よりもはるかに劣る弱点をもち、失敗と挫折を経験しているエジソンのような凡人が勝つのです。そのためには、自分が没頭でき、得意と思える一点に集中する必要があります。そんな凡人だけが、偉大な仕事ができるのです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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