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情熱のマネジメント

投稿日時:2009/04/10(金) 14:16rss

●フランスの啓蒙家、ラ・ロシュフーコーは「人間の心の中では情熱の不断の生殖が行われていて、一つの情熱の消滅はもう一つの情熱の出現と、ほぼ決まっている」と語っています。この意見が正しいかどうかはわかりませんが、『孟子』も「心を養うには欲をすくなくするよりいい方法はない」と教えています。情熱は、ここぞという時に一気呵成に使うべきであって、チョロチョロと小出しにしていては大した仕事はできないという意味でしょう。

●情熱量の最大値が100ポイントのAさんがここにいるとします。彼は何事にも才能豊かで、本業の経営も、業界活動も、趣味のスポーツも、子供の教育も、地域活動も熱心に行なっています。彼が、それぞれに情熱を分散して使った結果、本業経営に投入できた情熱を60ポイントとしましょう。

●さらにAさんは、本業経営の中で動いている6つのプロジェクトに関心を分散しています。本業に注ぎ込んだ60ポイントを6で割ると、1つの案件にはそれぞれ10ポイントずつ投入していることになります。

●一方、情熱量はAさんよりはるかに見劣りするBさんは、最大で60ポイントの情熱しかもっていません。ところが、彼は不器用なため本業の経営に徹していること、その中でも事業の領域をしぼりこんでいるので、1つのプロジェクトに15ポイントずつ割くことができたとします。もし、AさんとBさんが同じ業界で働いていたとすると、きっとBさんの会社が勝つことでしょう

●ここに「小」が「大」に勝ち、「弱者」が「強者」に勝つ戦略があるのです。才能でも資金でも人材でも、見劣りする企業や個人が勝つときは、こうした一点集中しているときだけなのです
●さらにロシュフーコーはこうも言っています。

「小さなことに熱中してしまう人は大きなことができなくなる」

量の個人差はあるにしろ、人は情熱の対象なしでは生きていけません。その情熱の対象はしっかりとマネジメントすべきであり、あなた自身の大切な仕事なのです。小さなことに熱中してしまって、大きなことをおろそかにしていないかどうか、ときどき点検する必要があるでしょう

●私は一年に四冊の手帳を使います。いつも同じ手帳を使うのですが、四半期ごとにまっさらな手帳を卸しているのです。そうすることで、お正月のときの神聖な気分を奮い起こし、大きなことに挑もうとしているのです。今年も第一四半期が終わって、今の私の手帳はまっさらです。

あなたは「情熱のマネジメント」をどのようにされているのでしょうか

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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