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理念不在がどうした!

投稿日時:2008/12/05(金) 10:19rss

今日は、いつもとは逆に、「理念・理念・理念」と経営理念を作ることに盲進しすぎると、優先順位を誤るおそれがあるということについて説明しましょう

●最近でこそ、中小企業の経営者で本を読む人が多くなりましたが、昔は本を読まないどころか人の話すらまともに聞かない頑固な経営者も、少なからずいました。本やセミナーで勉強したこともなく、自分の経験と勘と度胸(頭文字をとってKKD)しか信用しない社長がたくさんいたのです。

●私が新米コンサルタントだったころ、そのようなKKD社長に「社員のためにも経営理念を作りましょう」と提案したこともありますが、「そんなもんでメシが喰えるか」と一喝されてオシマイのケースがほとんどでした。自分の経験からくる揺るぎない信念と哲学をもとに「経営理念なんていらない」と言われたら、何も言い返せなかったのです。

●ところが最近は、ほとんどの経営者が経営理念の必要性に異議を唱えません。それどころか、何の疑いもなく「理念が必要だ」と言います。

●しかし、経営理念というものは、すべての会社が今すぐ必要とするものでもありません。理念がなくても経営はできますし、そんなややこしい事にうつつを抜かしているヒマがあれば、今すぐ外へ飛び出して顧客の話を聞いてきた方が参考になる、という時期もあるのです
●特に、従業員が30人未満のベンチャーのような会社では、社長の言動自体が経営理念そのものです。社長がいつも社員に向かって思いの丈を熱く語れば、それが経営理念の役割を果たすので、それで充分ではないでしょうか。

そのような段階で経営理念の作成よりも先決すべき課題は、業績の安定です。大口の得意先や企業系列に依存しないで顧客を引っぱれるようになること。また、業績管理を徹底して目標と数字データに基づく計画経営を行うことが大事です

●業績が安定し、社長も社員も安心してご飯が食べられるようになったら、次のステップではじめて経営理念や経営ビジョンを制定する必要が出てくるのです。

●私が影響を受けた本である『ビジョナリー・カンパニー』の中にも、こんな一節が出てきます。

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ビジョナリー・カンパニーのすべてが、設立当初から基本理念をしっかりした文書にしていたわけではない。そうした企業はごく一部である。

理念を文書にしたのは多くの場合、設立から10年前後たったころだが、おおむね大企業に成長する前である。ビジョナリーカンパニーのほとんどが、設立当初は会社を軌道に乗せ、成功させるために必死だった。
はっきりした理念を掲げるようになったのは、会社が発展したからだ。

だから、基本理念を文書にしていなくても問題ない。しかし、早ければ早いほどよい。この本を読む時間があるのだから、読書をしばらく中断して、いますぐ基本理念を書き上げるべきだ。

(『ビジョナリー・カンパニー』ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著 
  日経BP社刊 129ページより抜粋)
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●わかりやすくするために、会社のレベルを次の4つに分類して考えましょう。

・第一レベル 「悪い」
・第二レベル 「普通」
・第三レベル 「良い」
・第四レベル 「偉大」

「悪い」から「普通」へ、「普通」から「良い」の段階に移行するには、経営理念よりも、顧客創造の力が問われます。いかにして利益を出し、キャッシュフローを良くするかという格闘です。この段階では、経営理念はさほど大きな意味を持ちません


●しかし、それ以上の段階である「偉大」の高みに登ろうとしたときにはじめて、人材力・組織力・管理力などが醸し出す企業文化や、企業のブランドイメージが問われるようになります。その段階でこそ、経営理念とその浸透力が、極めて大切な要素になってくるのです

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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