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責任感は育てるもの その2

投稿日時:2009/07/10(金) 14:16rss

<前回のつづき>


●先日訪問したある会社には、遅刻の常習者のような人がいて、遅刻するたびに何らかの言い訳をするそうです。

●たとえば、「昨夜は遅くまで残業をやったので」とか「後輩につきあって昨夜は遅くまで飲ませてやったから」、「久しぶりに実家の親父が訪ねてきて話がはずんで」などと、毎回違う理由を言うそうです。同じ理由はまったく言わないとのことなので、彼なりに言い訳を真剣に考えてくるのでしょう。

●そこでリーダーが毅然たる態度で接すれば良いのですが、その会社の社長は穏健な人でした。朝から厳しいことを言いたくないのでウヤムヤにやりすごしてきたのですが、その結果、彼に対してだけではなく、社内全体に時間や期限を守るという規律と責任を要求するチャンスを失っていたのです

●社長なりに心を痛めていたのでしょう。私を呼んでまっさきにその話をするということは、それが一番の頭痛のタネだったはずです。私は遅刻撲滅の要諦をその社長に授けましたが、それ以降は彼の遅刻がほとんどなくなったそうです。要するに甘やかしていただけなのです
●さて、『現代の経営』でドラッカーは、こう述べていると前回ご紹介しました。

「働く人たちが責任を欲しようと欲しまいと関係はない。働く人たちに対しては、責任を要求しなければならない」。

●社長の方が部下に変な負い目をおってはいないでしょうか。たとえば、「うちは給料が安いから」「自分も出来ないときがあるので」「彼には普段から無理を言っているから」などの気持ちから上司が部下に責任を要求しなかったとしたら、リーダーとしての職務を放棄していることになります。自分が出来ていないのは問題ですが、部下が出来ていない場合も真剣に注意しなければなりません。

●会社全体の風土を責任感あふれるものにするにはどうすべきか。それについて、ドラッカーは以下の4つのポイントを挙げています。

1.正しい配置
2.仕事の高い基準
3.自己管理に必要な情報の提供
4.マネジメント的視点をもたせるための参画の機会提供

ドラッカーは、この4つの具体的な内容までは述べていませんので、それぞれについて私なりの解説を加えてみましょう。

1つめの「正しい配置」について

いつ、いかなる部署や職務に人を配置するかによって、会社全体の意欲や責任感、生産性が大きく変わってきます。そのためには、最適な配置というものを絶えず考える必要があります。何が「正しい配置」なのかは、細かい組織変更や人事異動などを通じて、試行錯誤の中から見つけていくものでしょう。

2つめの「仕事の高い基準」について

何をもって“合格の仕事”“不合格の仕事”というかは、仕事の最終成果だけでは判定できません。仕事のプロセスの中に品質があります。プロセス目標を設定し、その達成をめざして仕事の水準を進化させていきましょう。

3つめの「自己管理に必要な情報の提供」について

人は他人によって管理されることを望まず、自己管理にゆだねられることを欲するものです。自らの仕事ぶりを管理・評価し、必要によっては自分で軌道修正できるようになるのが望ましいでしょう。そのためには、それが可能となるような情報の提供や共有ができていなければなりません。

4つめの「マネジメント的視点をもたせるための参画の機会提供」について

働く人の意識に個人差があるのはやむを得ませんが、一段二段と、高い視点をもたせてるような取り組みが必要です。自分の仕事を、上司の視点、経営者の視点から見直すことができたとき、自らの責任を考えるようになります。部下が自ら視野を広げる機会を与えていきましょう。

●以上のように、仕事に対する責任を部下に要求するのがリーダーの仕事だということを忘れないようにしましょう。責任感とは、育てるものなのです。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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